SSブログ

沖縄戦ドキュメンタリー作業報告 米兵より日本兵が怖かった? [編集作業]

49702340_2378503675557256_3493354642824232960_n.jpg


沖縄戦ドキュメンタリー作業報告 米兵より日本兵が怖かった?

昨日も戦時を体験した80代の方々の証言インタビューの作業をしていた。取材当時も驚いたのだが、映像を見て改めて驚く。

「アメリカ兵より日本兵の方が怖かった...」

は? 逆じゃないの? と思えた。日本兵は全国から集められた兵士であり、沖縄を守るために32軍としてやって来た人たち。アメリカ兵は日本を打ち負かし、占領するために上陸して来ている。そのアメリカ兵より、なぜ日本兵が怖いのか?

「最初、アメリカ兵は怖い。捕まったら腕を切られて、鼻を削がれて、殺されると聞いていました。それがいざ捕まったら、食べ物をくれる。怪我の治療をしてくれる。暴力を振るわれたことはありません」

そう証言する方が何人もいた。それに対して日本兵は豪(洞穴のような場所で防空壕等としても使っていた)に隠れている民間人を追い出し、自分たちがそこに隠れたり、米軍からもらった食料を奪いに来たり、スパイだと言われて撃ち殺されたりと言うことが頻発していた。

「私は米軍が作った病院で働かされました。そこには負傷した日本兵がたくさんいて、アメリカ人が治療していました」

何だか分からなくなる。が、その後もあれこれ調べて背景が見えてくる。日本兵は敗北に次ぐ敗北。十分な食料も、武器もないまま戦っていた。敗残兵となった者は豪に隠れ、地元民から食料を奪っていたのである。

それに対してアメリカ軍は捕虜の食料や衣料品まで用意しており、降伏した兵士、民間人で、傷ついた者には医療を、そして食料を供給したと言うのだ。その事実からアメリカが良心的というつもりはない。散々日本人を殺して、家を焼き、田畑を踏みにじり、それで怪我した人たちを治療しても「偉い!」とは言えない。しかし、それが沖縄戦の現実なのだ。

攻めて来た敵から食料をもらい、自分たちを守りに来たはずの日本兵からその食料を奪われ、隠れていた豪を追い出される。誰が正しい、悪いではない。その事実が理不尽な沖縄戦を象徴しているのだ。そして、その先に、またいろんなものが見えてくる。作業を続ける。



沖縄戦ビジュアル3.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

沖縄戦ドキュメンタリー。進行報告 ショート・インタビュー後半の3人を切り出し。 [編集作業]

36776611_2025922294148731_7881449160652619776_o.jpg


沖縄戦ドキュメンタリー。進行報告。

ショート・インタビュー6人の内。3人を昨日。本日は2人目を編集中。長く話してもらった中で、空襲の話。艦砲射撃の話。アメリカ兵の話。日本兵の話。と印象的なものを抜き出して行く。ただ、皆さん、御元気なのだが、高齢であること。また、戦後はその手の話をほとんどしていないという方もいた。話があっちに行ったり、こっちに行ったり。そもそも体験を人に話すというのはむずかしいもの。

その辺に苦戦しながら、切り出して行く。同じ話題は同じラインに並べる。そうやって証言映像が揃ってくると、どの証言に記録映像を付けるか? あるいは記録映像の説明としてどの証言を繋ぐか?ということを考えて行く。

また、あまりに長く証言を繋ぐと観客が退屈するので、短く切り出してインサート映像を入れて、また証言に戻す。という手法も大事だ。それによってテンポよく進めることができるので、作品を見やすくなる。

NHKのドキュメンタリーはよく取材してあるが、教科書のように事実を並べるばかりで退屈なものが多い。いくら真実の発掘であっても、一本調子で見る者に努力を強いるのは作品としてどうか?と思える。もちろん、民放番組でよくある過剰な演出も問題だが、退屈というのは「見たくない...」に繋がってしまう。

やはり、多くの人に見てもらうことに意味が有る作品なので、ひたすら糞真面目に説明するだけではダメだ。同じ報道でもNHKニュースは退屈だが、あの「ニュースステーション」は分かりやすくて面白い報道番組として人気を博した。まじめなだけでは見てもらえない好例だった。

何とか、本日中にショート・インタビューをあと2人。明日からは1日に1人=ロングインタビューの切り出しをしていきたい。そのロングが今回の作品の見せ所。戦時中のさまざまな体験を語ってくれている。その証言に記録映像や現代の沖繩映像を加えることで、より見る人に当時の様子を伝えることが編集する意味である。

何日も座ったまま、編集機に向かっている。ときどき、体操をするくらいでは追いつかない。腰や背中の痛みが限界に近づいていく。


沖縄戦ビジュアル3.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域