ブロンソンの名シリーズー意外に日本で評価する人いない。 [映画&ドラマ感想]
ブロンソンの名シリーズ−意外に日本で評価する人いない。
この写真。左から「狼よさらば」「ロサンゼルス」「スーパーマグナム」とチャールズ・ブロンソン主演の映画。実はこの3本。同じ「デズ・ウイッシュ」ー死の願望ーと言うシリーズなのだ。
アクション映画はそれほど好きでないが、このシリーズは異様に大好き。とにかく、ハラハラドキドキ。アクションというより、スリラー映画なのだ。犯罪都市ニューヨーク。ロスアンゼルスを舞台にした社会派ドラマ。
三作目だけは単なるアクション映画だが、これはこれで面白い。いつものブロンソン。だが、前2作はタフガイヒーローでなく、戸惑い、不安、葛藤を抱えた普通のサラリーマン。そこが映画の魅力になっている。
ちなみに、三作目はロスアンゼルスの怖い街で見た。安全な地区で上映してなくて、危険を顧みずダウンタウンで。もう一ついうと、このシリーズ。あと2本あるが、単なるC級アクションでDVD買う価値はない。
が、前三作。評価する人日本ではほとんどいない。と、先ほど大先輩の鶴田監督のブログで記事。感激。嬉しくなりコメントさせて頂いた。
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「ジョジョー黄金の風」編、昔とは違う物語展開!アニメは進化している。 [映画&ドラマ感想]
「ジョジョー黄金の風」編、昔とは違う物語展開!アニメは進化している。
最後まで見た。まあ、本当によく作っている!!僕も物語を作る仕事をしているので、余計に感心する。漫画やアニメの場合。正義の主人公VS悪の敵役というパターンが長い間続いて来た。簡単にいうと「マジンガーZ」のスタイル。やがて敵がパワーアップ。主人公が特訓、或いは新兵器を手にして勝利するという形。
それを崩したのはやはり「ガンダム」か?敵にも事情がある。悪や正義の概念はない。という方向を打ち出した。その後「エヴァンゲリオン」がさらなる進化を遂げるが、僕的には、その辺からアニメ作品を見る機会が減る。その頃からハリウッド映画の大きな成長が観られた。これまで「正義のアメリカ!」を誇り、日本アニメでいえば70代の価値観で物語を作っていたのに、90年代に入り、急激な展開を見せる。
一番は「ダークナイト」シリーズ。人を殺さないヒーロー。「スパイダーマン」も同様。さらに「ウォーキングデッド」でも悪役であるニーガンを処刑しないという展開。その彼が最終シーズンに向けて悩み、成長するという物語は、かつてアメリカではなかった。「悪い奴をぶっ殺せ」という野蛮な価値観がアメリカだった。
その後、日本のアニメはさらなる進化を遂げていた。「鬼滅の刃」だ。敵である鬼は元々、人間であり、可哀想な存在であったという設定。「ガンダム」の「敵にも事情がある」をさらに進めた発想だ。もちろん、70年代の「海のトリトン」の結末も同じ発想で作られていたが、当時の視聴者にはまだ理解しづらかったと思える。それを全編に渡り描いて、大人気となったのが「鬼滅」時代の進化を強く感じる。
その「鬼滅」の作家に大きな影響を与えたのが「ジョジョ」だ。それでアニメ版を見始めた。石仮面は「人が鬼になる」という「鬼滅」の設定のルーツだし、ディオは鬼舞辻無惨の原型だ。波紋は「呼吸」。さまざまな影響を感じる。が、一番は物語展開だ。「これでどうだ!」「いや、まだまだ」「では、これで止めだ!」「そうはいかんぜ」という大手!大手!の連続。
昔の「マジンガーZ」では戦いの間に主人公は1度、危機に陥る。が、その後、形勢逆転。勝利を得る。要はプロレスのスタイル。それがパターンだったが、「鬼滅」も「ジョジョ」も一つの戦いで何度も形勢逆転がある。視聴者は「えーーまだ終わらないの?」「あーこれはもう勝てないだろう〜」と絶対絶命の連続に何度もハラハラドキドキさせられる。
これは最終回のパターン。今まで無敵だった主人公が圧倒的に不利に追い込まれる。死闘が続き、体がボロボロになる。「ウルトラセブン」なら「史上最大の侵略」。セブンの体が蝕まれ、戦う力が出ない。そこにゴース星人による世界規模の侵略。命をかけた最後の戦い。「マジンガーZ」なら暗黒大将軍率いる戦闘獣軍団の攻撃を受ける最終回。マジンガーが見るも無惨な姿になり、敗北する。
そんな最終回的な大盛り上がりの戦いを、通常エピソードでしているのが「鬼滅」であり「ジョジョ」なのだ。「鬼滅」は当初、順番に鬼と戦う展開だったが、後半戦と言える「無限城」編は完全に最終回の乗り!多分、昔ながらに次第に強い鬼と戦う展開では、読者が離れて行くと感じた編集者のアイデアとは思うが、後半戦全てが最終回の乗りには驚愕した。
だが、「遊郭編」もすでに最終回の乗りがあった。その後の「刀鍛冶の里」編。「柱稽古」編が従来の物語展開。そこで「最終回」スタイルを再び持ち込んだのだろう。対して「ジョジョ」も「第三部」から最終回の乗りを感じる。昨夜見た「黄金の風」編も、シリーズの途中からすでにそれだ。つまり通常、最終回は1回(せいぜい前後編)なのに、何話も(十数話も)最終回を続ける。これは面白くならない訳がない。
そんな展開のアニメショーンが主流になりつつあるように思える。まだ、分析が済んでないが「呪術廻戦」も似たような感があるし、「チェーンソーマン」は完全にそれ。従来の展開とはかなり違う。レギュラーと思えたヒメノ先輩が初期段階で、あんな形の結末を遂げるか?!と驚かされた。そして、マキマ暗殺計画。メンバーの大量死。これも最終回の乗りだ。
「ウルトラセブン」で秘密だったウルトラ警備隊基地が攻撃されたのも最終回。「仕事人」シリーズで仲間が死んで行くのも最終回。それをシリーズ初期でやってしまう。どの作品も過去から長く続いたスタイルではなく、斬新な展開をしている。それをメジャーにしたが「鬼滅」であり、そのルーツが「ジョジョ」ではないか?と思いつつ。昨夜の「黄金の風」編を見ていた。
ただ、あのシーズン。主人公はジョルノではなく、ブッチャラティではないか?と思えるほど、彼が中心に物語が進んだ。多分、作家が描いている内に、思いが彼の方に行ってしまったような気がする。その前のシリーズでも敵役のはずの岸辺露伴に作家の思いがかなり行っていた気がする。あるパートでは彼が完全に主人公だった。しかし、それを無理に主人公に話を戻すとおもしくなくなることがある。それは作家が乗って描いている証でもある。
そして、その物語スタイルはとても勉強になる。現在、僕はドキュメンタリー映画の編集をしているが、同時にドキュメンタリー番組を見まくっている。「Nスペ」などは昔からのスタイルが多い。オリバーストーンの「語られなかったアメリカ史」も期待して見たが、まるで大学の講義だ。教科書の朗読的な番組はやはり詰まらない。
アニメ(漫画)と同じように、今までとは違うスタイルで作品を作れないか?と考えている。「ドキュメンタリー沖縄戦」でも、それを少し実践した。退屈しないドキュメンタリー。観客に我慢を強いることのない作品。ドラマのようにドキドキして見れるスタイル。模索している。そのことはまた別の機会に書かせてもらう。
少し休んで「ストーン・オーシャン」編を見る。
「NHKスペシャルー東京ブラックホール」なかなか良かった?いや、注意して見なければ危ない! [映画&ドラマ感想]
「NHKスペシャルー東京ブラックホール」なかなか良かった?いや、注意して見なければ危ない!
確かにこの三部作はかなり力が入っており、良く出来ていた。斬新な番組だった。「さすがNHK!」という賞賛も聞こえて来る。が、いつもはフェイクばかりの「Nスペ」なのになぜ?と考えてみる。答えば過去を描いたから。「Nスペ」は現代を描くことが多いが、その際はフェイクのオンパレード。ある種の人たち、特定の勢力の目を気にせねばならないからだ。
オバマは平和主義。カダフィは独裁者。プーは侵略者。トラは差別主義者。彼らの貼ったレッテル通りに報じなければならない。それが局の使命。逆らうことはできない。というより、その勢力の下部組織がNHKなのだ。ただ、過去を描く場合はそんな指示が出ていないということ?だから、今回は真実を伝える良質な番組ができた?いや、違う。今回の「ブラックホール」でも忖度で描かれているパートがある。
巣鴨プリズンに収監された戦犯。アメリカのエージェントとなることで、無罪放免されたという話があった。児玉誉士夫は紹介されるが、岸信介、笹川良一の名前は出ない。彼らもまたA級戦犯で処刑される予定だったのが、アメリカと取引。エージェントとなることで無罪放免となった。
岸はその後、アメリカからもらった金で政党を作る。それが自民党だ。笹川が作ったのが日本船舶振興会。今の日本財団。その初代会長。彼らの影響力は今も続いている。おまけに岸は安倍の爺さん。そんな人たちがアメリカのエージェントになり処刑されずに放免されたと。番組で言えない。そこに忖度したNHK。
このように力ある団体に抵触しない部分は事実を伝える。でも、彼らに都合の悪いことはNG。スルーする。あるいはフェイクニュースで嘘八百。まさに大本営発表。それが今のNHK。ただ、フェイクばかりでは信頼を失う。だから差し障りのない過去の事実も流す。誰からもクレームの来ない真実を伝える。視聴者の信頼を得るため。「NHK、何だかんだ言ってもいい番組もあるなあ!信頼できるなあ」とアピールするため。それが今回の「ブラックホール」。でも、岸や笹川には触れない。
「ミナマタ」公開中。凄かった。日本人、必見の映画。 [映画&ドラマ感想]
「ミナマタ」公開中。凄かった。日本人、必見の映画。
声を上げて泣きそうになった。よくぞ、この悲し過ぎる現実を映画にした。ニューヨークでユージーンが水俣の写真を見る場面から、ラストまでずっと涙が流れ続ける。耐えられない現実の悲しみ。それを映画にしたジョニーデップとスタッフに惜しみない拍手を贈ろう。真田広之も素晴らしい。最高の演技を見せる。
そして何より、この映画は水俣だけの話ではない。福島の原発事故も同じ構図。政府対応も同じ。沖縄戦もまた同様。それを強く感じた。巨大な力でなかったことにする。隠蔽する。全く同じだ。繰り返すが、そんな現実を本当によくぞ撮った。全ての人に見て欲しい作品。全国で本日より公開中。
映画「ミナマタ」は伝えることの大切さを教えてくれる! [映画&ドラマ感想]
映画「ミナマタ」は伝えることの大切さを教えてくれる!
私の監督作「朝日のあたる家」で原発事故を描こうとした時、多くの人から反対された。当時は「原発映画を撮ると、2度と商業映画を監督できなくなる」と言われたからだ。企業は1社も支援してくれなかった。市民に寄付を呼びかけて多くの人たちの応援で製作した。テレビでは伝えない福島の悲しみを劇映画で、絶対に伝えねばならないと思ったからだ。
3年に渡り取材した「ドキュメンタリー沖縄戦」は映画館公開中止の危機もあったが、昨年、今年と2回に渡り映画館公開をすることができた。が、ある種の人たちが「事実誤認だ」「美化している」と的外れな批判をして来た。沖縄からでさえ、ごく一部だが批判や誹謗中傷があった。でも、多くの観客が沖縄の悲劇に涙を流し「沖縄戦を知らずにいた自分が恥ずかしい」と感想を伝えてくれた。
いずれも実際にあった歴史の1ページ。それを隠したい人たちがいる。多くに知らせたくない団体がいる。教科書の記述を消し去り、なかったことにしたい。事実を捻じ曲げて美化したい。伝えようとするとバッシングして、足を引っ張る人や団体もある。企業や権力者が隠したい現実を伝えると、必ずそんな圧力がかかる。
「ミナマタ」の背景も同様だろう。だから映画が素晴らしいだけでなく、この作品を作り上げた人たちに感謝と尊敬を強く感じる。ジョニー・デップの勇気を讃えたい。監督は「日本人の役は日本人が演じなければならない」アメリカ映画でよくあるように、英語はうまいが日本語ができない東洋人を起用することを最初から拒否したと言う。
ジョニーのような有名俳優が出演しなければ、この手の題材に資金は集まらない。そして、アメリカ人フォトグラファーが日本人を救ったと言う上から目線の物語にもできたのに、彼らはそうはしなかった。この物語は世界にミナマタを伝える。今も解決せず、日本政府が「もう終わった」と宣言しても、未だに続いていることを多くの人に伝える。
映画の役割は娯楽だけではない。悲しい現実や隠された事実を世界に伝えるのも映画の大切な仕事だ。この映画はそれをやり遂げた。ただ、残念なのは、日本がこの事件を劇映画として作り得なかったこと。本来は日本人が映画で水俣を世界に伝えるべき。なのに水俣だけでなく、大手映画会社は福島の原発事故でさえ、伝えられずにいる。
大企業が資金を出したのは「東電職員が原発事故を止め、日本を救った」と言う嘘八百のプロパガンダ映画だけ。それが今の日本。ただ、この「ミナマタ」は多くの日本人クリエーターを励ましたはず。勇気を与えたはずだ。僕もその1人。戦後76年経っても、多くが描こうとしない沖縄戦を劇映画として撮りたい。ドキュメンタリーでは伝えられない悲しすぎる現実を伝えたい。資金を出そうと言う会社はないが、作らねばならない。
映画の使命はまず、多くの人に現実を知らせること。そして人々が考えること。そこからがスタート。そこから何かが始まる。時代を変えていける。映画はそれを伝える力がある。今の時代。僕ら映画人は、伝えることこそが、使命なのではないか? 映画「ミナマタ」はそれを教えている。
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「ドキュメンタリー沖縄戦」イオン・バーチャル・シネマで有料配信中。
学校では教えてくれない真実の歴史。政府が隠しておきたい日本軍の蛮行。踏みつけられ、見殺しにされた多くの沖縄県民。あまりにも理不尽。その戦争を体験した人たちの証言で綴るドキュメンタリー。10月7日。配信終了。
こちらで=> https://www.aevc.aeoncinema.com
ポスターからすると森林火災のパニック映画のように思えるが、メインは殺し屋が少年を追う話 [映画&ドラマ感想]
久しぶりのジブリ「アーヤと魔女」=新ヒロインはめっちゃ悪い子! [映画&ドラマ感想]
久しぶりのジブリ「アーヤと魔女」=新ヒロインはめっちゃ悪い子!
監督は宮崎・息子の方なので、心配だったが、そこそこ面白く見た。今回も魔女の修行をする少女の物語で、黒猫も登場するのだが、「宅急便」とは大違いのところが味噌。
純粋無垢なキキに比べて、こちらの主人公アーヤはとんでもないガキ。ずる賢くて、大人を平気で利用する。その子が働くことになった魔女の家のおばさんも、湯バーバを超える飛んでない女性。その対立を中心にあれこれ騒動を描く。これまでのジブリ作品とはかなり毛色が違う。
とはいえ、NHKとの合作なので、下品な描写はない。あと、クライマックスというべき盛り上がりがなく、え?というところで終了。その辺は物足りない。が、そんな型破りなヒロインが魅力で見てしまう。ジブリ新時代の到来かもしれない。
「キネマの神様」=山田洋次監督の苦悩。俳優の存在感は巨匠でも埋められない。 [映画&ドラマ感想]
「キネマの神様」=山田洋次監督の苦悩。俳優の存在感は巨匠でも埋められない。
今回も巨匠の名人芸を見せつけられ、ラストは涙した。ではあるが、いくつか指摘したい。そもそも今回の主演は志村けん。それが567で亡くなり沢田研二があとを継いだ。
黒澤明監督の「影武者」のときは勝新太郎が主演だったのに降板。仲代達矢があとを継いだ。どちらの俳優もよくやっているのだけど、そもそもが別の俳優のために書かれた脚本。その落差をどうしても感じてしまう。努力の問題ではない。今回もそれを痛感した。
だからこそ、ラスト近くで沢田が歌う、「東村山三丁目」は悲しいと言うより、残念感が漂う。もちろん、志村さんへの賛歌なのだが、それを劇中ですべきだろうか? ジュリーさんは俳優としても素晴らしい(「太陽を盗んだ男」「ときめきに死す」は本当に凄い)でも、やはりこの役ではないと思えてしまう。そこであの歌を歌うと「私は代役」と言っているよう聞こえてしまう。
できれば「勝手にしやがれ」を歌う方が感じるものがあった。そんなことを思いながら見ていると、あ。そうか...と気づく。山田監督の中ではこの役、志村さんでも、沢田さんでもないと分かる。渥美清さんではないか?と感じる。
孫とシナリオを書く時や嫁や娘に悪態を付くのは、まさに寅さんだ。そんな風に考えていて、それができるのは志村けんか?と山田監督は思ったのだろう。黒澤監督も「影武者」だけでなく、「乱」の主役イメージはそもそも三船敏郎。それをどんな名優でも代わりは効かなかったと思える。
それでも撮らなければならないのが映画監督。他人事ではない。沢田研二に渥美清をダブらせて演出する山田洋二さんの思い。ひしひしと感じた。黒澤は三船との決別。山田は渥美清。その失った大きなものを埋めることは他の俳優ではできないのだ。今回、志村けんならまだしも、沢田研二は渥美ではない。せめて鶴瓶さんなら.....巨匠の苦悩を強く感じた。また、別の側面から後ほど書く。
「カムイ伝」第一部。読み終わる。高校時代に読んだ時とは違う感銘と憤り。 [映画&ドラマ感想]
「カムイ伝」高校時代に読んだ時には気づかなかった部分で涙が溢れる。 [映画&ドラマ感想]
全裸監督シーズン2 [映画&ドラマ感想]
「逆襲のシャア」を再見 [映画&ドラマ感想]
韓国のSFホラードラマ「Sweet Home 俺と世界の絶望」全10話を見終わる。 [映画&ドラマ感想]
韓国のSFホラードラマ「Sweet Home 俺と世界の絶望」全10話を見終わる。
近年、見たドラマでもっとも面白く、ドキドキし、泣けて、ハラハラした。ただ、僕らの世代にはとても馴染みのある物語であることは大きい。ベースは完全に「デビルマン」原作の。そして「寄生獣」さらにアメリカの「ゾンビ」シリーズ。「ミスト」「Zネーション」「ウォーキングデッド」等を徹底して研究して作られている。全部、好きな作品なので、そのエッセンスを結集したこのドラマが面白くならない訳がない。が、なぜ、それを日本でできなかったのか? 日本の監督が作り得てないのか?が悔しい。
うまいのは古い高層アパートを舞台にしたこと。ほぼ、その建物の中だけでドラマが進行する。これはジョージAロメロの「ゾンビ」が大型スーパーマーケットの中で展開するのと同じスタイル。外には怪物。出たらヤバイ。バリケードを作り防御。しかし。。。中にいる市民も突然に怪物に変身する可能性がある。という構図。これがまず成功。主人公のキャラはまさに不動明(原作の変身する前)。だが、彼に集約せず、周りのメンバーの人生ドラマを描く。そして助けに来るはずの韓国軍は敵。市民を助ける気なし。韓国の世相が反映されている。ほとんどが「デビルマン」と同じ構図。
唯一、残念なことがある。最終回は53分ほど。流れを見ていると、この時間で完結できないと思えた。いろんな伏線が解消されていない。その予想通りに「続く」で終わっている。えーーここで終わるか?!という感じ。これでシーズン2があるのならいいが、それは作られておらず、企画されているというニュースがあるだけ。つまり、2に続けるための終わり方ではない。
一応、2の制作が決まった時に続けられるようにはなっているが、その展開を考えた上での終わり方ではない。何か面白そうな展開がありそうなーというレベルで作られているように思える。「zネーション」がまさにそうだった。「えーどうなるの?」と思って、そのシーズンが終わるが、あまりそこは関係なく別の物語が始まる。あのシリーズは途中からネタ切れで本当に詰まらないドラマになってしまった。すでに完結している物語を無理やり伸ばしただけ。同じ危惧がこの作品にもある。
確かに、10話ではまとめきれないが、と言って後10話となると厳しい気がする。また、今回のシリーズの話だけでも、丁寧に描けば、あと3話くらい必要だった。それを最後に駆け足で進み、伏線を回収せずに続くにしているとことが不満。ではあるが、ハリウッドのゾンビものを超えるスリルとサスペンス。そして感動。俳優も全員が素晴らしい。皆、芝居を超えている。お仕事で演じている人がいない。そこが日本のドラマと違う。
ただ、「このドラマが面白い!」という話は誰からも聞かなかった。Netflixの「おすすめ」で見た。見た人はいるのか? Facebook友達が1人。コメントをくれただけ。制作ひ30億円。1話3億円だ。なぜ、ネトフリはこれを日本で製作しない?いや、しなくて正解だったろうなあ。「シグナル」といい、負け続け。悔しい。
戦争をしっかり描いたお勧めの日本映画は?=えーーこれ?と思える意外な作品を推薦 [映画&ドラマ感想]
戦争をしっかり描いたお勧めの日本映画は?=えーーこれ?と思える意外な作品を推薦
●「大日本帝国」
もう、タイトルからして軍国主義バンザーイという物。写真のポスターを見ても戦争称賛映画に見えるが、内容は全然違う。凄い。日本の戦争映画の中で唯一、天皇責任問題を追求している。公開当時、戦争映画ブームということもあり、あちこちで予告編を見て「絶対に見ない!」と誓った作品だが、本当に凄い。
ほとんどの映画が「天皇責任」を避けて作る中、この作品ではそれを考えさせる。「陛下。あなたのせいで我々はこんな思いをしたのでよ!どうお考えですか!」という脚本家の叫びを強く感じる。夏目雅子、関根恵子ら女優陣が素晴らしい。
●「激動の昭和史シリーズ 軍閥」
毎日新聞記者の視点。いかに社が軍の圧力に屈していくか?も描いている。調べてみると戦時中、毎日が日本で一番売れている新聞だった。が、朝日新聞が戦争記事を連発。軍に接近、次第に大本営発表になっていく。そして毎日を発行部数で追い抜く。(まさに今の朝日グループと同様)その毎日新聞記者の視点で描くのが後半。岡本喜八監督の「激動の昭和史 沖縄決戦」に次ぐ、「激動の昭和史」シリーズ第二弾。意外に知名度はない作品だが、名作。
●「軍旗はためく下に」
これも軍国主義的なタイトルだが、心に刺さる。戦死した夫の遺族年金が出ない。役所が言うには処刑されたからと言う。そんなはずはない。と妻が自分で関係者を探し出し、真相を探ると。。。。と言う物語。日本軍の狂気的な状態が明確になっていく。かなり辛い。監督がなんと深作欣二。
3本とも。タイトルだけ見ると「絶対に見ない!」と思えるが、どれも力作。カッコいい戦争を描いていない。過酷な、人間性無視の戦争を真っ直ぐに描いている。戦記ものの勇敢な軍人物語ではない。現実の戦争を描いた名作。いずれもDVDになっている。Amazonプライムで見れるのもある。興味ある方はぜひ。