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「プロジェクトX」の思い出。あれもドキュメンタリー、涙と感動があった。その秘密を分析してみた。 [編集作業]

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「プロジェクトX」の思い出。あれもドキュメンタリー、涙と感動があった。その秘密を分析してみた。

「監督。泣けるドキュメンタリーがあるんですよ。それもビデオテープの話で! 凄いんですよ!」

そもそもドキュメンタリーというと勉強にはなるが退屈なもの。それが泣けるドキュメンタリーなんて!それもビデオテープの話で泣けるなんて、想像が付かない。でも、その番組こそが「プロジェクトX」だった。友人がいうのはVHSの回。名作中の名作だ。

それから毎週、録画して見るようにした。しかし、放送しているのはあの某国営放送(?)だ。お金と時間と労力はかけるが、ひたすら真面目で退屈なドキュメンタリーしか作らないところ。それが「プロジェクトX」はとてもよく出来ている。

そもそも、昔は商品名を番組では絶対に言わせないことで有名だった局。紅白歌合戦でも山口百恵の「プレイバックpart2」の歌詞で「真っ赤なポルシェ」を「真っ赤な車」と言い換えて歌わせたい局である。それが「プロジェクトX」はまるで企業の宣伝番組のように特定企業の努力と奮闘を描いている。

小さな企業からビクター、マツダ、日清、SONYと大企業まで。でも、単なる企業PRではない、そこで働く名もなき社員たちの奮闘こそを讃える番組になっている。人間ドラマになっていて感動できる。この論法。僕が作る故郷映画と同じだ。

その街の魅力を伝えるために映画を作る。でも、直接的に街のPRはしない。感動ドラマを描く。だからこそ見た人は「あの街に行ってみたい」になる。「プロジェクトX」も同じで、会社自体をアピールするのではなく、そこで働く人の感動ドラマ。だから、見ていて「企業PRかよ!」とは思わず感動する。同時に企業にも好感を持つ。

僕が好きなのはマツダを舞台とした「ロータリーエンジン 四七士」のエピソード。これはもう冒頭から涙なしに見れない。原爆を落とされ壊滅した広島の街。そこにある小さな自動車会社。そこから200年間、不可能と言われたロータリーエンジン開発に挑戦する。見ていて「頑張れ!」と心から応援してしまう。

これは題材もいいし、実話なので胸を打つということはあるが、番組の作り、演出がうまいのだ。実はその当時、僕は映画のメイキングを撮ることが多かった。当時は猫も杓子もDVDにはメイキングが収録されていた。が、どれもただただ撮影現場を記録しただけのもので、5分見たらもういい!というものが多かった。

そこで僕はメイキングというより、ドキュメンタリーにしよう。スタッフや俳優の隠れた奮闘を描こう。感動物語にしよう!と考えた。泣けるメイキングを目指した。それを実践していただけに、「プロジェクトX」は同じコンセプトであることを感じたのだ。

その番組がamazonプライムでも見れることを知り、現在、「沖縄戦」ドキュメンタリーを編集中ということもあり、いくつか見直してみた。分析すると手法はこうだ。

「当時の記録映像&写真」
「現在の映像」
「インタビュー」
「スタジオでの解説」
「ゲストを呼んでインタビュー」
「再現」
「中島みゆきの主題歌&エンディング」

当時、撮影した社内の記録映像はあるが、あくまでも記録。そして写真を使って、番組は見事に物語を紹介していく、ナレーターの田口トモロヲさんの語る力も大きい。それを確認して、「沖縄戦」も今ある素材で十分に悲しみを伝える作品にできると思えた。

どうしてもドキュメンタリーというと現実を撮影したものを見せるという印象が強い。現代物はそれでもいい。しかし、過去のことは一部の記録映像しか残っていない。それだけを繋いでも伝わらない。それ以外の部分でいかに事実を伝えるか? そこで証言を多用しがちなのだが、話だけではやはり、イメージし辛い。では?という演出が必要なのだ。そんなことを考えながら、編集作業を続ける。


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