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「戦争と人間 第2部 愛と悲しみの山河 「ガンダム」の原点はこの映画! [映画&ドラマ感想]

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もう一つ、気づいたことは「機動戦士ガンダム」の原型はこの映画であろうと言うこと。「戦争と人間」は死の商人といえる五代財閥を中心に描かれる。頭首が長男の滝沢修、彼がギレンザビ。次男で切れ者の満洲支社長が芦田伸介。これがギレン。長男・高橋悦史=ドズル。長女で兄も顔負けの政治通が浅丘ルリ子=キシリア。とほぼ当てはまる。さらに次男・北大路欣也は戦争や財閥に疑問を感じる純粋な若者。「ゴッドファーザー 」で言うとマイケル・コルレオーネだが、彼はガルマではなくシャアのモデルだろう。そして同じく戦争に疑問を持ち、反戦主義者(山本圭)を愛する次女(吉永小百合)がセーラ。こう考えると、ザビ家とダイクン家がほぼ当てはまる。

 「ファーストガンダム」のランバラルが死んだ後のエピソードで、松林宗恵監督の「太平洋の嵐」と同じ場面がある。富野喜幸監督は戦争マニアというだけでなく戦争映画もかなり見ていて、そこから「ガンダム」の世界を創造したと思える。だから、リアルであり、大人が見られるドラマになっている。そのベースが多くの戦争映画にあったのだろう。そんなガンダムの世界観と思うと、複雑な人間関係と政治的背景がある「戦争と人間」も非常に見やすくなる。


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「戦争と人間」物語やテーマだけでなく俳優陣が素晴らしい。 [映画&ドラマ感想]

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 「戦争と人間」物語やテーマだけでなく俳優陣が素晴らしい。その後のテレビドラマでよく知っているが、あまりぱっとしないと思えていた俳優が衝撃的な芝居をしている。先にも書いたが地井武男は本当に凄い。あんなギラギラした野生的な演技ができる人とは思わなかった。そして三国連太郎。僕が意識したのは百恵ちゃんの「赤い疑惑。あの憎らしいお父さん役で全国的にも話題になったが、この時代はまだ細く、今の佐藤浩一のような感じ。だが、息子はまだまだ父の凄さに追いついていない。地井武男とは違う感じの、危なさがあり、出てくるだけで緊張感が広がる。今、こんなタイプの俳優はいない。

 特筆すべきは女優陣。浅丘ルリ子が本当に凄い。イメージはスカーレット・オハラだが、それを体現している。存在感が凄い。「寅さん」のリリーさんが印象的だったが、元々はこちらが浅丘ルリ子なのだろう。日本のビビアン・リーという感じ。そして、吉永小百合。どうしても、この時代はアイドル的な印象が強く、何に出ても似た感じを受けていたが、この作品では鮮烈な印象がある。派手さでは浅丘ルリ子だが、淡い光を放つ貴重な存在。緊迫した物語なので、吉永が出てくるだけでほっとする。

さらに栗原小巻は大金持ちの中国人家庭に生まれながら、抗日運動に身を捧げる女性を演じているが、こちらも存在感、強。それでいうと怪しい中国人女性を岸田今日子が演じているが、まさにまさに!という感じ。それぞれが別の個性で、別の魅力を発信。戦争映画は女性がかすみがちだが、これら女優陣は男性陣を圧倒する存在感を発揮している。

 二谷英明も重要な役で登場するが、第2部には登場せず。とても残念。財閥のボスが滝沢修、芦田伸介。この手の貫禄ある俳優がトップを演じると、映像にでなくても財閥の力がどれほどのものか?感じ取れる。裕次郎もいい役だが、出番は少なく、第1部のみ。主演映画で忙しく、メインキャラにはできなかったのではないか? 

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「戦争と人間」第2部 愛と悲しみの山河ー地井武男、三国連太郎が素晴らしい! [映画&ドラマ感想]

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 第2部 愛と悲しみの山河ー3時間一気に見てしまう。1時間半で休憩があるのだけど、その最後の場面が強烈。地井武男扮する朝鮮人パルチザンの恋人が日本軍に殺されて、雪に埋める。彼の家族もまた全員、日本軍に殺され、満洲に流れてきて抗日活動を続けている。「太陽にほえろ」や「北の国から」のいいおじさん役のイメージしかなかったので驚愕。先に見た「沖縄」でも地元で労働運動をする青年役が強烈だったが、彼は本来、この手のギラギラした役が得意の俳優だったのだろう。

 そんな彼が復讐を誓い夕陽に向かって歩いていく場面で前半終了。早く続きが見たくなり結局、3時間一気に見てしまった。この映画。中学の時に「月曜ロードショー」(荻昌弘が解説)で見ていたが、当時はほとんど意味が分からなかった。が、なぜか?心に残り、もう一度見なければ!と、80年代にBSで放映されたときのVHSを保存していたが、なかなか見る機会がなかった。それがようやく「沖縄戦」を完成。太平洋戦争を勉強。さらに、映画公開後にそれ以前を学んだことで、ようやく、日中戦争に至るまでの流れを把握。この映画を見ても背景が分かるようになった。

 そして非常に興味深いのは、この作品。あえて言えば日本が悪役として描かれている。列強を目指す日本が中国を侵略する話として進む。ただ、日本人全てが悪ではなく、戦争に対して疑問を持つ者、反対する者、そのことで引き裂かれる愛を描くことで、戦争を背景とした大河ドラマとなっている。NHKは時代劇ばかりでなく、この原作を1年がかりで大河として放送するべき。日本人は戦国時代や江戸時代は詳しいのに、昭和に疎いのはNHKと教育の責任が大きいと思える。

 また、他の軍記物映画と違い、こちらは基本ラブストーリーだ。北大路欣也は兄の元妻である年上の女性・佐久間良子と愛し合う。吉永小百合は兄の親友である共産主義者の山本圭に恋している。中国の大金持ちの娘ながら抗日運動に参加する栗原小巻は日本人医師である加藤剛を愛し、五代財閥の満洲支社で働く高橋幸治は中国人妻(松原智恵子)を抗日パルチザンに殺される。五代財閥の長女・浅丘ルリ子は軍人である高橋英樹を愛する。それぞれが戦争に翻弄され、愛する人を奪われ、失い、踏みにじられて行く。ここが他の戦争映画のように単なる歴史の再現ではないところ。日本版の「風と共に去りぬ」や「戦争と平和」を目指したのではないか?と思える。

 しかし、見るたびに思うのは、豪華俳優人。膨大な製作費。踏み込んだ日本の贖罪。財閥の罪。今では切り込めない闇の部分まで描いている。今回は731部隊の蛮行まで紹介。まだ、森村誠一の「悪魔の飽食」が出版される前の時代。よくぞ描いた!という描写の連続だ。そして、この映画が当時、大ヒットしたというのだから凄い。日本人がまだ戦争を忘れないでいた時代なのだ。

 さて、残るは「完結編」確かクライマックスはソ連で撮影した、ノモンハン事件のはず。どのような結末になるのか? ただ、あれこれネットで調べると、このシリーズ。どれも膨大な製作費がかかるので日活の重荷になり、本来4部作だったのが、3で打ち切りとなったらしい。テレビ放送された時に荻昌弘が解説で「財閥の責任追及がなされていない」と言っていたのはそのせいなのだ。とりあえず、今夜、映画版の「完結編」を見る。ちなみにamazonプライムで現在は視聴可能。興味ある方はぜひ!



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