昨年12月に上映。話題になった「ドキュメンタリー沖縄戦」今回は南風原で上映会! 2月28日(金)18:30〜 [告知]
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「虹をつかむ男 南国奮闘編」は「寅」の49作目? [映画&ドラマ感想]
「虹をつかむ男 南国奮闘編」は「寅」の49作目?
「男はつらいよ」の「リリー」シリーズ4本を見て傷心。調べると、山田洋次監督は50作まで作りたかったとのこと。最終作の「紅い花」は48作目。つまり、あと2本あった。すでに物語は作られていたそうだ。
「紅い花」で結婚式を邪魔した満男は、49作目で泉ちゃんと結婚式を挙げる。それに一躍買うのが寅おじさん。そんな物語で、マドンナも田中裕子が決定。タイトルは「寅次郎花へんろ」とされていた。が、48作目で渥美清さんが亡くなり、シリーズは中止になった。
代わりに作られたのが西田敏行主演の「虹をつかむ男」。48作目に予定されていたキャストがそのまま移行。満男を演じた吉岡秀隆の両親は倍賞千恵子と前田吟。寅さんに当たる主人公を西田敏行が演じた。田中裕子も出演。ただ、舞台が映画館と言うこともあり「映画愛」全開のドラマで、映画関係者から見ると、自画自賛的に思えて、どうなのかなあ?と感じた。
が、その続編「虹をつかむ男 南国奮闘編」はかなり「男はつらいよ」的な物語になっていた。満男、いや、吉岡秀隆の家出から始まるところは「泉ちゃん」シリーズを思い出す。向かうは奄美大島。シリーズ最終作の「紅い花」の舞台である。そこで出会う小泉今日子扮する島の女性。その兄(哀川翔)。この物語が「寅」の49作目に用意していた物語を受け継いでいると言う。
1作目とはかなり違うテイストで「寅」のノリ。結局、吉岡も西田(マドンナの松坂慶子に恋する)も振られて終わる。もし、渥美清が生きていたら、この物語が49作目になっていたのだ。そして50作目で山田監督は寅を結婚させて完結させようと考えたと言う。マドンナは何と黒柳徹子。渥美とは昔からの親友。寅さんはテキ屋を辞め、幼稚園の用務員さんをしている。そこで亡くなると言う設定だったらしい。
結局、リリーさんとは結ばれないのだが、リリー役の浅丘ルリ子は「結婚させてほしい」と山田監督に直談判したと聞く。しかし、映画というのは監督の思うようにさえならない。渥美が死去し、寅の結婚は亡くなり、公開中の50作目では、寅さんはどこかで生きている。どこかの街の幼稚園で用務員をしているかもしれないが、それを満男達は知らない。そんな結末となった。
事実上の最終作。「男はつらいよ 紅い花」を見終える。=リリーシリーズの最終回。寂しさに包まれる。 [映画&ドラマ感想]
事実上の最終作。「男はつらいよ 紅い花」を見終える。=リリーシリーズの最終回。寂しさに包まれる。
本当は昨夜、見始めたのだが、何だか寂しくなり、残りを今日に残して置いた。日が暮れたら見ようと思ったのだけど、気になって見てしまった。
奄美大島で満男と寅が再会する場面は涙が出た。なぜだろう? 現在公開中の50作目「おかえり寅さん」で満男は何度も「おじさんに会いたい」と言うのだが、結局会えずに映画は終わる。その満男の思いが叶い、おじさんに会えたように感じたからだろう。
ああ、トラさんはまだ元気でいる。満男の前で四角顔をしている。劇中では今回の50作目でも、寅は死んだことにはなっていない。きっと日本のどこかにいるんだよ。と言う設定。でも、観客である僕らは知っている。寅を演じた渥美清はもうこの世にいない。もう、満男がおじさんに会って喜ぶシーンをスクリーンでは見ること。もうできないのだ。そう思うとまた涙が溢れた。
この作品もちゃんと映画館で見ているのだが、リリーとの恋の結末が思い出せなままNetflixで見ていた。リリーシリーズの第1弾「忘れな草」では最後に寅とリリーは喧嘩、リリーが飛び出して行き、そのまま別の男(アラシ隊員)と結婚してしまう。
第2弾の「相合い傘」ではリリーが「寅さんとなら結婚してもいい」と言うが、寅が「冗談だろ」と言い2人は別れる。そして3弾の「ハイビスカス」では寅が「俺と所帯を持つか?」と言うのだが、リリーが「冗談きつい」とはぐらかす。
そう、2人は同じことを繰り返している。そして最終作では、2人は喧嘩して、今回はリリーではなく寅が家を出て行ってしまう。シリーズ第1弾の逆をやっている。
それで言うと、その第1弾でリリーが寅屋に行ったとき、おいちゃん達が寅の歴代女性の話をして盛り上がるが、今回は、寅と満男が同じ話をする。そして最後は寅がリリーを送って行き、一緒にタクシーに乗ってしまうのだが、満男の泉ちゃんシリーズでも、送っていたホームで一緒に新幹線に乗ってしまう。同じ構図になっている。
映画館で見たときは、それぞれの作品が何年も経っているので気づかなかったが、そんな繰り返しが描かれていたのだ。それが意味するものは何か? 人生は同じ繰り返し。人はそこに笑いと涙を顧みる。2弾と3弾で2人は「冗談」ではぐらかし、結婚を避けてしまうが、寅もリリーも「自分なんかじゃダメだ。この人にはもっと素敵な人がいるはず....」と言う思いで身を引いている。
寅が振られた訳ではない。そんな寅とリリーは以降会うこともなく、公開中の50作目にはリリーだけが登場。人生とは何だろう?幸せとは何だろう?それを求め続けたのが、このシリーズだったのかもしれない。そう考えるとまた泣けてくる。
「ディアハンター」ベトナム戦争を描いた金字塔!=打ちのめされた。 [映画&ドラマ感想]
「ディアハンター」ベトナム戦争を描いた金字塔!=打ちのめされた。
若い頃から戦争映画は好きではなく、よほど有名な作品しか見てなかった。が、「ドキュメンタリー沖縄戦」を手がかるようになってからは、あれこれ見るようにしている。どうも昔の戦争映画は武勇伝的なもの、戦記物的な描き方が多いのが好きになれない理由の一つだったようだ。
それらのパターンでない映画をもう一度見ようと、あれこれ考えて「ディアハンター」を再度見た。と言っても1979年の公開以来だ。当時、大阪のOS劇場で見た。アカデミー賞も受賞した名作。大ヒットした。あれからちょうど40年。DVDで見直した。
この映画。ベトナム戦争ものと思って観ると最初の1時間はずっとペンシルバニアの田舎町が舞台。デニーロたちが演じる鉄工場で働く兄ちゃんたちの馬鹿騒ぎや結婚式が延々と描かれる。マイケル・チミノ監督の得意パターン。ベトナム戦が描かれるのは1時間を過ぎてから、それも戦闘シーンは15分。あとはあのロシアンルーレット。それが15分ほど。次の30分はサイゴンの話。
そのあとアメリカに戻り。デニーロは親友を探しに再びサイゴンへ。となる。超大作のイメージがあったが、実は戦闘シーンは僅か!ロシアンルーレットの場面はもう見ていても苦痛だが、製作費的には大した額はかかっていない。もちろん、15分の戦闘シーンだけでも、日本映画何本分?という額だが、思った以上に戦争場面は少ない。
それでも成り立つんだ....という思い。ロシアンルーレットの場面に戦争の狂気が集約されているし、決して低予算感はない(製作費はかなりかかっている!が、使い方が意外だった)。このスタイルは応用できるのでは? それはさておき、3時間3分のこの映画。見終わると打ちのめされ、何も言えなくなる。よくある戦争映画の爽快感はなく、友人を失ったデニーロたちの悲痛な思いが伝わり、自身の友達を亡くしたかのように暗くなる。
アカデミー賞に相応しい名作。もう少し、あれこれ戦争映画を勉強しよう。
俳優業は「本当の自分探し」弱点と強みを知ることで伸びる? =第2回ワークショップ参加者募集中! [2020]
俳優業は「本当の自分探し」弱点と強みを知ることで伸びる?
=第2回ワークショップ参加者募集中!
昨年のワークショップに参加した俳優たちから、その後、礼状や感想文が届いた。「太田監督はもっと怖い人だと思っていました」とというのもあり笑ってしまう。俳優経験が長い方からはこんな感想も頂いた。
「往往にして指導する側は、演技を技術や完成度で判断してしまいますが、太田監督のコメントは、“のびしろ“ に重点をおいた視点で評価されていることでした。これは特に未完成の方に対しては励まし、プラスの効果を及ぼし得る重要な視点だと感じました。また、作品において、まったく未経験の若い子に素晴らしい演技をさせているのもこの視点あってのものと理解しました」
鋭く見てくれていて嬉しかった。通常ワークショップというのは、現場のリハーサルに近く、脚本のある役を演じて、監督が問題点を指摘するという形。要はその監督のイメージにどう近くか?という現場に近いレッスンとなる。
その場合。その監督側の思いを理解し、表現するということがメインとなる。それは他の監督と仕事をした時には「思いを理解する」という方法論が大事ということしか役に立たない。そこで、その俳優の良い点は何で、問題点は何か? つまり、その監督とは関係なしに、どんな力を持ち、何ができていないか?を中心に進める。
これは通常のワークショップとは違い「自己発見」が目的。つまり、演技レッスンというより、啓発セミナー(怪しくないやつね)や心理カウンセリングのようなもの。そのことで俳優は無意識にある「思い」を自覚できる。弱点は本人も気付きやすいが、優れた点は本人は分からないことが多い。当たり前だと思っていたことが人にはできない表現であったりする。
いろんな年齢の役を演じる。いろんな職業を演じてみる。そのことでどんな役が得意で、何が苦手かが分かる。演技というのは基本、心理学と同じであり、俳優という仕事は「本当の自分探し」。他人を演じていくことで自分を発見する職業だと思える。そんな発想でレッスンすることで、いろんなことを俳優は知ることができる。先の感想はその一端を言い当ててくれて、嬉しく思った。
難しく書いたが、現場ではそのテーマに気づく人はほとんどいない。が、弱点や強みを意識することで俳優は大きく伸びる。僕のワークショップがそんなきっかけになってくれれば嬉しい。ということで来月に第2回を開催。参加を募集中だ。
詳しくは=>https://cinematic-arts.blog.ss-blog.jp/2020-01-09