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俳優は超能力者?!=撮影のたびに驚愕する名女優たちとの思い出② [編集作業]

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俳優は超能力者?!=撮影のたびに驚愕する名女優たちとの思い出

俳優っていうと、綺麗、可愛い、カッコいいという印象が最初に来がちだけど、一緒に仕事をしていて、いつも感じるんのは別のことだ。綺麗、可愛い、かっこいいならモデルさんだって同じ。でも、俳優たちはモデルとは違う魅力があり、存在感と凄さがある。

それって何なんだろう?と考えるが、「超能力」と言うのが相応しいのではないか? そういうとテレポートやサイコキネシスを使うの?と言われそうだが、それに近いものがある。例えばオリンピック選手と同じ。マラソンや水泳は誰でもある程度できるので、タイムやスピードの凄さは体感し辛く伝わりにくいが、アイススケートや平行棒など、やはり超能力としか言えない凄さがある。

俳優のそれも分かりにくいが、同等のものを感じる。他人の人生を演じて、自分が体験していない悲しみや喜びを表現してしまうのはやはり超能力だろう。そんなことを現場で何度も見ている。「向日葵の丘」の常盤貴子さんのクライマックのスピーチは、本人の言葉としか思えない。僕自身が書いた台詞なのだけど、聞いていて「いいこと言うなあ〜」と思ってしまった。

「明日にかける橋」の田中美里さんが娘とは知らず鈴木杏ちゃんに、娘に伝えなかった思いを食堂で語る場面も、母親である彼女が悩み考えて、言葉にしているとしか思えない切迫感があった。いずれのシーンも、5分前後の長い場面を台詞だけで引っ張って行く。撮影時はもちろんワンカット・ワンシーン。

力のない俳優や新人では絶対にできない表現力なのだ。僕は特に自分でシナリオを書くので感じるが、僕自身があれこれ考えて書いた台詞。それ自体はもちろん人生を刻み込んだ言葉なのだが、それだけでは人々を感動させることはできない。

でも、常盤貴子さんや田中美里さんが演じ、台詞を言葉にすると、誰が見ても分かり、感動する。別の言い方をすると、どんな素敵な歌詞があっても、それはポエムと同じで「いいね!」で終わることが多いが、力のある歌手が歌うと物凄い感動になる。それはある種の超能力だ。「明日にかける橋」は全国のTUTAYAでレンタル中。DVDで俳優陣の素晴らしい演技を確かめてほしい。


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俳優は超能力者?!=撮影のたびに驚愕する名女優たちとの思い出② [映画業界物語]

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俳優は超能力者?!=撮影のたびに驚愕する名女優たちとの思い出②

一番最初に「凄すぎる!」と思った俳優さんは、三船美佳さんだ。僕が監督するドラマに出てくれた時。あの世界のミフネ、三船敏郎さんのお嬢さんだ。ある撮影で、状態を説明するときに、どうしても言葉にできなくて困った。大概のことは言えるのだが、それは理屈ではなく、リズムだった。仕方なしに。

「三船さん。意味わからないとは思うけど、ここはパパパン。パン。パパパンって感じなんですよ」

と話した。監督失格。ちゃんと説明しろよ!と言う感じだが、三船さんは、

「何か、分かったような気がします。一度、やらせてください」

と本番に挑んだ。それが、何と、僕のイメージ通りに演じてくれたのだ! 何で分かったの? あんな説明で???と訊くと、

「何か、そんなことを求められているのかな?と思って!」

と笑う。超能力者かと思った。なぜ、言葉で説明できないものを理解して演じてしまえるのか? そんなことがあって僕の監督デビュー作である「ストロベリーフィールズ」の出演もお願いした。

この後もいろんな俳優さんと仕事をしたが、第1線で活躍している人たちは同じ力を感じる。下手な説明を理解してくれるだけでなく、何も言わなくてもこちらが求める通りに演じてくれる。「明日にかける橋」の鈴木杏ちゃんも本当に凄かった。天才だと思った。

あと「ストロベリーフィールズ」に出てくれた谷村美月さんも天才少女。あの映画の後に大ブレイク。今もテレビ、映画、舞台と活躍中。女優は20歳を過ぎたら厳しい時代を迎えるが「ス」から14年。今だに彼女は引っ張りだこ。今放送中の「相棒」新シーズンのオープニングエピソード前後編の犯人も演じていた。

女優さんの話ばかりなので、男性陣も!と思うが、文章がすでに長くなったので、その辺はまたの機会に。とにかく、俳優というのは超能力者に近い。というのが僕の持論。だから、感動を伝えることができる。



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沖縄戦ドキュメンタリー進行報告。ブラック企業で行こう!? [映画業界物語]

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沖縄戦ドキュメンタリー進行報告。ブラック企業で行こう!?

沖縄地図をタイムラインに入れた。そこに矢印、星条旗、地名を入れて、それぞれの戦闘がどこで行われ、アメリカ軍はどのように進撃して行ったか?を示す映像を作る。前回も書いたが本来は、専門業者に出す仕事。監督の範疇ではない。が、取材に費用をなるべくかけたかったので、それ以外は僕自身が対応して費用をかけないという方針出来た。

「最近の映画は低予算が多いから、監督さんが何人分も働き大変ですね〜」

と思う方もいるだろう。でも、現実はそうでもない。というのは、もともと監督というのは文句を言うだけで自分では何もできない職業。カメラも回せない。照明機材も扱えない。マイクも持てない。編集もできない。でも、だから、自由な発想であれこれ言えるし、技術部に精通していないから無茶も言える。ただ、その場合はPからこう言われがち。

「監督。もう製作費がないので、この作業はなしということで...」

例えば作品内で提示される地図はなし!とかいうことになる。だって、金がなければ作業を頼めない。Pや監督がタダ働きするとしても、機材を使いこなせない。だから、カット。費用がないから! 他にも

●音楽は安い新人に頼む=>当然、クオリティ低い! 

●費用がないから編集は1ヶ月で!=>当然、安易な編集しかできない。

「それなら、せめて編集は俺が!」

黒澤明監督も、大林宣彦監督もご自身が編集する。ところが多くの監督は自身で編集できない。センスや技術だけでなく、今はパソコン編集なのでソフトを使いこなせないとダメ。若い監督ならできるのだろうが、僕の同世代で知る限り、できるは僕と、あと1人2人いるかどうか? 皆、スタッフを雇って作業させる。当然、人件費がかかる。

こうやって作品レベルが低くなり、安かろう悪かろうというものが出来上がる。でも、それが予算に見合ったレベルなのだ。沖縄戦のドキュメンタリー(NHK以外で)ずば抜けたものがないのは、そもそも爆発的には売れないであろう作品に多額の費用はかけられず、その費用ではクオリティの低いものしかできない。だから余計に見る人も減る。

ただ、僕の場合はもともと自主映画をやっていて、1人で全部やっていた。シナリオ、監督、撮影、編集と、やっていた。その流れで監督デビュー以前から編集ソフトを使っていた。さほど器用ではないが、自分の仕事以外のパートもやってみたい。

映画の時も小道具探しとか本来、美術部や演出部がやる仕事もやる。特殊なもの。中古レコードとか昔の雑誌を探すのなら、僕の方が早い。撮影現場でもカメラマンは2人。カメラを3台回さねばならない時は僕も回す。

そんなことで器用貧乏。でも、そのことで7倍働けば人件費が節約できる。2倍近い費用で作品を作っていることになる。だから「予算の都合で地図はカット!」とか「音楽は安い新人に」「編集は1ヶ月で済ませる」というクオリティ低下に繋がる対処をしなくてもいい。

これ言い換えれば、ブラック企業が人件費を抑えて社員を必要以上に働かせることで赤字にならず、業績を維持しているのと、同じなのだが、僕の場合はそれを望んでやっている訳だ。でも、その方法論はいつまでも続けられない。年齢の問題で無理が利かなくなってくる。体力の問題もある。生活もある。しかし、行けるかところまで行ってみたい。



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編集するとなぜ、腹が減るのか? パソコン前から動かないのに? [編集作業]

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編集するとなぜ、腹が減るのか? パソコン前から動かないのに?

お菓子とか甘いものは滅多に食べないのだけど、シナリオ執筆と編集の時は食べたくなる。お菓子どころか、めちゃめちゃお腹が空く。ずっとパソコンに向かって作業するだけなのに、なぜ腹が減る??と考えたら、物凄く頭を使う。脳は糖分しかエネルギーにならないので、甘いものが必要になる。その消費量が物凄いのでやたらお腹が減ることが分かった。

だから、編集しながらお菓子をかじる。だいたい、チョコレートかせんべい。でも、お菓子ってカロリーが高くて、気づくと体重が3キロも増えてしまった。編集終わったらジョギングでもしようか?と思っていて、久々に体重を測ったら、元に戻っていた。恐るべき編集作業でのカロリー消費。3キロ痩せるのは大変。それをパソコン前で作業するだけで消費してしまうのだ。

編集ダイエットというのを考案しようかな? 本日も作業。ついに終盤戦。



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編集は技術だけではない。センスと感性が勝負? [編集作業]

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編集は技術だけではない。センスと感性が勝負?

昔から編集にはこだわりがある。どんなに素晴らしい映像が撮影されていても、編集次第に名作にも駄作にもなるからだ。しかし、編集をしたことのない人には理解しづらいようだ。

「シナリオがあり、それに沿って撮影された映像。それを繋げば誰がやっても同じような編集になるのではないか?」

確かに昔の日本映画ならそれも言えた。日本式は編集を考えて、それに必要な部分だけを撮影する。なので、素材をつなげれば編集は終了。映画が出来上がる。ところがハリウッドでは同じ芝居をいろんな角度から撮影する。その素材を編集するので、担当する人の感性やセンスでかなり違ってくる。

引き絵から入り、アップの切り返し。アップから入って引き絵を見せる。いろんなパターンで編集できる。近年、そのハリウッド式。つまり、マルチカム方式で撮影される日本映画が多い。岩井俊二監督。行定勲監督らもこのスタイルと聞く。僕も監督デビュー時というより、学生映画の頃からそのスタイルだ。

だが、当初は日本映画の方法論とは違うため、ベテランの映画人には「邪道だ」と嫌がられることが多かった。が、最近では多くの監督が使う手法であり、若いスタッフは当然のことと理解し近年では全く問題ない。というか、僕らの世代が現場で最年長になり上がいなくなったというのが理由だろう。

そんなハリウッド式で編集するには、ただシナリオ通りに繋いではダメだ。一度だけ、ある作品でスタッフが仮編集をやってくれたことがある。が、もう、学生映画のようなノリで

「こんな風になってしまったのか〜」

と落胆したが、直すといつもの感じが出た。決してそのスタッフの腕が悪い訳ではない。正攻法の編集だとそうなる。気づいたのは、僕の編集が独特ということ。実は編集の勉強をしたことはない。映画学校ではそんな授業があったかもしれないが、その手の授業には出なかったし、本で勉強もしていない。

誰かに師事したこともない。8ミリフィルムを使った学生映画を作りながら、あれこれ試して覚えた。あとは、名作映画をビデオで録り(当時はDVDはなく、レンタルもまだ普及していなかったので、テレビ洋画劇場を録画)気になる編集を繰り返し見て、そのテクニックを覚えた。

ある時、気づいた。僕の映画。シナリオ時には1時間45分くらいなのに(ページ数で上映時間が読める)完成すると2時間超え。毎回、シナリオより長くなる? なんでだろ? と思っていたら、あるスタッフさんに言われた。

「太田さんの編集は間を伸ばすことが多い。だから、長くなるんですよ」

なるほど!自分では気づかなかった。が、これは編集テクニックの基本。例えば.....

男「君のことが好き!」

女「私もあなたが好き」

というセリフがある。この間が問題。もし「好き」と言われて間髪入れずに「私も」とくると、女も男のことが本当に好きだが、その間が長いと「本当は好きじゃないけど、傷つけたくなくて好きと言ったのかも?」という解釈もできる。あるいは「告白に胸打たれて、内気のその女性もついに告白した」という表現にも見える。

それは設定やキャラにもよるが、新人俳優の場合。そこまで考えずに演技することがある。その場合は編集で何とかすることができる。ただ、これが古い日本映画式撮影で、それも2人を真横からツーショットで撮っていたアウト。それぞれの表情を別アングルで撮って初めて編集でなんとかできる。あるハリウッド監督はいう。

「名演技は編集室で作られる」

その通り。さらにその監督はこういう。

「あの女優(S Sさん)。賞を取ってご満悦だが、素材を見たら目も当てられない演技だった。僕らが編集室で奮闘したので、あの演技になった。俺たちが受賞すべきだよな?」

これはかなり皮肉が入っているが、編集次第で作品は大きく変化する。泣けるはずの場面が泣けない。多くは編集だ。先にも書いた間の取り方。センスや感性のない人が編集すると、アウト。僕らが学生時代の日本映画は本当に酷かったが、考えると、当時の編集はかなりお年の方が担当していたのを思い出す。

もちろん、年齢だけではない。ただ、どうしても歳を取ると時代から遅れてしまうことはある。つまり「古臭い」となる。編集はテクニックや技術だけでなく、そんなセンスと感性がとても大事なのだ。とあれこれ書いて話を戻すが、スタジオの人がやってくれた編集に比べて、僕の編集はかなり個性的だと意識した。

例えればキースリチャーズがすでに調整されたギターの弦をあえて緩めて独自の状態のものにして弾いたり。ブライアンメイが手作りでギターを作り、ピック代わりにコインで弾くようなもの。それによって真似できない独特のスタイルを作り出す。そこまで行かないが、僕の方法論も普通ではないようだ。

と言って斬新とか前衛的ではない。編集にこだわらない人が見て僕の編集を「おおー」とは思わない。そして驚かれてはいけない。物語に集中してもらわないければならない。そこに太田組作品が他の映画と違う個性を作り出しているのだと想像する(?)なかなか、自分のスタイルは分からない。


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