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知られざる沖縄の悲しみ。なぜ、伝える作品がなかったのか?=3月末に完成予定。 [編集作業]

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知られざる沖縄の悲しみ。なぜ、伝える作品がなかったのか?=3月末に完成予定。

沖縄戦ドキュメンタリー制作。3月末には完成予定。ここまで来ると作品のカラーやテイストも明確になってきた。こういうと意外だと思われるが「こんな作品になるとは思わなかった」ーというのは、どうしてもドキュメンタリーというと、NHK的なイメージがあり、あんな風にはしたくない!という思いがあった。マイケル・ムーア調ではないし、あの作風を真似るだけでも大変。

「この作品を目指す!」

というものはなかった。「プロジェクトX」は参考にしたが、目指したわけではない。あれこれ葛藤したが、最終的には自分らしいカラーの作品になりそうだ。

「自分で作ってんだから、自分らしくなるよ!」

と思うかもしれない。でも、自分らしさを出すのはとても難しいこと。ゴールデンタイムに放送している連ドラ。12話を3人くらいのディレクターが担当している。が、毎回、同じカラーでテイスト。個人のカラー出てないでしょう? ま、連ドラは毎回違う個性が出ても困るのだけど。ディレクターという人たちが撮るとそうなる。

映画でもシーリーズもの。「007」とか皆、同じテイスト。あれは職人監督を起用するから。期間内に、予算内で、それなりに面白い作品を、トラブルを起こさすに仕上げる。それが職人監督。その監督が撮ると明らかに他とは違うというのは「作家」タイプ。スタンリーキューブリックやデビッド・リーン。作品にも主張があり、メッセージがある。

日本で言えば黒澤明、

大林宣彦、岡本喜八、木下恵介、小津安二郎、溝口健二等、そんなタイプの多くは巨匠と呼ばれる。作品から彼らの個性が溢れる。つまり作品に個性が出るというのは、なかなか大変であり、個性が出せるのは巨匠の域なのだ。

ま、僕はまだまだそこまで行かないが、NHKとは違うドキュメンタリーはできそうだ。しかし、この3年。沖縄戦を勉強して思ったこと。なぜ、戦後70年も経つのに知らなかったのか?ということ。もちろん、勉強していないからだが、同時に、それをなぜ、教育、マスコミ、テレビ、映画、漫画は伝えなかったのか?

授業では太平洋戦争前に3学期は終わる。

テレビでは終戦記念日が近づくと特集を放送するが、ドキュメンタリーは断片的。もちろん1時間番組で沖縄戦の全ては描けない。が、それに挑戦している作品を見つけることはできなかった。また、ドラマや映画でも、パールバーバーや広島は描かれても沖縄戦はかなり少ない。

岡本喜八監督の映画「沖縄決戦」と「ひめゆりの塔」(数本)くらい。テレビでは「さとうきび畑の唄」ーでも、それらも戦場の悲劇は描くが、その背景を説明してはくれない。その背景はすでに史実として確定している。決してスクープではないのに、かなりな衝撃だった。日本軍はそこまでしていたのか? アメリカ軍はそんなこともしていたのか?驚きの連続だった。

今回はその部分まで描くことができた。

この作品を見れば沖縄戦がとりあえず分かる!という構成にしてある。ドキュメンタリーにありがちな退屈な教科書的なものにはなっていない。完成後は東京、関西、沖縄で特別上映が予定されている。あと、できれば全国の映画館でも上映したい。乞うご期待!


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悲しみを表現するにはどうするか?俳優、作家、音楽家、映画監督、それぞれに模索する。才能ではない。努力? [映画業界物語]

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悲しみを表現するにはどうするか?俳優、作家、音楽家、映画監督、それぞれに模索する。才能ではない。努力?

表現者はどの分野でも共通するものがあること。ときどき感じる。作家が文章で悲しみを伝えるにはどうすればいいか?考える。俳優がどうすれば悲しさを表現できるか?思案する。映画監督がどうすれば悲しみを理解してもらえるか? 葛藤する。

表現法が違えど、皆、同じだ。例えば俳優が悲しみを表現するとき、涙を流す。観客は「ああ、悲しいんだろうなあ」と思う。でも、画面で俳優が号泣していても、観客には全然伝わらないことも多い。逆に一緒になって泣いてしまうこともある。その違いこそ、俳優の力量なのだ。

「明日にかける橋」DVDに収録してあるメイキングで、藤田朋子さんが新人の越後はる香さんにアドバイスする場面があるが、葬儀で涙する越後。我慢して我慢して最後に泣く。という助言している。いきなり泣くより、その方が気持ちが伝わるというのだ。実際、映画館でその場面を見ると、藤田さんの指摘通り。越後と一緒に観客は涙していた。

藤田さんが日頃から、悲しみをどう表現すれば観客に伝わるか? 登場人物の気持ちが伝わるか?を考えているのだ。同じ手法でもダメなこともある。状況や設定も関係する。その中でベストな手は?と俳優は常に考えている。実践する。また、同じ手法でもこの俳優ならいいが、あの俳優なら違うということもある。

つまり、自分を知らないといけない。容姿、声質、技量、自分の能力を知る。それには何度も演じることが大事。何度も繰り返すことで、この演技は受けた。でも、この芝居はダメだった。と分かってくる。
その繰り返しで俳優は演技力を養っていく。

その意味では劇団をやっている人は、公演中に10回20回と同じ役を演じる。客の反応を知ることができる。「昨日は受けたのに。今日はダメだった」そうやって問題点は何か?を考える。それが勉強になる。これでいつもいう「才能なんてない」という意味も分かってもらえるだろう。

いきなり舞台に立ち。「素晴らしい!演技だ」と言われることなんてない。先に書いたようなプロセスで、自分の特徴を知り、表現力を磨いてこそ、観客を感動させる俳優に成長するのだ。ときどき「俺はいきなり主役ができる力がある」とか超勘違いしている新人がいるが、演技は楽器を弾くのと同じ。どんな天才でもいきなりピアノは弾けない。演技も同じだ。

監督業も同じ。どんな演出をすれば、その役者の魅力が引き出せるか? どんな編集をすれば観客が退屈せずに見てくれるか? それらも才能ではなく、技術。でも、その技術も、誰が使っても同じ結果が出るとは限らない。基本的な手法はあるが、それを応用し、組み合わせて悲しみや感動を生み出すのが監督業。真似できない表現を見つけ出し、実践することが大事。

それも俳優業と同じ。その昔、若い俳優で松田優作の真似をした芝居をする者がそこそこいたが、誰もブレイクしていない。あれば松田優作だからいいのであって、それを真似てもモノマネでしかない。ただ、最初は真似ることでいい。松田優作も実は原田芳雄のスタイルを真似るところからスタートしたらしい。そこから自分らしさを見つけたのだ。そうやって表現法を探す。どの分野も共通する。


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「監督。編集好きですね〜」という人。???世の中、仕事や趣味を超えたものがある。 [映画業界物語]

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「監督。編集好きですね〜」という人。???世の中、仕事や趣味を超えたものがある。

沖縄戦。かなり短くなり(と言っても当初よりはずっと長い)見やすくなった。各パートを丹念に見ると、証言でも同じことを繰り返していたりする。ただ、そのことで気持ちや当時の思いが伝わることもあるので、簡単に判断してはいけない。

やはり、一般の人はプロではない。レポーターやアナウンサー。記者にように言葉を巧みに使った話はできない。と言って、その部分をナレーターが代わって説明すると、単なる状況説明になってしまい、悲しみや怒りが伝わらない。

その辺を考えながら、追い込み編集をしている。2月もあと2週間ほど。おまけに31日までないので、他の月より3日少ない!これは大きな痛手。それでも昨年の暮れから、Xマスも、大晦日も、三が日も返上で、今年の連休2回も休まず作業して来たので、作品として完成しつつある。以前こんな人がいた。

「監督。編集好きですね〜」

という。よく仕事が好きとか、いう言い方をする人がいるが、好きとか、嫌いとかいうことで物事を判断する人って、どうなの?と思う。多分、好きでするのは「趣味」、嫌々するのが「仕事」という発想があるのだろう。

「単なる仕事なのになんで、そこまでするんだろう?」

と理由が分からない。高いギャラを貰うわけでもないのにと。だから、編集が好きなんだろうなあと想像してしまう。彼の範疇に仕事でそこまでするという価値観がないのだ。では、こう考えてみよう。原発に反対する人が毎週、デモに参加している、その人に

「デモが好きなんだね〜」

とは言わないだろう。原発に対する怒り。子供たちを守りたいという思いの行動だ。僕が毎回、休み返上で編集するのも同じ。地方映画の場合は、その街の人たちに、その街以外の観客に感動を伝えたいという思い、今回は沖縄の悲しみを多くの人に知ってもらいたい!という思いからの行動だ。

2月もあと少し、最後の追い込み開始だ。


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