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沖縄戦ドキュメンタリー。作業報告。証言ー残り3つ。 [編集作業]

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沖縄戦ドキュメンタリー。作業報告。証言ー残り3つ。

昨日は「対馬丸」編の作業。目標の1日で終了。と言っても80%で、仕上げての時に残り20%縮める。このエピソードも辛く、証言を聞いているだけで重い。何度も休止しながら作業した。でも、それだけに多くの人に伝えなければならない証言でもある。

これで4人分の証言が終了。あと3人だ。もちろん、証言が以外の素材もあるのだが、メインは証言。それが半分以上終了したことは気持の部分で元気が出る。長い長い道を歩いていて、「半分まで来た!」と聞いた時のような感じだ。

証言の編集で大事なのは、まず、聴きやすいように短くする。話が飛んでいる部分をカット、あるいはまとめる。重要な部分を選ぶ。等のがある。ただ、証言が続くと退屈すること。言葉だけで分かりづらいこともある。そこで図や写真をインサート。観客が理解しやすい補足を加える。

できたところまでをオープニングから見直してみた。ドキュメンタリー映画らしい感じが出てきた。延々と証言が続く、記録映像が続くというのは興味を失う元。料理のフルコースと同じ。同じタイプの料理を続けて出されては食欲を失う。

「プロジェクトX」では、スタジオ、再現ドラマ、インタビュー、当時の写真と映像、という4つを使って退屈させないように見せていた。が、戦争を題材としたNHKの特集では、記録映像、証言、現代の映像の3つだけで見せている。そこが地味になりがちな理由か?

残るは「シムクガマ」編「チビチリガマ」編、「Z証言」編だ。「シムク」と「チビチリ」はセット。ここの作業をしてみよう。さらに全貌が見えて、作品のあり方が分かるはずだ。まさに、化石掘り。チラノザウルスの骨格が見え、その大きさが明らかになるという感じだ。



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「明日にかける橋」DVDー初日に売り切れ 申し訳ありません。現在、追加プレス中です。 [告知]

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昨日が発売日だった。amazonで予約していれば、当日、あるいは翌日に届くのが普通である。それが届かない。メール連絡が来て発送は2月下旬になるという。「なんじゃそれはー」「はよ、言わんかー!」とお怒りの方も多い。

というのはamazonが仕入れたDVDの数を超える予約が入ったからだ。「それなら、早めに足りない分を取り寄せればいいだろう?」とのご指摘も多数。その辺の事情を説明させて頂く。

ここ数年、DVDが売れない。いや、日本映画は以前から売れなかったのだが、特に売れなくなった。背景にはamazonプライム等の映画配信サイトの普及。TSUTAYA店舗の閉鎖が続いていることがある。なので、メーカーは損をしないように、過去の数字を元に売れそうなだけDVDをプレスする。

それをamazon、楽天等に納入。TSUTAYAやDVD店に送る。メーカーの長年の経験から、その枚数で事足りる。それでも売れずに返品があるのが普通だ。それがネット通販に来た予約の数がジワジワと増えていったようだ。

「ん? 予約順調だな。よしよし」

「仕入れたDVDの数。予約だけで結構さばけそうだな?」

「あれ!まずい。予約が仕入れ数を超えそうだ」

という展開だったようだ。僕が話を聞いたのが最後のあたり。そこでamazonは「追加お願いします」とメーカーに連絡。メーカーもビックリ。「え? 追加?」と通常の日本映画ではなまずないこと。特にマイナーな地方映画ではありえない。

地方映画の場合。DVDになること自体が少ない。それでもメーカーは「この映画は意外に売れそう」と踏んで、発売を決めてくれた。その予想に合わせて多めに枚数も決めたのだが、それを上回る予約が来てしまった。

地元の団体からまとめてドカーンではない。それなら組織動員だが、今回はそんな大手組織の応援はない。予約は個人が1枚、2枚という注文。その数がメーカーの予想を超えたのである。通常、amazonに納品したものは数年間残るだけの量。それでも足りなくなった。といって、メーカーも

「はい。では明日、追加を送ります」

とは言えない。想定した枚数しか刷っていないからだ。在庫はない。そこから工場に連絡。追加プレスをお願いする。工場も工場で、前々から依頼されている他の映画のDVDプレスがある。それらを済ませてから「明日」の追加プレスだ。

ということで、数週間必要。現在、amazonでは1ヶ月待ちということになっている。届いてない方から聞くと1月19日に予約したという。予約受付告知が地元アンコール上映の翌日だったので、1月12日。1週間後の19日でーもう、売り切れということだ。

これは多くの方が「明日」をDVDで見たいと思ってくれたということ。ちなみに、地元の方が多く予約したかとも考えたが、地元は地元で先行発売。実行委員会が予約を受け付けていたので、amazonは全国からの予約が多いはず。

それが売り切れとは、予約してくれた方には申し訳ないが、制作サイドとしてはその人気。ありがたい。そんな事情で発送が遅くなっているが、現在、工場で再プレス待ちなので、もう少しお待ち頂けるとありがたいです。


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ドキュメンタリー編集の大事な点。思いの全てを叩き込んではいけない? [編集作業]

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ドキュメンタリー編集の大事な点。思いの全てを叩き込んではいけない?

こんな時間に記事を書くのはめずらしいが、頭を整理したいので書いている。本日の編集は「証言」ではなく全体を縮める作業にした。エンディングのエピソードを4分ほどにせねばならないのに、昨日の段階では25分もあった。それを徹底してカット。10分にまでした。短くなるのはいいことだが、そのことで大事なものが抜け落ちてしまうことがある。

A、B、C、Dというカットがあって短くするためにBとCを切った。長さは半分になるが、そのことで感動が失われることがある。と言って、切らないわけにはいかない。そこで大事なのは、どのカットに感動を伝える働きがあるか? を分析、把握すること。同時に、特定のカットではなく、このABCDという並びに感動を呼ぶ力がある場合もある。

或いは、AとDは余計で、BとCのみが力を持っていることもある。いろんなパターンがあるので、それを見抜かなければならない。その上で、AとBは切れると判断。短縮する。これを無神経な編集者は「面倒なので、CDをまとめて切ろう。その方が切りやすいし」とか思ってカット。台無しにしてしまう。

そこはセンスと感覚。それでいて理論なのだ。だから、本当に編集だけは、センスがない奴がやってはいけない。そして、経験がない奴があれこれ言ってはいけない。まあ、たいてい余計なことを言い出すのはPなのだが、ロクなものにはならない。そんなことを考えながらカットを続ける。

いくら早くできるからと、5分バサッと切るのもアウト。3秒とか、5秒のなくてもいいカットを探し出して切らねばならない。そうやって午前中から作業。先週まで6時間あった尺が、なんと3時間35分に! これなら2時間にできる。頑張れば1時間40分ほどか? 

本日は何でカット作業をしているか?というと、全体の流れを掴みたかったというのがある。全体のイメージ。方向性はすでに把握しているが、テンポや流れ、リズムがまだ分からない。まだ30秒以上のカットが存在する。それを巡行速度で見るとテンポが悪い。

当然だ。1カットを3〜8秒。長いものでも15秒くらいにすると、見やすくなり、リズムとテンポが生まれる。それが分かれば、作品の全貌がさらに想像しやすくなる。もう一つは、尺を把握することで、持ち込めないエピソードと残さねばならないエピソードを決められる。

沖縄戦は本当に多岐に渡り、軍事、民間、社会、政治、日米、いろんな面で語ることができる。すでに取材し、映像があるものの中で、これはぜひ見せたい!と思っても、そのことで尺が2時間超えになると考えねばならない。劇映画の場合。僕の作品はほとんど2時間越えだが、それでも退屈せずに見せる公算がある。

が、ドキュメンタリーはそうもいかない。題材に興味がない人でも退屈せずに見れる時間というのは大事だ。それを作家は「いや、これは伝えたい!」「これも伝えねば!」「これは外せない!」との思いが強いので、いろんなものを持ち込んでしまう。結果、観客が退屈する作品になりがち。

劇映画でもディレクターズカットといって3時間近い版が出ることがあるが、見ると要らないものが多く、結果、オリジナル版の方がいい場合がある。(会社の圧力で無理やり切られ、短くされた不遇の作品の場合は別だが)つまり、作家は思い入れが強く、こだわりがあるからそうなるのだが、観客にその全ては伝わらない。

それを伝えるにはまた別の技術が必要。だが、監督には純粋な人が多く、ストレートに全部入れ込んで作品をただただ長いものにしがち。そこを冷静に見極めるのも編集の仕事なのだ。それでいうと、今回、すでに粗編集して、ラインにも乗せてある「米軍の墓参り」?とか「上陸作戦前の住民生活」とか、描きたいエピソードをカットせねばならないだろう。

とりあえず、スリム化して、それでも余裕あるようなら、戻すという形を取る。通常は全部作り上げてから、尺を考えて後でカットするという、面倒で勿体無いやり方をするが、今回は3ヶ月の作業を2ヶ月でする。進めるだけ進めて、余裕あれば追加という方法を取る。注意すべきは、強い思いを全て持ち込まないことだ。大切なことは何か? その選択が大事だ。


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