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名画座の想い出ー今も残る東京の早稲田松竹。懐かしい。 [映画業界物語]

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名画座の想い出ー今も残る東京の早稲田松竹。懐かしい。

写真を白黒にしてみると余計に懐かしい。1980年代前半に何度も行った名画座。高田馬場の早稲田松竹が今も営業を続けており、38年ぶりに訪れた。レンタルビデオの影響で80年代後半に次々に潰れて行った名画座。僕は当時、横浜に住んでいたので、近郊の名画座によく行った。

横浜日劇、横浜名画座、大勝館、蒲田パレス座、天王町ライオン座、大森キネカ、自由が丘推理劇場、東京まで足を伸ばして、池袋文芸坐、高田馬場パール座、そして早稲田松竹。

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2本立てで5〜600円。指定席なし。映画学校で学ぶ以上のことを名画座でたくさん学んだ。二本立てなので腹が減る。菓子パンをかじりながら見た映画の数々。シネコンが出来始めた頃は音がよく、綺麗で、日本の映画環境もよくなったなあと嬉しかったが、どこに行っても同じ内装。2回続けて見れない。席を変われない。

名画座の魅力。久々に思い出した。


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「レイジングブル」の想い出ーマーティン・スコッセッシは何を伝えようとしているのか? [映画&ドラマ感想]

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「レイジングブル」の想い出ーマーティン・スコッセッシは何を伝えようとしているのか?

早稲田松竹で「キングオブコメディ」を見たら2本立て。併映は「レイジングブル」同じスコッセッシ+デニーロコンビなので実に相応しい作品。しかし、長い、重い映画でもある。おまけにすでに見ている。どうしようかな?と考えた。

「レイジングブル」はあれこれ思い出がる。公開された1981年。僕は横浜に住み、映画学校に通っていた。ある夜。突然に友人が訪ねてきて「今、レイジングブル見た帰りなんだけど、ぶっ飛んじまったよ!」と話し出した。誰かに感動を伝えたかったという。おまけにアカデミー作品賞も受賞。見なければと思いながら、なぜか見ていない。

それがアメリカ留学中にリバイバルがあり、日本人の友人と映画館に行った。ら、上映時間が急に変更されており、すでにその日の上映は終わっていた。で、この時も見られず。帰国した頃はレンタルビデオが全盛だったが、ちゃんと見たいと思いレーザーディスクを買って見た。

オープニングから凄い。白黒の映像。「インターメッツォー」(この曲はCM等でもよく使われる)が流れ、スローモーションでデニーロがシャドーボクシング。それだけで震えた。が、地味な物語。レーザーディスクということもあり休憩できる。そんなこんなで最後まで見たのは、かなりあとだった。やはり、映画は映画館で見るべき。名作というのは分かるが、当時から僕はスコッセッシよりルーカス、スピルバーグ派だった。

それを思い出した。「レイジングブル」劇場で見ていない。ということで、オープニングだけでも見ておこうと思ったら、129分。最後まで見てしまった。やはりスコッセッシは凄い。簡単にいうとこの物語は、実在したチャンピンオンであるジェイク・ラモッタの半生を描いたもの。それを白黒映像でリアルに、デニーロが迫真の演技を見せる。

物語は3つある。ラモッタと妻ビッキー。ボクシング。マフィアとの繋がり。生活の間に試合シーンが挿入されて行くのだが「ロッキー」のような爽やかストーリーではなく、ボクシングは強いが、嫉妬深く、妻をすぐに殴る。少々精神的におかしいラモッタが成功し、落ちぶれて行くのを執拗に描く物語。スコッセッシ映画の主人公は先の「キングオブコメディ」も「タクシードライバー」もそうだが、心を病んでいる。精神病か精神障害を抱えている感じだ。

おまけにラモッタは単純思考の男で、兄思いの弟が妻と関係したと思い込んで半殺しにしたり、金が必要だからとチャンピオンベルトに埋め込まれた宝石を外して売ろうとしたり(ベルトのままの方が高く売れる)バカで嫉妬深い。すぐ暴力を振るうDV夫。通常、映画の主人公になるのは正義感が強い、困った人を助ける。不正を追求するという人たちなのだが、スコッセッシはダメ人間、負け組を描き続ける。

「キングオブコメディ」 の主人公も。トラビスも、今回も、デニーロが演じるキャラは皆、本人は良かれと思っているのだが、周りが迷惑し、やがて皆が去って行く。それに気づかず、逆恨みし、さらにドツボに落ちて行くというパターンがある。スコッセッシはそんな人生を見つめることで何を伝えようとしているのか?興味深いものがある。


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「ジョーカー」に影響を与えた「キングオブコメディ」ってまんまやんか!? [映画&ドラマ感想]

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「ジョーカー」に影響を与えた「キングオブコメディ」ってまんまやんか!?

アカデミー賞に最多ノミネートされたことでリバイバル上映中の「ジョーカー」3回目を見たばかりだが、早稲田松竹でその原点ともなった「キングオブコメディ」が上映されると知り出かけた。

この映画は1984年公開のアメリカ映画(2本立てだった記憶があるが確かではない)あのマーティン・スコッセッシ監督で、あのロバートデニーロが主演の映画。タイトルは知っていたが、興味引かれず当時は見ていない。「タクシードライーバー」は大好きだし、「ニューヨークニューヨーク」も見ている。「レイジングブル」の評価もよく知っていたが、どうにも見たいと思わなかった。が、それが失敗だった。

映画は冒頭から「ジョーカー」そのもの。展開も「ジョーカー」デニーロ演じるコメディアンの主人公も「ジョーカー」だった。いや、逆で「ジョーカー」が「キングオブコメディ」の影響を受けているのだ。いやいや、影響なんてもんじゃない。この映画がベースになっている。「タクシードライバー」より完全にこちら。この映画に「タクシー」を足してリメイクすると「ジョーカー」になる!というくらいだ。

しかし、パクったとか、真似したということではない。「ジョーカー」は完全に世界観を確立している。言うなれば「スターウォーズ」は「隠し砦の三悪人」から多大な影響を受けているが、パクリではないというのと同じ。オリジナルを尊敬しつつ、そのエッセンスを昇華して新しいものを作り上げている。

アホキン・フェニックス演じるジョーカーも良かったが、デニーロのコメディアンも狂っていた。また、芸能界というか、業界のやり切れなさ、ずるさ、大変さが良く出ている。僕も映画の世界の片隅で仕事をする者として共感することが多かった。チャンスを掴めない苦しさ、悔しさ。でも、成功した者にはまた別の苦しみがあること描かれている。

人気コメディアンのジェリーが歩いていると、電話ボックスにいた夫人がサインを求める「あなたはアメリカの誇りです!」というが、「電話に出て甥に一言」との頼みを断ると「癌になって死んじまえ!」と罵倒される。そんな経験。芸能の仕事をしていると時々ある。映画を応援してくれた人が後になり、あまりに無理な頼みをして来たので断ると「お前は最低の奴だ!恩知らず!」と罵倒されたこと僕もある。

キャストには懐かしい人が出ていた。デニーロが恋するバーの女性はダイアン・アボット。デニーロの実生活の恋人である。76年の「タクシードライバー」にも出演。ポルノ映画館の売り子を演じている。あと、ジェリーの事務所でアシスタントをしている女性はシェリーハック。「チャーリーズエンジェル」の後期メンバー。学生時代に見ていた映画やドラマの俳優が出ていると、同級生と再会したような嬉しさがある。「キングオブコメディ」関係で朝まで話ができそうだ。


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今も残る東京の名画座ー早稲田松竹。38年ぶりに訪れた。 [映画業界物語]

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今も残る東京の名画座ー早稲田松竹。38年ぶりに訪れた。

映画学校の学生だった10代。時々、行ったのがここ高田馬場にある名画座・早稲田松竹。通ったというほど行っていないが、何度も行った。当時は横浜に住んでいたので遠かったというのもあるが、ここでモンティパイソンの映画を見たのを思い出す。

その早稲田松竹。今もある。凄い。名画座といっても今の若い人は分からないかもしれないが、ロードショー館。もう少し古い言い方をすれば封切館。そこで映画は最初の上映があり、しばらく経ってから2番館に上映が移る。そしてロードショー公開が終わったら、名画座と呼ばれる2本立ての映画館で上映される。

当時は500円とか600円で格安。それで2本見れる。学生に人気で僕も高校時代からその手の名画座に通った。大阪なら戎橋劇場、大毎地下劇場。関西に名画座は少なかったが、東京は凄い数で、雑誌「ロードショー」の紹介ページを見て憧れたものだ。

だが、年を追うごとに閉館が増え、レンタルビデオの影響が一番大きいと思うが、80年代後半からその多くが消えて行った。僕がアメリカから帰国した90年にはほとんどがなくなっていた。そんな中、今も営業を続ける数少ない名画座の1館が早稲田松竹だ。

と言って僕もレンタルビデオで済ませてしまい、この20年行ってない。それがレンタルでもなかなか見つからない「キングオブコメディ」を上映すると聞き、38年ぶりに劇場を訪れた。建物は建て替わっていたが、ほぼ同じような建物。2本立て。指定席なし。入れ替えなし。そこで80年代の映画を見ていると、タイムスリップしたような気持ちになった。

古き良き時代。2本立て、3本立ての映画を見て1日を終える。菓子パンを買って、映画を見ながら食べる。午前中に入っても、劇場を出る頃はもう外は真っ暗。そんな映画から学校で学ぶ以上のことを学んだ。今回、見た映画については別記事で書かせてもらうが、本当に久々の2本立て。懐かしく思える。


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