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「レイジングブル」の想い出ーマーティン・スコッセッシは何を伝えようとしているのか? [映画&ドラマ感想]

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「レイジングブル」の想い出ーマーティン・スコッセッシは何を伝えようとしているのか?

早稲田松竹で「キングオブコメディ」を見たら2本立て。併映は「レイジングブル」同じスコッセッシ+デニーロコンビなので実に相応しい作品。しかし、長い、重い映画でもある。おまけにすでに見ている。どうしようかな?と考えた。

「レイジングブル」はあれこれ思い出がる。公開された1981年。僕は横浜に住み、映画学校に通っていた。ある夜。突然に友人が訪ねてきて「今、レイジングブル見た帰りなんだけど、ぶっ飛んじまったよ!」と話し出した。誰かに感動を伝えたかったという。おまけにアカデミー作品賞も受賞。見なければと思いながら、なぜか見ていない。

それがアメリカ留学中にリバイバルがあり、日本人の友人と映画館に行った。ら、上映時間が急に変更されており、すでにその日の上映は終わっていた。で、この時も見られず。帰国した頃はレンタルビデオが全盛だったが、ちゃんと見たいと思いレーザーディスクを買って見た。

オープニングから凄い。白黒の映像。「インターメッツォー」(この曲はCM等でもよく使われる)が流れ、スローモーションでデニーロがシャドーボクシング。それだけで震えた。が、地味な物語。レーザーディスクということもあり休憩できる。そんなこんなで最後まで見たのは、かなりあとだった。やはり、映画は映画館で見るべき。名作というのは分かるが、当時から僕はスコッセッシよりルーカス、スピルバーグ派だった。

それを思い出した。「レイジングブル」劇場で見ていない。ということで、オープニングだけでも見ておこうと思ったら、129分。最後まで見てしまった。やはりスコッセッシは凄い。簡単にいうとこの物語は、実在したチャンピンオンであるジェイク・ラモッタの半生を描いたもの。それを白黒映像でリアルに、デニーロが迫真の演技を見せる。

物語は3つある。ラモッタと妻ビッキー。ボクシング。マフィアとの繋がり。生活の間に試合シーンが挿入されて行くのだが「ロッキー」のような爽やかストーリーではなく、ボクシングは強いが、嫉妬深く、妻をすぐに殴る。少々精神的におかしいラモッタが成功し、落ちぶれて行くのを執拗に描く物語。スコッセッシ映画の主人公は先の「キングオブコメディ」も「タクシードライバー」もそうだが、心を病んでいる。精神病か精神障害を抱えている感じだ。

おまけにラモッタは単純思考の男で、兄思いの弟が妻と関係したと思い込んで半殺しにしたり、金が必要だからとチャンピオンベルトに埋め込まれた宝石を外して売ろうとしたり(ベルトのままの方が高く売れる)バカで嫉妬深い。すぐ暴力を振るうDV夫。通常、映画の主人公になるのは正義感が強い、困った人を助ける。不正を追求するという人たちなのだが、スコッセッシはダメ人間、負け組を描き続ける。

「キングオブコメディ」 の主人公も。トラビスも、今回も、デニーロが演じるキャラは皆、本人は良かれと思っているのだが、周りが迷惑し、やがて皆が去って行く。それに気づかず、逆恨みし、さらにドツボに落ちて行くというパターンがある。スコッセッシはそんな人生を見つめることで何を伝えようとしているのか?興味深いものがある。


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