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③問題の教科書を検証=犠牲者を英雄に、沖縄は捨て石であったことを隠蔽? [沖縄戦]

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先に紹介した文科省検定合格の歴史教科書(自由社)それがどう酷いか?詳しく説明する。何より沖縄戦の記述が5行しかない。前回の検定合格のT社の教科書を見ると、見開き2pで紹介。「軍の指示による集団自決」の記述もある。その「集団自決」を完全にカット。沖縄戦の説明もたった5行!それが問題の教科書。

「沖縄戦には触れたくない。知って欲しくない。詳しく語りたくない」という意図が見て取れる。僕の映画「ドキュメンタリー沖縄戦」を見てくれた人なら分かるが、沖縄戦では信じられない残酷な事実が数多く存在する。「本当に戦争は酷い」と思える事件の連続。この教科書はそれらを伝えたくないということ。問題の教科書。記述を検証しよう。たった5行の分量なので全文を紹介する。

「3月末、アメリカ軍は沖縄に攻撃を開始し、沖縄戦が始まりました。この戦いで沖縄県民にも多数の犠牲者が出ました。日本軍はよく戦い、沖縄住民もよく協力しましたが、沖縄戦は6月23日に、日本軍の敗北で終結しました」

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おかしい!「この戦いで沖縄県民にも多数の犠牲者が出ました」とあるが、この文脈だと「アメリカ軍が攻撃したから」というのが理由と思える。が、政府は沖縄県民の14歳から70歳までを強制的に動員。軍の補助をさせている。中には戦場での弾薬運びまで強制。さらに避難について具体的な指示をしていない。そのために多くの県民が犠牲になったのだ。その事実を書かずアメリカの攻撃だけで犠牲が出たかのように思える記述にしている。

「日本軍はよく戦い、沖縄住民もよく協力しました」というのも変だ。「よく戦い」というところに作者の思いが見える。「戦争を」「よく戦い」というのは戦争を肯定している。「頑張ったね」「よくやったね」という意味だ。運動会やオリンピックではない。戦争をよく戦ったことを褒めるのはおかしい。戦争は人殺し。「アメリカ軍をたくさん殺したね。偉いね!」ということ。つまり、この教科書の作者は戦争を肯定し「日本は頑張った」という思いを持っている。

さらに「沖縄住民もよく協力しました」と言うのもとんでもない。先に書いたが強制的に軍の協力させたのだ。これでは「自ら望んで協力した」という意味に思える。「よく協力した」というのは褒め言葉。「戦争に協力して偉かったね」「がんばったね」という意味。強制的に戦争に巻き込んでおいて「よく協力した」というのは、どういうことだ。住民こそが犠牲者であるのに、「よく協力した」と称える。これも戦争主義者がよく使う手で、犠牲者を英雄に祭り上げて「日本を守った」とか称賛する。同じ手法だ。

「沖縄戦は6月23日に、日本軍の敗北で終結しました」これもおかしい。6月23日に司令官の牛島中将は自決。戦闘は終了したことになっているが、牛島は戦闘停止命令を出さずに、戦闘を続けろ!と指示して自決している。そのため、23日以降も多くの兵士らが戦闘を止めず、全てが終わったのは終戦記念日である8月15日を過ぎてからだ。そこまで戦闘は終わっていないことを説明していない。というより隠している。

さらに、沖縄戦の1番の問題は「軍が沖縄県民を守るために戦ったのではなく、時間稼ぎをして、米軍の体力を消耗させ、本土決戦の準備ができるように引き留めておくこと」だった。そのために県民は利用され、多くが犠牲になったこと。全く書かれていない。犠牲者は日本 188,136人(沖縄県出身者122,228人(一般人94,000人、軍人・軍属28,228人)と軍人より一般人が多く犠牲になっている。

もうお分かりだと思うが、この教科書の意図は「沖縄県民は戦争に協力したが、残念ながら負けた」と美化し、時の政府と軍が沖縄を利用して時間稼ぎをし、犠牲にしたことを隠したいということ。「あの時、日本軍も沖縄県民もがんばった」という戦争に参加したことを称賛する作家の思いも伝わってくる。軍国主義以外の何物でもない。そんな教科書を文科省は検定合格にした。安倍去しあとでも、政府に歴史修正主義社を支持する人たちがいるということである。


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②沖縄戦の事実を歪め、美化したい人たちが今もいる=集団自決に軍の関与を争った裁判。 [沖縄戦]

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先の記事。沖縄戦の事実を歪めた教科書が文科省の検定合格した時。ちょうど読んでいたのが、この本である。2008年。沖縄戦の集団自決を伝えた書籍に対して起こされた2裁判を克明に解説、レポートしたもの。大江健三郎著「沖縄ノート」(岩波新書)他3冊の「集団自決は軍の指示によるもの」という記述が事実ではないと訴えた人がいる。元軍人で渡嘉敷島に赴任していた赤松隊長の弟、他1名である。大江ー岩波裁判と呼ばれる。

実はこれ以前にも同じような訴訟があった。家永裁判(1965)。すでにその時、「軍の関与あり」との判決が出ているにも関わらず、同じ形で訴訟したている。だが、その背景紹介を知ると、「なるほどそういうことか!」と納得した。訴訟の担当弁護士の1人が稲田朋美。応援団は「教科書をつくる会」のあの人だ。

そして裁判途中。判決が出る前に、文科省は次期教科書から「軍の関与」記述を削った。同省は「選考委員会の決定」と説明していたが、「沖縄タイムス」のスクープで文科省から「削除指示」が出ていたことが暴露。沖縄県民の怒りが爆発。大規模な市民集会が行われた。そこに参加した方々の名前を見ると「ドキュメンタリー沖縄戦」で取材させてもらった方々もいる。

お話を聞かせて頂いた方々が、様々な戦いを越えてこられたこと痛感。さらに、選考委員の2名が「作る会」との深い関係があることも発覚。要は文科省と「作る会」が連携。裁判を利用して「集団自決は軍の指示」という事実を教科書から消し去るためのプロジェクトではないか?と思える。

この本は裁判の記録というより「沖縄戦の真実は何か?」を追求するものになっている。過去の話ではない。早々に廃棄された桜を見る会の招待者リスト。森友事件で改竄された公文書。政府は都合の悪い事実を今も改竄している。そして戦争に関して教科書の記述も改竄、隠蔽しようとしているのだ。日本軍の蛮行を消し去り、彼らを英雄に祭り上げることで、また戦争ができる国にしたいのだ。

その手法はまさに映画「Fukushima50」と同じ、事故を起こした責任者である東電社員を「日本を救った英雄」にしするやり方と同じ。そうして原発推進を続ける。この教科書問題も同じ構図なのだ。今年、この裁判を応援した「作る会」が出した教科書を文科省が検定合格とした。沖縄戦記述は5行。「集団自決」の説明は全て削除。強制的に戦争に協力させられた県民が進んで協力したかのような記述。家永裁判、大江ー岩波裁判に続きまた、沖縄戦の事実を隠蔽、ねじ曲げる活動を始めたのだ。



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①沖縄戦を歪めて説明する教科書ー文科省検定合格。目的は何か? [沖縄戦]

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先に紹介したこの酷い内容の教科書。沖縄戦の記述が5行しかなく、「沖縄住民もよく協力しました」と言うとんでもない説明。強制的に軍の協力させたのに「自ら望んで協力した」という表現。沖縄では14歳から70歳までが強制的に軍に協力させられ、そのために多くの県民が犠牲になっている。さらに軍による指示、圧力による集団自決についての記述なし。自決する必要のない住民を死に追いやった事実を隠したがこの教科書だ。歴史修正主義者と言われる「作る会」の教科書である。

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このことを先日の記事で紹介した段階では、文科省不合格となっていた。が、本年度の検定では何ら修正なしに合格となり、沖縄の新聞はトップ記事で報じた。安倍政権が退陣して、この種の動きは弱まっていたのに許せない事態。この件を教科書業界の方に聞くと「この段階で合格になっても、すでに来年度から4年間の教科書はほとんど決定されているので、これが採用されるのは私立等の極々僅かな学校だけです」とのこと。

それでもこの教科書で勉強する子供がいるかもしれない。「日本は素晴らしい」とアピールしたい人たちがいる。そんな人たちは過去の過ちを消し去り、美化して日本をもう一度、戦争出来る国にしようとしている。その布石が教科書。子供の頃から洗脳することが目的。彼らは時間をかけ、地道に活動を続け、政治家たちの票集めをして、彼らを応援。再び戦争を始めたいのだ。

(この後に関連記事を2つアップ。読んでほしい)


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