戦争映画についてもう少し書いてみる。政府の思惑。誘導される日米の国民? [戦争について]
軍人目線の物語は歴史の流れは分かりやすいが、国民の悲しみが伝わりづらい。国民目線の物語は悲しみは伝わるが「私たちこそが被害者だ」という思いが強く出てしまう可能性がある。確かに東京、広島、長崎の県民は何の罪もないのに、大きな被害を受けた。まさしか被害者であり、加害者はアメリカ軍。
ただ、沖縄戦と真珠湾では多くのアメリカ人も死んでいる。この場合は日本軍は加害者である。ただ、どちらも県民、州民に罪はない。いずれも国民はどちらも罪がないが、軍に関しては加害者でもあり、被害者でもある。しかし、沖縄戦を勉強する前。戦争映画も見なかった僕の中では、太平洋戦争は日本が被害者。アメリカが加害者と思えていた。
多量の武器のない貧しい島国日本が、無謀にもアメリカと戦争。竹槍で戦うようなことでは勝てず、巨大な軍事力に押しつぶされた。日本人は愚かではあるが被害者の側面が強いと思えた。が、いろいろ調べると戦前の日本の軍事力は世界3位か4位。決して竹槍だけが武器の国ではなかった。ミッドウェイ海戦では当初、日本軍の方が軍事力は上だった。さらに太平洋戦争はアメリカの挑発で追い詰められ、戦争せざるを得ない状況だったと思っていたが、そうではない。そもそも日中戦争をやっており、アジア制覇を企んだのが日本なのだ。
太平洋戦争で考えると日本は「仕方なく宣戦布告」に思えるが、アメリカから見ればアジア侵略を止める戦争。その際には日本は「侵略」とは言わず、すでにイギリス軍等に占領されていた国ー「アジアの解放」という名目を掲げた。本来は侵略。アメリカも日本の暴挙を止めると言いながら、アジアの制覇が本当の目的。日本への侵略なのだ。それこそがまさに「戦争」美しい名目を掲げながら、侵略行為を続ける。
それが実態であるのに「日本は被害者」と僕は思っていた。つまり「加害者」の側面を知らなかったのだ。それを知ったのは映画「人間の条件」「戦争と人間」。戦争映画は見ないのに、これらはなぜか見ていた。また、昭和40年代のテレビドラマでは日本軍の凶悪ぶりはしっかりと描かれている。が、ここにも背景がある。アメリカにとって戦時中の日本は予想外の脅威となった。あの小さな島国がここまでしぶといとは思わなかったのだ。
再度、暴発しないように軍隊を持たせず、教育の中で「軍部の暴走によって日本は戦争を始めた。そのために多くの国民が犠牲になった。もう戦争をしてはいけない!」という洗脳教育を行ったと言われる。まさにそれが日本の戦争映画でありドラマ。学校でもそんな授業を受けた。そのことで、軍=悪。太平洋戦争で国民は多くが死んだ。戦争はいけない。という認識を持った。僕もその一人だ。
が、やがて、軍の暴走が言われなくなり、日本人は被害者!という映画やドラマが主流になって行った。それでいて加害者のはずのアメリカの責任は追求しない。その代表が原爆投下を自然災害のように描いた映画「黒い雨」だろう。加害者としてのアメリカを伝えない。日本人は被害者。これはおかしい。先に戻るが「軍の暴走」というのも、説明不足だ。そもそもなぜ、軍は暴走するに至ったのか?
そしてアメリカは決して正義の国ではなく、日本を挑発し、戦争せざるを得ないようにした国。軍の暴走だけではない。つまり、それぞれの国に思惑があり、ある目的のために別の名目を掲げて戦争を始めた。その辺を映画も、テレビも、報道も伝えてないのではない。その背景とトランプの行動は密接に結びついている。それが分からないので、トランプが単なる悪役にしか見えない。実に巧妙。沖縄戦を追求すると太平洋戦争に繋がり、トランプの戦いに行き着く。今回はうまく説明できていないので、別の機会に解説したい。
公開から6ヶ月。「ドキュメンタリー沖縄戦」映画館公開が間も無く終了 [映画館公開]
LAの映画祭で受賞!大ヒット「ドキュメンタリー沖縄戦」@厚木は本日で終了! [映画館公開]
LAの映画祭で受賞!大ヒット「ドキュメンタリー沖縄戦」
7月に東京公開がスタート。全国各地での上映が続き、現在は終盤。以下の劇場で上映中。
お見逃しなく!
(本日30日で終了!)
神奈川県厚木市 あつぎのえいがかん kiki 10/17(土)~10/30(金)
https://atsuginoeigakan-kiki.com
沖縄県沖縄市 シアタードーナツ 10/1(木)~11/11(水)
https://www.theater-donut.okinawa
「ファンファーレが鳴り響く」=日本版「俺たちに明日はない」高橋伴明テイスト!面白い。 [映画&ドラマ感想]
新宿ksシネマで映画を見た。この夏。「ドキュメンタリー沖縄戦」を上映してくれた映画館。よく知る俳優さんが出ているので見に行った。ちょっとキワモノ的な映画かと思ったら、かなり面白かった。「青春の殺人者」風「俺たちに明日はない」であり「明日に向かって撃て」で「タクシードライバー」。ヒロインが魅力的。低予算で短期間で撮った映画ではあるが、監督の愛がどの役にも感じられる。石井聡互監督の「88万分の1の孤独」高橋伴明監督の「17歳 激しいあげき」を彷彿とさせる。
ちなみによく知る俳優さん。「明日にかける橋」に出てくれた嵯峨君。とてもおいしい役。僕の作品に出てもらった時とは違う変態性を表現。好演している。今の日本映画界。大島渚組常連だった。戸浦六方、小松方正、のような怪優がいない。映画は二枚目の主役だけでは成立しない。脇にそんな俳優たちがいてこそ面白くなる。だが、現在、絶滅危惧種とも言える。彼はそんな貴重なタイプの俳優。大杉漣、寺島進のようにブレイクする可能性大。その前に、また出演してもらおう!今後が楽しみだ。
ドキュメンタリー映画「ひめゆり」を観る。 [映画館公開]
映画「ひめゆりの塔」で有名なひめゆり学徒。生き残った人たちの証言を集めたドキュメンタリー作品。DVD化されていないが今回、練馬沖縄映画祭でやっと観ることができた。「沖縄戦」取材時も痛感したが、体験者の言葉は重い。打ちのめされる。
13年間に渡り記録された証言。2003年に完成させた映画。今から7年前。記録開始時は20年前。当時15歳だった女子学徒は70歳。今は90歳。インタビューを受けた方ですでに亡くなった方も多いはず。その意味でも、とても貴重な記録だ。僕が監督した「ドキュメンタリー沖縄戦」は3年がかりでも大変だった。それが13年。その大変さは想像を超えるものだろう。
同時に感じたのは、この映画は2時間10分。全てひめゆり学徒の証言。25名の話を聞くことで、当時のことをリアルに伝わる。ただ、ひめゆりだけで2時間超えー沖縄戦を伝えることの難しさも感じる。その意味で入門編とも言える「ドキュメンタリー沖縄戦」ーとりあえず沖縄戦の全般、流れが2時間弱で分かるーはやはり必要だったと考える。
様々な戦闘や事件を紹介する沖縄戦のドキュメンタリーが存在する。まず「沖縄戦」を観て興味を持ってから、それぞれの分野を観ることで沖縄戦をより深く理解できるはず。練馬沖縄映画祭は来月も続き、様々な作品を上映してくれる。