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有名になりたいと思ってなかったが、有名になることで多くの人に作品を観てもらえるのが監督業 [映画業界物語]

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有名になりたいと思ってなかったが、有名になることで多くの人に作品を観てもらえるのが監督業。(2014年11月7日)

若い人たち「有名になりたい!」という。有名になり、賞賛されたい。あるいは、「今までバカにしていた奴らを見返したい」という思いがあるからだ。が、僕は昔からそんな思いがない。最近まで自分が思った映画を作り、多くの人がそれを観て、笑ったり、感動してくれれば、僕自身が有名にならなくてもいい。と思っていた。

そんな、ある日。友人でもある、有名女優さんの舞台を見たあと、楽屋に挨拶に行った。その女優さん。誰もが知る国民的女優。その話をするとこう言われた。

「太田さん。それは違いますよ。有名になれば、いろんな仕事の依頼が来る。そして自分がやりたい仕事ができるようになる。だから、有名になることは大事なんですよ!」

...その通りだ。自分のやりたい仕事をすることで、この10年、ずっと苦労してきた。映画の世界で監督業に就くだけでも大変。まして、食って行くのは至難の技。生活のために、嫌な仕事でもやらねばならない。ある友人は隠れてアダルトビデオの演出をやっている。あるいは企業映画を撮れても「なんだ、これは! 誰が観るんだよ〜」というシナリオで監督せねばならないことも多い。

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まして、自分が本当にやりたい企画。作りたい映画を監督できるのは宝くじに当たるより難しい。いや、どんな映画でも監督するだけで至難の技なのだ。友人の中には「監督させてくれるなら、ゲイのプロデュサーと寝てもいいけどなあ」という奴もいるが、ハリウッドと違い、日本ではそれもなかなかむずかしい。

そんな世界で本当に撮りたい映画を作るには、その国民的女優さんがいうように、監督自身が有名になることは大事なのだ。黒澤明監督が「影武者」の製作費が足りず困っていたとき、フランシス・コッポラとルーカスが支援を提案。それでスタートできた。「夢」のときはスピルバーグ。黒澤が世界的に有名だからこそ、そんな提案があったのだ。

世界的に有名でなくても、業界で有名なだけでも、仕事依頼が増える。発言権も増す。自分が本当に撮りたい映画を撮れるようになっていく。監督が有名になるということはやはり大事なのだ。こんなこともあった。僕は毎回、宣伝も担当する。インタビューに答え、舞台あいさつをするだけでなく、ブログやFacebookを書く、動画を投稿。Twitterもやる。

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特に舞台挨拶は毎回ウケて、そこそこお客さんが来てくれる。最近では友人監督のトークイベントにも呼ばれる。FBは「友達」が1700人を超え(注、現在は5千人ほど)ブログは毎日1000件アクセス。ツイッターは2500人(現在は8千人弱)のフォロアー。劇的に数が増えた。そのことで監督作が知られるようになり、各地でヒットする一因となった。

「有名になりたい!」とか全然思ってなかったけど、僕のことを知ってくれる人が増えたことで、映画を観てくれる人も多くなればいいか!と思うようになった。が、知名度が上がるとマイナスが多く。Facebookでは嫌がらせが増えた。ネットでの誹謗中傷も多い。同業者からの妬み、嫌味、批判も増えた。

それでも僕が前面に立つことで、映画をアピールできるなら、映画を観て感動してくれる人が増えるということ。監督にとって嬉しいのは、そこだ。僕が前に出ることで知名度が上がり、より多くの人に声が届くようになれば映画もヒットする。多くの人に感動を伝えることができる。だったら有名になるしかないか?そんなふうに開き直っている。(2014年11月7日)



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