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映画製作が決まり、最初にスタートするのが脚本=だが、ちょっと違うユニークなスタイルがある? [映画業界物語]

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映画製作が決まり、最初にスタートするのが脚本=だが、太田組はちょっと違うユニークなスタイルがある?

脚本ーこれがないと映画製作は始まらない。太田組の場合。脚本は監督である僕が全て書いているので、いきなり仕事が始まる。が、脚本もいきなり机に向かい、書き出せるものではない。

例えば「朝日のあたる家」なら原発につて調べる。取材する。自身が知らないことは書けない。まず、原子力発電について勉強。次に福島の事故について詳細に把握。その影響、被害を調べる。また、福島第1原発以外の原発も取材する。特に同じ太平洋側にあった福島第二原発、東海第二原発、女川原発等はなぜ、大きな被害がなかったか?を調べると福島原発の問題点も見えてくる。

日本だけでなくチェルノブイリ原発、アメリカのスリーマイル島の事故も調べる。そして放射能についても把握。セシュム、プロトニュウム、ストロンチュウム。半減期は何年か? また、原発を推進してきた原子力ムラとは何か? どんな企業を言うのか? なぜ、日本は原発を国策として勧めてきたのか? 何より東京電力とはどう言う会社なのか?を学ぶことが必要だ。

大変な作業ではあるが、この辺は映画製作が決まる前、東日本大震災直後から興味を持ち、2年がかりで自主的に勉強していたので大いに助かった。それらの知識を頭に置きながら、物語を考える。これは事故後に放送された報道番組、ドキュメンタリーをヒントにした。できる限り、事実を元にストーリーを作る。それを基本とした。

シナリオを書くときに大切なことは、興味深い物語を作ることも大事だが、もう一つある。制作費だ。「原発が爆発し破片が砕け散る様をCGで描きたい」なんて考えると、億単位の費用が必要になる。なので、予定している製作費内で賄えるストーリーにせねばならない。金がないので面白い物語にならなかった...ではダメ。その中で最高に興味深く、悲しみが伝わるようにするのが腕なのだ。

脚本が出来たら本来、製作部がロケハンをして、物語にふさわしい場所を探してくれる。が、太田組はそれも僕が担当。と言うか、ロケ地を先に決めてシナハンをすることが多い。その街に相応しい物語を考え、どの場所でどんな事件が起きるか? 場所を先に決めて書くことが多い。どうしてもいい場所がない場合だけ、シナリオが出来てから探す。もし、素敵なロケ場所が見つかったが、そのシーンを撮影するのは難しい場合は物語を直して場所が生きるようにする。

そこまで行ったら、ここからが本来の監督業。決まったロケ地でどのように撮影するか? ショット、カット割りを考える。が、この時期からはプロデュサーの仕事もせねばならない。製作費の割り振り。キャスト費、機材費、宿泊費、食費、交通費をどんな割合にするか? だから先のシナハンのときに安い宿舎を見つけたり、交通の便を確認もする。

そして地元との交渉。こちらに時間がかかり先の監督の仕事の時間が足りなくなることも多い。本来なら、Pと監督がいるので、同時に作業できるが、僕1人で両方するので、真夜中まで地元で打ち合わせ。ホテルに戻って朝までカット割り。シナリオ直し。早朝からメインロケハンということもある。

結果、僕個人は完成後に毎回、過労で倒れるが、製作費の2倍から3倍のスケールの作品ができる。1人で4人分の仕事をすることで人件費節約(4人分はもらわないし)脚本とロケハン。Pを担当することで融通が利く。3000万の製作費なら通常はホームドラマのようなものしかできないが、太田組では6千万から9千万の内容のものができる。

これには悪徳製作会社を排除が絶対。不要な金を抜かない。誤魔化しをしない(通常の製作会社は20〜30%を抜く、酷いところは50%というとこも!)でも、うちは製作費を100%映画につぎ込む。そして何よりスタッフ、キャストが厳しいギャラでもガンバってくれるということが大きい。

長くなったが、撮影までのそれら作業の内。題材を勉強する。取材するという部分。近年、余裕がなく、反省するところ。「ドキュメンタリー沖縄戦」は3年勉強したが、まだまだ時間が欲しかった。その意味でコロナ感染で自粛の今、時間だけはある。今後、手がけたい映画の題材を徹底して勉強する機会と言える。


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