戦争を知る監督が作った超大作「太平洋の嵐」オールスターの力作。 [戦争について]
戦争を知る監督が作った超大作「太平洋の嵐」オールスターの力作。
前回、見たのは15年以上前か? 大森キネカの大スクリーンで見たはずだ。当時は戦争映画に興味がなかったが、お世話になっていた松林宗恵監督の作品ということで見た。それが今、「ドキュメンタリー沖縄戦」を完成させた後に見直すと、あの時は気づかなかったものをいろいろと感じた。
映画自体は戦記もののスタイルで進み、真珠湾奇襲からミッドウェイ海戦までを描く。飛龍が沈む場面。夕陽が海に落ちていくシーンで「終」が出れば、まさに戦記映画。だが、そこで物語は終わらず、さらに5分ほどのシーン。そこで一気に反戦映画となる。戦闘機に青春を人生を賭けた若者たちはなぜ、そんな仕打ちを受けるのか? そこに海軍士官を経験した松林監督の思いが籠る。
しかし、実物大の零戦が何機も登場。空母の甲板もリアルに出てくる。1960年の作品。CGではない。重量感が凄い。戦闘シーンの多くは円谷英二のミニチュアだが、兵士の言葉、動き、様に、やはり戦争を知る世代が作った映画のリアリティと迫力がある。近年の戦争映画。CGで迫力はあるが、戦争を知らない世代の監督が作っているので、何か軍隊や戦争。特攻隊に対する憧れが感じられてファンタジーのように思える。
そんな戦争を知り、戦争を描いた松林監督には晩年とてもお世話になった。今、思うともっといろんなことを聞いておけばよかった。戦場のこと。海軍のこと。戦争映画の撮影現場のこと。それをお聞きする機会が何度もあった。が当時は戦争に全く興味がなく、まさか15年後に「ドキュメンタリー沖縄戦」を監督するとは思いもしなかった。
「太平洋の嵐」はキャストも凄い。三船敏郎、鶴田浩二、田崎潤、藤田進、上原美佐、志村喬、加東大介、夏木陽介、佐原健二。そして僕の「明日にかける橋」にも出てくれた宝田明さんも出演。日本映画の総力戦とも言える作品である。amazonプライム(有料分)で見られるのでぜひ。
中島春雄氏(ゴジラ)の素顔も見れますね。
空母内の混乱、阿鼻叫喚ぶりがすさまじかったのを覚えてます。
ハリウッドの「ミッドウェイ」よりずっと充実した作品でした!
松林監督はかなりの部下をお持ちの将校だったとか。
そういう方の謦咳に接せられたのは貴重な体験でしたね。
by 早田 快人 (2020-04-21 22:51)