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日本人を縛るもの。そのルールが日本をダメにしている④=映画監督B君の経験から、せっかくに故郷映画を無駄にした町 [ムラ社会ルール]

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日本人を縛るもの。そのルールが日本をダメにしている④=映画監督B君の経験から、せっかくに故郷映画を無駄にした町

後輩の映画監督B君も「ムラ社会ルール」を痛感したという。彼も地方を舞台に町おこし映画を作ることがある。地元の自治体や委員会から依頼されて映画を撮る。でも、小さな町で作った故郷映画。せっかく完成したのに地元のリーダーが宣伝しようとしなくて困ったという。

「いよいよ、公開。映画館での上映も決まった。地元ならテレビCMとかなくても人海戦術で宣伝できる。必ずヒットできる」

と張り切っていた。が、そのリーダーがいつまで経っても動こうとせず、街にはポスターも貼られず、チラシも出回っていない。すでに配給会社はそれらを印刷。地元に送っているのにである。B監督は何度もリーダーに電話し、メールしたが、その内、返事さえ来なくなった。

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その映画。メンバーは皆、そのリーダーが集めた人たち。B君が彼を飛び越えて皆に声をかけるのは憚られた。そのことでリーダーが気を悪くすればさらに動かないという不安もあったという。そこで、お世話になったある会社の会長に会った時にお願いした。

「リーダーが動いてくれない。宣伝をしないとせっかくに映画を市民に知らせることはできない。彼に一言いってもらえませんか?」

会長はそれなりの年齢で、リーダーよりも年上、顔も広い。意見するにふさわしい人だ。が、彼はいう。

「僕より彼をよく知る人がいる。その人から意見させよう」

しかし、何週間経っても返事はない。そこで他にも映画に協力してくれた年長の方々にお願いした。が、ことごとく断られた。B君は次第に憤りを感じる。街をPRする映画を作った。自治体からも金が出ている。税金だ。宣伝しないと映画公開を伝えられない。なのにリーダーは何もしない。誰も彼に注意しない。おかしい!

「もしかしたら、リーダーは若いけど、影の実力者で、意見すると後が怖い!という人なのかも? 実はヤクザかも!」

でも、町のために市民活動を続ける40代のオジさん。悪辣な部分はなく、情熱的だ。そもそも、彼が企画して資金を集め、依頼してきた映画。やる気をなくすのも変だ。B君は町の人たちの対応が理解不能だった。


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あとで分かったこと。実際、リーダーは影の実力者でもヤクザでもなかった。しかし、多くがもし、彼に意見して揉めたら嫌だなと思ったという。年長の会長さえもそれで人を紹介し逃げた。決してリーダーは気が短いとかではない。でも、もし、揉めたら嫌だな。という不安があるので、皆、意見しなかったのである。

B君には理解不能。映画は町のため、市民のため、そのためにやる事をやらないリーダーに意見して何が悪い。そもそも彼は町のために頑張っている人。言われて怒るようなタイプでもない。B君に理解できなかった事。それこそが「ムラ社会」ルール。とにかく揉める可能性が少しでもあれば、恨まれるかもしれないと思ったら関わらないでおく。それが田舎の習慣なのだ。

町のためになる。市民が喜ぶ。それよりも地元同士が揉める事には関わらない。まさにルール①「トラブルが起こっても見て見ぬふりをする」それを町の実力者たちが守ったという事だ。それどころかルール②が始動する。リーダーが動かない事を批判していたB君を町の人たちが非難し始めたのだ。

「仲良くしなきゃダメだろう?」

「あんたが何かしたから彼はヘソを曲げたんじゃないの?」

「B君。評判悪いよ。余計な事を言うからだよ」

リーダーの差し金ではない。B君を応援していた人たちの言葉だという。まさにルール②だ。

「被害に遭った人が責任者を責めると、みんなで被害者を叩き、トラブルには触れず、無かったことにする」

こうして地域社会ではトラブルが起こると、被害者を押さえ込んで沈静化を測るのだろう。ここからルール③も見えてくる。

「トラブルを避け、問題を起こさないこと。人と違うことをしない。新しいことを毛嫌いし、協調を大事にする」

後日談だが、リーダーは決してB君に腹を立てて、宣伝をしなかったのではない。すでに市民は映画の事を知っているので宣伝はさほど必要ないと思ったようだ。が、その事をB君には告げず、連絡が来てもダンマリを続けた。正直、情熱あるB君が面倒になったとも言っていた。

「そこまでしなくても映画はヒットするよ〜」

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そんな事を言ってB君と揉めるのが嫌だったらしい。ムラ社会ルールの①「トラブルは見て見ぬ振り」の活用だろう。争わない。知らん顔をしてやり過ごす。沈静化を待つ。だが、リーダーの読みとは違い映画はあまりヒットしなかった。B君の不安は的中。市民で映画が上映されている事を知る人は少なく。数週間で上映は打ち切りとなった。

誰かがリーダーに意見していたら。リーダーがちゃんとB君に説明していたら、町おこし映画はヒットして町の魅力を伝えたはずだ。それを成し得なかったのは誰の悪意でもない。ムラ社会ルールに縛れた人たちの反応が多くの市民の努力を無駄にしてしまったのである。映画だけではない。日本の政治。同じような構図がかなりある。一部の人たちのメンツのため。利害のため。多くがバカを見る政策が溢れている。

(ムラ社会のルール?)

①「トラブルが起こっても、見て見ぬふりをする。何事もなかった顔をする」
②「問題を起こした責任者を追求しない」
③「被害に遭った人が責任者を責めると、みんなで被害者を叩き、トラブルに触れず、無かったことにする」
④「トラブルを避け、問題を起こさないこと。人と違うことをしない。新しいことを受け入れず、協調を大事にする」
⑤「実質的なメリット。街全体のプラスより、個人のメンツや付き合い平穏を大切にする」

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