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映画屋が人と親しくなってはいけない理由=結局、相手を傷つけてしまう? [映画業界物語]

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映画屋が人と親しくなってはいけない理由=結局、相手を傷つけてしまう?

先日、「親しくならないことが大事」と書いたら「悲しいですね」とコメントする人がいた。確かに悲しい。ただ、純粋に応援してくれている人ばかりではない。最初から悪意を持って寄ってくる人。利用したくて近づいてくる人もいる。最初は笑顔。あれこれ応援する振りをして、親しくなると、恩を売り、断り辛いのをいいことに、あれこれ要求が始まる。甘い汁を吸おうとする。見返りを求めるということがある。

ただ、それらのタイプを僕は見破る。こちとら天才的な俳優たちの演技を見ている仕事。本音を隠しても見抜く。が、そうでないケースがある。こちらが問題なのだ。最初は純粋に好意。だが、そこからまさかの問題が生まれる。後輩監督のケースを紹介する。

「地元で撮影したあの監督。頑張っている。何か協力したい」そう思って寄付する。差し入れする。お手伝いする。エキストラで出演。ネットで宣伝する。あれこれ頑張る。見返りは求めない。20代。地元農家の男性。後輩は何度か会って親しくなる。ネット上で何度もやりとりをした。

映画人は別世界の人だと思われている。「イメージしていた怖い人ではない。冗談もいう。偉そうにもしない」彼はそう感じる。その内に友達、近所の兄ちゃん的な存在に思えてくる。この辺から問題が始まる。彼はいう「今回出た10代の俳優の***さん。ぜひ、次回作も出してあげてください。絶対いい芝居します!」でも、理由があり、後輩は次回作でその俳優は依頼しなかった。配役を発表すると、また連絡が来た。「何で出演させなかったんです?撮影現場であんなに頑張ってたのに、酷い!」そう言われる。

気持ちは分からないではない。キャスティングの希望をする人はいる。が、それが通らないからと、抗議するのはどうか? 後輩は気になり、何度かメールしたが返事はなかった。彼は撮影中にその俳優と何度も話し、アルバイトしながら頑張ってることをしる。おまけに母子家庭。次も役をあげるべきだ。なのに、、、そう思っていた。

この問題。分析すると、会社に手伝いに来てくれる若者がいた。社員とも仲良くなった。次の人事異動でお気に入りだった社員は別の部署に移動した。「それは可哀想だ。元に戻してあげてほしい」と社長に直訴したのと同じ。要は人事に対して意見を言った。それが通らないと憤慨した。人事は会社内のこと。外部からは分からないことが多い。それを「頑張ってたから」と外部の人間があここれ言うのは違う。

これ会社なら分かりやすいが、映画になると分かりづらい。俳優の技量、特性は一般の人には分からない。そして憧れで見てしまいがち。ファンとして応援するのはいいが、その人事を会社側に進言する。本来ならできないが、監督やスタッフと仲良くなるとそれができてしまう。そのことで「可哀想だ」「酷い」と憤慨する。優しい気持ちは分かるが、それをビジネスに持ち込むべきではない。でも、後輩は彼に本当に感謝しており、申し訳ないと思っている。が、キャストは変更できない。

どうすればいいのか? プロならそれは理解する。スタッフや俳優が監督やプロデュサーに「あの人がいい」「あの子はダメ」とは絶対に言わない。人気投票ではないことを理解している。が、業界外の人には分からない。人情で見てしまう。親しくなるとダイレクトに言い出す。「監督さんは優しいから、きっと分かってくれる」だが、仲良しクラブではない。可哀想だからと役に選ぶのはアウト。だが、後輩はその人には恨まれた。その後、彼は「あんな人だとは思わなかった。2度と応援しない」とあちこちでいい触れ回ったらしい。

問題は何か?映画の世界に彼は個人的な思いを持ち込み、それを監督に押し付けようとしたのだ。簡単に言うと公私混同。ただ、人は親しくなると、「私が言ってあげないと」「気付いていないかもしれない」と親切で、余計なことを言ってしまうこともある。そして拒絶され傷つき、悲しみ、憤慨することがある。どうすればよかったのか? 親しくしてはいけないのだ。そのことで垣根がなくなり、遠慮がなくなる、別の世界の価値観を悪意なしに持ち込んでしまった。このことで若者も後輩も傷ついた。だから、親しくしてはいけないのだ。互いのために。この件は後輩が悪い。業界のことを知らない若者に、そこまで言わせるまで親しくなったのが原因だ。悲しい話である。


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