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「半沢直樹」シーズン1を分析する=なぜ、大ヒットしたのか?ドラマの系譜を振り返る。 [映画&ドラマ感想]

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「半沢直樹」シーズン1を分析する=なぜ、大ヒットしたのか?ドラマの系譜を振り返る。

大人気ドラマであった理由がよく分かった。多くの人が見ているので、今更説明はいらないかもしれないが、主人公・半沢直樹は銀行マン。会社内の様々な軋轢と戦いながらある目的を果たそうとする物語。

何が魅力か?というと、テレビドラマは長らく恋愛ものが主流だった。あとは家族ドラマ。刑事ドラマ。女性視聴者ターゲットの作品で、人間模様を描くものが中心。なのに、この作品は70年代に和田勉が演出した「ザ・商社」のような男のドラマであり、ビジネス題材の物語なのだ。

もちろん、男性向けということではなく、女性が見やすいように半沢の妻(上戸綾)を登場させ、銀行マンの妻たちの面倒な世界を描きながら、その妻の視点で夫・直樹の活躍を描くというスタイルにしてある。が、久々の男性ドラマであり、ビジネスの戦いがメインの物語であったはずだ。刑事や弁護士、検事のものはあったが、意外にその手のものがなかった。盲点を見事についている。

近年の男性視聴者はテレビで見るのは報道番組とスポーツが中心。ドラマをあまり見ない傾向が強いだろう。その背景に合わせて局も女性向けに作ることが多い。90年代の「東京ラブストリー」「101回目のプロポーズ」あたりからは完全に女性向け。F1層ターゲットとなって行った。そのために恋の行くへのドラマとなり、ますます男性は離れて行く。「半沢」はそれを呼び戻すことが目的ではないとは思うが、70年代に多かった男性ドラマタイプである。

70年代、午後10時台のドラマは男性向けが多かった。食事が済み、子供たちが寝た後に、お父さんが見るドラマ。「特捜最前線」も最初は男性向けの社会派刑事ドラマだった。が、人気が出て、9時台、8時台に上がっていくと、ターゲットが主婦になり、社会派というより人情もの、親子もののエピソードが増え、クオリティも落ちて行った。が、初期は刑事物というより社会ドラマ。男のドラマだった。「白い牙」「新宿警察」「科学捜査官」「特捜記者」「どてらい男」皆、男の職場の男たちのドラマだった。頑張るお父さんの物語。

それが80年代入り、お父さんたちはドラマを見なくなったのか? その手のドラマがなくなって行く。記憶にない。当時、人気だった脚本家が山田太一、倉本聡、向田邦子、ジェームス三木である。皆、男のドラマの作家ではない。80年代は「金八先生」「熱中時代」のヒットで青春もの。学園ものが多くなったように思える。それが2010年代になって、70年代のスタイルである「半沢直樹」が作られたことに驚く。

ただ、特別な職場がドラマというのは近年でも存在した。今回と同じ「銀行」=「華麗なる一族」「病院」=「白い巨塔」「商社」=「不毛地帯」「航空会社」=「沈まぬ太陽」と作られてはいる。興味深いのはこれら作品は全て山崎豊子。そのテイストに近いものが「半沢」の第1話では感じられた。そのラインで考えると山崎豊子の物語は男性主人公ではあるが、女性も見られるものになっている。そこが「半沢」が企画された背景にあるだろう。そして、日曜の夜ということで、お父さんも一緒に見られる。そのことで高い視聴率を取ったと考える。

さて、一番感じるのは70年代に大阪を舞台にした商人ドラマ「どてらい男」にとても似ていること。猛烈な男が理不尽を打ち砕き、上を目指す物語は同じ。奇しくも「半沢」の舞台も大阪。そのこと、放送当時も話題になったという。しかし、真似をしたとかではなく、その手のドラマが40年の歳月を超えて受けたという背景こそが重要だ。その辺をまた考えて行きたい。



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