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表現の仕事をする人たちを羨む人。楽な仕事だと批判する人。 [映画業界物語]

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表現の仕事というのは理解されずらい。歌手だと「毎日、楽しく歌っているだけで、生活できるなんて楽な商売だね〜」という人がいる。が、歌で食っていくことがどれだけ大変なことか?を知らず、表面だけを見て羨み嫉妬しただけの言葉。僕もこう言われたことがある。「映画監督っていつもブラブラ、遊んでばかりいるって本当なの?」これは質問形式だが、「お前らロクなもんじゃない?偉そうなこと言って本当は単なる怠け者だろ?」といいたかったようだ。

画家、音楽家、小説家、俳優、歌手、表現の仕事をする人はその手の誤解と偏見と嫉妬に塗れた、的外れの批判をされることがよくある。(実は表現の仕事だけではなく、個人事業者、旅館、映画館、ライブハウス等も一般では知られていない苦労があるが、理解されないことが多い)

隣の芝生は緑。会社員をやっている人は毎日、満員列車で通勤。夜遅くまで残業。給料はもう何年も上がっていない。上がるのは物価だけ。アベノミクスも大失敗。家に帰れば子供に無視。そんな生活を繰り返していると、テレビをつけた時に歌手が楽しげに歌っていれば「気楽な商売だね〜」と感じてしまうのも分からないではない。

でも、毎日、会社に行ってそこそこ仕事をすれば、安定した生活が送れる会社員を、表現の仕事をする人たちは羨やむ場合があること。彼らは想像しない。来月から仕事がない。いくら仕事をしても生活ができない。副業をしないと食って行けない。いや、副業をすると本業ができなくなる。

表現の仕事以外にも人間関係の苦労がある。自分で営業せねばならない。30歳過ぎても食えない。そんな不安が常に付き纏い、手を抜けばすぐに仕事を失う。風邪なので今日は休みますーは通用しない世界。それを多くの人は想像しない。

そして常に偏見にさらされ、「遊んで暮らせる」「気楽な商売」「金が儲かる」「華やかな世界」「羨ましい」と思われ、批判の対象になる。「いい加減にして欲しい。大きなお世話だ。こんな仕事はもう辞めたい!」と思う人も多い。が、面白いのは、いや、悲しいのは、そう思って表現の仕事を捨てて会社員になれるか?というとなれない。そんな生活ができない人が表現の世界に生きているのだ。

逆にいうとカタギの人が歌手や俳優に憧れても、努力でなれるものではない。毎日、真面目に通勤し、会社で働くことができる人には、表現の仕事はできないことが多い。それをある種の人は一般の人が努力し、才能があって、運がよかった人が表現の世界に行き、活躍すると思いがち。だが、もともと別の世界の住人なのだ。どちらが偉いではない。毎日、真面目に会社で働ける人は表現の仕事をする必要がない。何かを表現しなければ生きていけない人がその世界で生きているのだ。

それが分からないからカタギの人が多いので。自分たちの価値観ーつまり、毎日会社に行き、遅くまで働いて、家に戻るともう深夜のような生活をするのがー働くーということ。そう思っているから「毎日、ブラブラ遊んでいるだけだってね?映画監督という人たちは?」と思ってしまう。日本人がアメリカ人の生活スタイルを見て、羨んだり、批判したりしているようなもの。その辺、機会があれば詳しく書く。


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