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言い訳が難しい。映画監督業は嘘も本当も言えない? [映画業界物語]

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「時間をとって欲しい」と連絡をもらう。通常は忙しければ「忙しい」と伝え、別の機会にしてもらう。あるいはキャンセルしてもらうのが通常。相手も「ああ、年度末だからねえ」と考えてくれる。だが、映画監督業の場合。「撮影をしていないのだから忙しくないはずだ」と思われることがある。監督=撮影が仕事と思われる。だが、撮影なんて映画製作の1部にしか過ぎない。撮影がないから仕事がないにはならない。

また、「撮影が終わったのに監督は何の動きもない。何をしているのか?さっさと上映会をすればいいのに!」と怒っていた人がいる。お会いした時に「海外旅行にでも行ってたんですか?映画の上映が先でしょう!」と言われた。が、僕は缶詰になり3ヶ月。編集をしていたのだ。彼は撮影が終われば完成だと思い、早く映画を見たい。なのに監督は!と思っていたのだ。一般の人は編集作業という工程をご存知ないことが多い。「撮影」=「監督の仕事」「撮影が終わった。仕事も終わった」と思われていたのだ。

シナリオも数ヶ月かけて書く。その時も缶詰状態。ま、自宅だが、電話も出ない。メールも見ない。その作品世界に入り込み執筆する。が、もし、「現在、シナリオ執筆中」というと「今回はどんな映画ですか?」「誰が出るんですか!」と聞かれてしまう。その後もことあるごとに「撮影はいつですか?」「俳優は決まりましたか?」と言われる。その情報が俳優さんたちに伝わると「ぜひ、出演したいです」「役はありますか?」「小さな役でもいいです」と連絡が来る。

それらの対応をするために時間が取られる。何より執筆に集中できない。そして、それらの人は悪気がない、むしろ応援してくれているので無下にはできない。すると、それなりの返事や折り返しの電話が必要になり、時間と労力が必要になる。せっかく入り込んだ作品世界から現実に戻ってしまい、数日間、何も書けなくなる。だから「シナリオで忙しい」とは言えない。言わない。シナリオ書いてないのに、書いていると思われて「出演したいです」「どこで撮影ですか?」と言われるのも困るし、書いている時にあれこれ連絡されるのも困る。

だから、誤解されないように、同時に本当のことも言わないで、忙しいことを伝えるのが難しい。現在は緊急事態宣言で多くの映画プロジェクトがストップ。僕は過労がまだ良くならず、伏せっている。「そう言ってシナリオを書いているんでしょう?」と勘繰らないようにね!


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