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「ウルトラセブン」脚本家・金城哲夫が最終回に託した沖縄戦の思いとは何か?⑤ [戦争について]

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最終回「地上最大の侵略」でウルトラ警備隊は「アマギ隊員の犠牲」の上に人類を救おうとした。キリヤマも同意した。が、セブンがアマギを助け出した。そしてアンヌから「ウルトラセブンは私たちのダンだったのよ」と聞かされる。

体がボロボロになりながら、命を賭けて人類を守って来たウルトラセブン。それは多くの犠牲を出して本土を守ろうとした沖縄人の姿がダブる。その犠牲の上に本土は守られた。セブンの犠牲の上に地球は守られた。そのことを隊員たちはアンヌの告白で知る。そのセブンは遠い宇宙から来たヒーローではなく、自分たちの仲間であるモロボシ・ダンであったことを知る。そう、多くの犠牲を出した沖縄人は遠い異国の外国人ではなく、同じ日本人であった。だから、隊員たちはそこから「セブン」とは言わなくなる。

そう。傷つき犠牲になったセブンは私たちの仲間であるダンだった。沖縄は遠い外国ではなく同じ日本であること。その沖縄に多大な犠牲を強いていたことを金城哲夫は重ねているのだ。そのダンの思い「1人(アマギ)を犠牲にして、多くが助かっても意味はない」隊員たちは理解した。だから、キリヤマ隊長はいう。「地球は我々、人類の手で守らなければならない!」その意味は「地球」=「日本」=「沖縄も日本だ」そこは「人類の手で」=「日本人の手で守らなければならない」つまり、あの戦争では沖縄を見捨てるのではなく、守らなければならなかった。と言う思いなのだ。

一時はマグマライザーの攻撃で「アマギの犠牲やむなし」と考えたキリヤマ隊長も、そこに気づいた。だから、彼は言葉にする。「地球は我々人類の手で守らなければならない」=「沖縄は我々、日本人の手で守らなければならない」「守るべきだった」その言葉は反省だけでなく、未来への提言でもある。「同じ日本だ。日本人が守るべき」その言葉を実践するのが、パンドンとの戦い。いや、セブン=沖縄を守る戦いなのだ。地球のために傷つき戦ってくれたセブン。本土のために多くの犠牲を払った沖縄。その沖縄を守るための戦い。あの時の惨劇を繰り返してはいけない。

だから、隊員たちは「ダン」と呼ぶ。もう、異国の人「セブン」ではない。鹿児島までが日本ではない。沖縄も日本だ。自分たちの仲間なのだ。それがモロボシ・ダンだ。一番きつく批判したクラタ隊長がいう「モロボシ。すまなかった」ここにも金城の思いがダブる。多くの人たちに気づいて欲しい。沖縄の犠牲を知って欲しい。分かって欲しい。すまないという気持ちを持って欲しい。その思いが込められたセリフなのだろう。

しかし、金城はクラタ隊長を責めない。彼の攻撃でアイスラッガーを投げ返すタイミングを逸っしたパンドンを、体制を立て直したセブン=ダンがアイスラッガーを投げ返し倒す。ここにも金城の思いが見える。「分かってくれれば、沖縄は頑張る。まだ頑張れる」という思い。いや、もしかしたら金城自身の思いかもしれない。「多くの人が沖縄を理解し、犠牲を強いたことを分かってくれれば、僕はまだまだ、頑張れる…」東京での生活。故郷・沖縄への思い。様々な疑問と葛藤。差別、偏見の中を生きた彼の、痛切な思いだったのかもしれない。(続く)


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