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「ウルトラセブン」脚本家・金城哲夫が最終回に託した沖縄戦の思いとは何か?④ [戦争について]

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ーー「地底へGO!GO!GO!」そのエピソードでセブンは自分が救った勇気ある日本人青年の姿をコピーして、モロボシ・ダンと名乗る。その青年の名前が「薩摩次郎」だ。その名前に金城哲夫はある思いを込めていたはず。薩摩は鹿児島県。沖縄の専門家に聞くと「当時、沖縄は日本に所属していたんだけど、誰も沖縄が日本とは思っていなかった。鹿児島までが日本なんだ。そんな時代だった」と話してくれた。日本ではないから、沖縄戦でも捨て石にして、犠牲にしてもいい。という差別意識が軍部にもあったのだろう。

そして、戦後も、沖縄から上京すると差別された。具志堅用高が番組で言った。「具志堅とか、渡嘉敷とか、すぐに沖縄人と分かる名前だと、差別される。部屋を貸りることもできない。だから、鈴木とか、山下とか偽名で生活していた人も多かった」やはり、鹿児島までが日本。そんな時代を過ごした金城が「沖縄人も日本人だ。なぜ、認めてくれない!」そんな思いがあったはず。それが反映されたのが薩摩次郎ではないか?

薩摩(鹿児島)一郎ではなく、次郎。つまり、鹿児島の弟でいい。薩摩の次郎でいい。そんな存在になりたい。日本人と認められたい!そんな思いが沖縄人であるセブンが彼をモデルにした理由ではないか? ちなみに『地底へGO!GO!GO!』の脚本は同じ沖縄育ちであり、金城の後輩である上原正三。金城は『セブン』の企画にも関わっているので、どちらかが「薩摩次郎」という名前を考えたはず。何れにしても彼らの思いが込められている。

せめて「薩摩次郎」になりたい。という思いに当時の沖縄人・金城哲夫の思いを感じ、涙が零れる。その薩摩次郎を目指してモロボシ・ダンの戦いが始まる。しかし、ウルトラセブン=沖縄人であることを隠した。具志堅の話がダブる。それがついに明かされる時が来た。ここが肝心。ダンは最初、アンヌに告白する。「僕は人間じゃないんだ。M78星雲から来た。ウルトラセブンなんだ」あのシューマンのピアノ協奏曲が流れる名場面である。

「アンヌ。驚いただろう?」だが、彼女は言う。「宇宙人でも人間でも、ダンはダンに変わりないわ」この台詞。金城の思いは当時の日本、差別がまだ続いていた時代に、自分が沖縄出身であることを告白したと言う表現。そして、ヒロインであるアンヌはそれに驚かず、受け止めてくれる。「ダンはダンに変わりないわ」そう言ってくれた。それは金城の思い、「心ある人は沖縄を受け止めてくれる」それを描いた場面だ。そんな思いを反映しているので、涙が溢れたのだと思える。金城の思いはさらに描かれていく。あの場面だ。(続く)


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