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戦場を描くだけでは「戦争」は伝わらない。その背景にいる人たち組織を見つめてこそ「戦争」が伝わる。 [戦争について]

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戦場を描くだけでは「戦争」は伝わらない。その背景にいる人たち組織を見つめてこそ「戦争」が伝わる。

映画製作というと「撮影」と思われがちだが、撮影は数週間。低予算だと長くて1ヶ月だ。対して編集は1ヶ月以上。僕の場合は最低3ヶ月かかる。師匠の大林宣彦監督は半年以上。時には1年も編集している。そしてシナリオ。これも書くだけなら1ー2ヶ月だが、その準備、資料探し、資料読み込み、シナハン、取材、等にかなりの時間をかける。

例えば僕の監督作「青い青い空」は書道が題材の映画。そのために書道を徹底して勉強した。まず、書道をやっている人から話を聞く。書家の先生に取材。筆、紙、墨を作る職人さんを訪ねる。自分でも書道を始める。毎日書く。書道の歴史を勉強する。書道展に行く。書道の盛んな町に行く。書道道具屋を訪ねる。そんなことで結果的に4年ほど調べた。

が、Pからは「調べなくてもいいから、早くシナリオをあげて!」となんども言われた。意味が分からない。調べないで物語は作れない。野球を知らない人が野球のシナリオは書けない。9回裏満塁。逆転チャンスとかいうクライマックスも野球を知っているから書けるのだ。が、そんなバカなPは多く、企画から撮影までが1、2ヶ月という映画が時々ある。

Pに言われなくても何も調べずに脚本を書く人もいる。先日もそんな日本映画を見た。「**」が題材なのに、それを見事なくらいに避けて物語を進める。取材して書けばとても素敵な文芸作品になるのに、聞きかじった知識だけでお手軽に書いていることが分かる。僕と同様に監督だが脚本を担当しているので、時間がなく大変なことは分かる。が、それでは軽い作品しか出来ない。期待していた作品なので本当に失望した。監督は「思い」を捨てて粗悪品の量産を選んだのだろう。

僕はそういう姿勢が許せないタチで、取材に時間をかけてしまう。だから、映画会社やPに嫌われる。彼らは形さえ整っていれば中身がなくてもいい。お手軽に、経済的に、手早く映画を作ればいいと考えている。映画界はそんな輩がとても多い。そのため、僕は3作目から監督、脚本、以外にPも、制作も手がけるようにした。必要なことには時間をかける。結果、自身が経済的に苦しくなるが、Pを雇わないので、うるさくいう奴はいない。

ただ、そのために企画がスタートしてから、僕がやるべき仕事が増えた。そのためにじっくりと取材、勉強してということが厳しくなった。とは言え、企業映画の何倍も調べてはいるのだが、それでも時間が足りないと思える。題材だけを調べていてはいけない。現在、上映中の「沖縄戦」でも沖縄についてはかなり勉強したが、本当は映画では紹介されない日中戦争やヨーロッパ戦線」も調べたかった。日中戦争は太平洋戦争に至る背景だし、ヨーロッパ戦線を知ることで太平洋戦争との違いが明確になる。

もっと欲をいえば、その後の朝鮮戦争、ベトナム戦争についても調べたかった。様々な戦争を知ることで「沖縄戦」の特徴が見えてくるからだ。沖縄戦だけを見つめても、そこは分からない。また、軍隊と戦場は多くの映画、ドキュメンタリーで描いているが、その戦争を起こした人たち、推進した組織についてはあまり触れられなていない気がする。映画「戦争と人間」ではそこに切り込もうとしているが、うまく行っていないようにも思える。戦場で何が起こったか?は伝えやすい。しかし、その裏で起こったことは見えずらい。また、現在との繋がりがあるので描きにくい。

でも、そこまで切り込んでこそ「戦争」を描けるのだと思える。戦場で死んで行った兵士のことを悲しむことも大事だが、その兵士を死に追いやった張本人。戦場にも行かず、安全なところで金儲けをしていた人たち。権力に守られ傷つくことがなかった人々。そちらにも目を向けること大切だと思える。話がかなり逸れてしまったので、本論はまた次回書かせてもらう。


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