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ヒトラーを単なる悪役として描いても真実は見えない。その背景にあるものを知りたい。 [戦争について]

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ヒトラーを単なる悪役として描いても真実は見えない。その背景にあるものを知りたい。

オウム真理教事件の当時、大衆食堂で飯を食いながらテレビ報道を見ていると、隣の席でビールを飲むおじさんが声を荒げた。「許せねえなあ。麻原というやつ!俺にも一発殴らせろよ」それはおかしい。彼の友達や家族がサリン事件で被害を受けたのだとしても、麻原を殴る資格も権利もない。それは単なる暴力行為。オウムが罪のない人を傷つけるのと同レベル。

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しかし、多くの視聴者はそんな風に怒りを駆り立てられ「オウム許せない」と批判した。それがオウムを内側から描いたドキュメンタリー「A」を見て、意外な事実を目の当たりにした。広報担当の信者をカメラが追い続けるのだが、彼はサリン事件については何も知らず、純粋に信仰していたことが分かる。そんな彼に対してもオウム信者ということで批判、バッシングを受ける。暴行もされる。マスコミや警察が汚い手を使い、信者を陥れる。

また、オウムと地域住民が仲良くしている町の紹介もある。テレビカメラも多数、その町で待機しているのだが、撮影しようとしない。信者と住民が揉めた時にだけ急ぎカメラを回し始める。「オウムは悪役でなければならない」「極悪非道でないとだめ」「住民と仲良くするなんてありえない」という設定ができているのだ。悪役に同情できる事情をマスコミは紹介しない。ワイドショーだけでなく、報道番組も同様。

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現在公開中の映画「Fukushima50」もその手を使っている。「悪いのは東電ではない、彼らは日本を救った英雄」という設定で描いている。だから、菅直人総理が怒鳴っているところばかり描く。見ていると事故対応の邪魔をしているように思える。「そうか、問題は総理だったんだ」と観客を誘導。嘘まで交えて悪者にしている。彼が怒鳴るに至る経過はカット。だから、感情的な嫌な奴に見える。そのことで映画では東電職員が英雄。菅直人が悪役にしてしまう。事実とは反対だが、映画ではそれができる。

もし、同じ手法をハリウッドの映画人たちが使い、ヒトラーを描いているとしたら? ヒトラーが正義の人だとは言わないが、映画の彼は感情的で、冷酷で、残忍な悪の化身のように描かれている。本当にそうだったのか? 脚色はないのか?「F50」と同様に必要な経過をカットしていないか?隠していないか?と思ってしまう。

酷い目にあったユダヤ系の人たちの血を引く映画人たち。スピルバーグらは「ヒトラーは悪」でなければならないだろう。でも、その裏を解明しなければ、本当に意味で「戦争」が見えて来ないと思える。なぜ、彼が暴走したか? 独裁者となったか?を知りたい。


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早田 快人

戦争映画などで、バッタバッタと倒され、”悪の手先” のように
描かれるドイツ兵を見て、いつも思うのは・・・

彼らが従軍するまでの生活、ベルサイユ体制のもとで、
どんなに悲惨な幼児期や少年期を送ってきたのか?ということです。
第一次大戦 敗戦国として非情なまでの賠償金を課せられ、
さらに世界大恐慌で一切の国際的援助が引き揚げられてしまい、
どん底に陥っていた第二次大戦前のドイツ・・・

そこに突如現れて、数百万の失業者を救い、低所得者に減税を
施し、住宅ローンや有給休暇の充実など、次々にドイツ国民に
希望を与えた ”救世主” が、ヒトラーだったようですね。

アウトバーン建設の公共事業など、経済政策でガッチリ国民の
心を掴み、天才的なスピーチ能力とカリスマ性で、ドイツ国民の
敗戦国としての劣等感や絶望感を吹き飛ばしてしまった。
この時点(戦前)までは、アメリカにさえ支持者がいたと聞きます。

ユダヤ人への虐待、その後の極端な軍事路線、侵略戦争は
すべて ”反動” ではないか?強烈な ”被害者意識” が根底にあって
のことではないか?

ゲルマン民族の優越性をヒトラーに説かれることで、
その被害者意識のエネルギーはナチスの戦闘力に昇華?されて
いったのではないか・・・? そんな気がしています。

いろいろ、そういう前提状況はあったにせよ、ユダヤ人の大虐殺
という事実は、彼らが ”絶対悪” として描かれてしまうに十分な
根拠となってしまったように思えます。

でも、彼ら(ナチス)が、そんなことを出来てしまったのは
やはり、病的レベルの被害者意識が根底にあったからではないか?そう考えると・・・現在のイスラム国やイスラム過激派の行動も、
”戦勝国” の横暴が無関係ではないということにも似てきますね。

絶対悪が、突然現れるのではなく、そこには原因、理由があるので
しょう。森達也氏がオウムのことで究明したかったのもそこだった
のでしょうか。

by 早田 快人 (2020-03-24 04:40) 

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