SSブログ

「ターミネーター」シリーズを分析=キャメロンの見事な職人芸 最新作「ニューフェイト」(下) [映画&ドラマ感想]

78070103_3215839038490378_8979733007602548736_o.jpg

「ターミネーター」シリーズの努力を分析した=キャメロンの見事な職人芸を見せつける最新作「ニューフェイト」?(下)

「T」のクリエーター達はあれこれ考えただろう。「このシリーズ。新作はどうすればいい」もはや、サラやジョンを追いかけるだけの話ではダメだ。と言って未来のジョンの話にすると「T」シリーズではなくなってしまう。同じ悩みは「ハロウィン」シリーズにも言える。毎回、マイケルが殺戮を繰り返し、D・プリーゼンスが追うというだけで飽きられてしまった。と言って新展開すると「ハロウィン」シリーズでなくなってしまう。

で、「T」オリジナルの父・Jキャメロンが再登場。断端な改革を行う。彼自身が監督した「3」以降をなかったことにして、「2」の続編を作ったのだ。「俺のシリーズをダメにしやがって!この俺様が正式な続編を作る!」という思いをヒシヒシと感じる。完成したのが現在公開中の「ニューフェイト」。これがかなり良く出来ている。従来のターミネーターが主人公を襲う。というパターンを抑え、サラに代わって別の女性が狙われる。

追うのは「2」に準じる液体金属のターミネーター。ヒロインを救うために未来から送り込まれるのが、強化人間の女性。ここは新しさを打ち出す。が、大事なのはシュワちゃんを出さねばならないということ。彼の存在は大きく「4」が別の映画に思えたのはそのせい。そこで、死ななかったもう1人のターミネーターという設定で登場。通常ならこれでシナリオを進めるだろう。

それをキャメロンはさらに年老いたサラまでを登場させる。これは敵ターミネーターVSシュワ、サラ、ジョンというパターンと同じ。今回は敵VSシュワ、グレース、サラ+ダニーという構図。ただ、これでは「2」の焼き直しになってしまうので、新たな設定を加える。

サラは息子ジョンを殺された悲しみで復讐に生きている。シュワは使命を終え、自分の意味を失った時に出会った母息子のために生きて来た。そしてグレースはネタバレになるので説明しないが、大きな使命がある。3人とも十字架を背負っているのだ。それを降ろせるのがダニーを守ること。そして観客にすれば年配の女性はサラに、男性はシュワに、若い女性はグレースに感情移入できる。

ダニーの存在も単なる可哀想な女性ではなく「希望」という存在だ。従来の映画のように「弱い人」「愛する人」を守るというだけの話ではなく、希望を守り、育むというテーマになっている。ここが現代的であり「1」「2」と大きく違うどころ。そして応援したくなるところだ。

キャメロンらしいのは「3」以降は男のドラマ(ジョンが主人公になる)に対して今回は明らかに女性のドラマなのだ。女性が傷つきながら頑張る物語。普通の女性だったダニーの成長物語でもある。そこに女性客は感銘を受けるだろう。

振り返るとキャメロンの映画はその手が多い。「T1」「アビス」「タイタニック」「エイリアン2」皆、頑張る女性の物語だ。自分のスタイルで、「T」シリーズの構図も守り、それでいて新しい。キャメロンがやるとこうなる!という見事な例を見せてくれた。(了)


73320400_3138188356255447_1754527516606857216_n-1.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。