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巨匠たちはなぜ、毎回同じ俳優を起用するのか? =自分で監督してその謎が解けた! [映画業界物語]

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巨匠たちはなぜ、毎回同じ俳優を起用するのか? =自分で監督してその謎が解けた!

映画監督業に就く前。友人とよく話したことだが「なぜ、山田洋次監督は毎回、同じ俳優を使うのか?」。「男はつらいよ」シリーズに毎回、渥美清、倍賞千恵子、前田吟が出るのは分かる。レギュラーだから。でも、山田監督は他の映画でも倍賞、前田、笠智衆(御前様)、吉岡秀隆(光男くん)、等を起用。渥美清を特別主演させたりしていた。

それでいうと黒澤明監督も毎回、三船敏郎、志村喬、千秋実、藤原鎌足、宮口精二、等の「七人の侍」メンバーを起用している。多くの巨匠たちがそのスタイルを取る。映画ファンの頃は、「もっといろんな俳優を使った方が新鮮だし、世界が広がるのに〜」と大巨匠たちのやり方に不満を感じていた。それが監督業を始めると、その理由がよく分かった。

キャストは毎回50人以上。その1人1人に時間をかけて話す余裕はない。俳優たちもまた忙しい日々を送っている。一度、仕事をしてうまく行けば、次は短い説明でオーケーだ。その時間を新しい俳優に使うことができる。詳しく説明しよう。

太田組の場合。主役は毎回、新しい人。すでに知名度があり活躍している。最近では常盤貴子さんとか鈴木杏さん。そしてメインキャストには新人を1人入れる。芳根京子さん(その後、大ブレイク!)とか越後はる香さんだ。あとのメインキャストはこのところは続けて田中美里さん。藤田朋子さんらが出演してくれている。主役級の実力派。太田組はめっちゃ豪華な配役。

あと、メインキャストにはこれまで並樹史朗さん。山本太郎さん。いしだ壱成さん。波岡一喜さん。板尾創路さんとこれまた凄い顔ぶれが出演してくれている。さらに、大御所枠というのがあり、松坂慶子さん。長門裕之さん。津川雅彦さん。宝田明さんと超豪華な名優が出てくれた。

監督として一番気遣うのはまず主役の方々。みなさん太田組は初めてなので緊張もする。何より主役は凄いプレッシャーがある。あと、板尾さんとか初出演の方も大事。そこに力を注ぐ。次に新人。芳根や越後。その他、新人でメインを務める子たちも大変。映画初出演という子もいる。その子らをリラックスさせ、やりやすい環境作りをする。大声で怒鳴る武闘派スタッフは入れない。そのことで新人が萎縮するといけないからだ。

それらだけで現場では手一杯。そんな時、実力があり、勘がよく、打てば響く素晴らしい俳優さんがいて、その人も太田組のやり方を理解してくれていれば、これほどありがたいものはない。それが常連の皆様。先の女優さんたちだけでなく、役で言えば意地悪な会長さん、本屋のおじさん、主人公の同僚たち、たい焼き屋のおばちゃんと、花火師さん。そんな俳優さんたちは、あれこれ説明しなくても理解して最高の演技をしてくれる。

で、気づいた。山田監督にとってそれが倍賞千恵子さんであり、前田吟さん。黒澤組では千秋実、藤原鎌足、宮口精二という俳優さんなのだ。監督の思いを理解し、最高の芝居をしてくれる。そんな存在がいるから素晴らしい映画ができる。そのこと自分で監督して気づいた。

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