人は経験のないことが理解できない。=そのためにトラブルが解決できず、皆が悲しい思いをする? [MyOpinion]
人は経験のないことが理解できない。=そのためにトラブルが解決できず、皆が悲しい思いをする?
先に犯罪の多いLAで無防備な行動を続ける日本人観光客の話を書いた。犯罪は映画の中の出来事を思っているので、自分が巻き込まれるというリアリティを持てない。レジで財布からドル札を取り出して数えたり(危険!)セカンドバッグをテーブルに置いてハンバーガーを買いに行ったり(置き引きされる)ということを平気でしてしまう。日本とLAは違うことを知りながら、日本での生活習慣を続ける。危険を察知、想像できない。
同じことは精神病にも言える。多くの人は精神病というと、気が狂った状態で、刃物を持って暴れると考えがちだ。また「シャイニング」のJ・ニコルソンのように同じ文字を、例えばブログに「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね」と延々と書き続けている人と考えたりするが、精神病には多種多様な症状がある。それらをテレビの健康番組は絶対に伝えない。必ず人権問題だ!差別だ!と批判を受けるからだ。
そのことで精神病の知識を持つ日本人は少なく、精神病患者によって引き起こされた事象を理解できない。患者に悪意はないが、彼らのいう嘘や妄想を真に受けてしまう人がいる。そのことで騒動になる。多くの人が振り回される。そして罪のない同士が争ったり、憎みあったりしがち。
精神病については以前から何度も書いているので、そちらを読んでもらいたい。(「朝日のあたる家」監督日記ーカテゴリーにいくつもあります)今回、伝えたいのは、周りの対応だ。LAの場合、犯罪については知っていても、リアリティを持てずに危険な目に遭うケースが多い。が、精神病の場合は知識も情報もないので、余計に分かり辛い側面がある。例えば知識のある人が「あの社長が横暴なのは精神病のせいですよ」と伝えても、周りは理解しない。
「いくら酷い社長でも精神病というのは酷すぎるよ〜」
「精神病なら刃物を振り回して暴れるはず。社長は単なる嫌な奴!」
という取られ方をする。当然、患者は自分が病気であるという意識はない。病状による判断能力の欠如で、社員を振り回しているのだが、それに誰も気づかず。結局、社員は辞めていくばかり。社員にしても社長がなぜ、あんな無謀なことをするのか? 理解できず。我慢する。そして辞めて行く。
例えばある社長は双極性障害の患者、皆で会議で決めたことを後になり、独断で180度別の方向にしてしまい、皆の合意なしに進めてしまう。新しい判断をしてしまうのだ。先の社長がまさにそれだった。決定されたプロジェクトを社員は進めているのに、あとになり中止させて、誰も賛同してない別のプロジェクトをやれ!というのだ。費用も時間も無駄になる。何より社長への信頼が失われる。
が、それが症状。患者は根拠のない万能感を持つことが多く、経験のないことでも自分はできると思い込む。そして誰が見ても無謀と思えることに多額の資金をつぎ込んでしまいがち。周りが反対しても、理屈にならない主張を続け、質問にも答えない。周りが「質問に答えろ!」と怒り出すと「何度も答えているだろう。お前らこそ同じ質問ばかりするな」と逆ギレする。
もちろん、成功することはなく、会社はどんどんダメになる。個人の場合は貯金を使い果たし、借金までして、家族は大変なことになる。ただ、常識を超えた行動はなく、一見仕事熱心な人、やり手に見られることが多く、医者でも診断が難しい。その症状を知っている人が指摘しても、周りは理解しない。
「それ精神病じゃなくて、単なる馬鹿だよ!」
「おかしいのは社長じゃなくて、お前じゃないの?」
そんな反応になりがち。人は自分が知らないものを理解できない。知らないものを「ありえない」と思いがち。こうして患者も周りも救われることなく、誰も悪意がないのに騒動を続けてしまう。
犯罪都市LAを旅行するのに、安全な東京と同じ感覚で無防備に過ごしてしまう人でも、一応、危険があることは知っている。それでもリアリティがなく、犯罪者に狙われることをしてしまう。だったら精神病を全く知らない人に精神病患者の行動を説明しても、理解できないのは当然かもしれない。
人は知識や情報ではリアリティを持てないということ。まして知識がなければ余計にダメだ。自分が酷い目に遭った経験を持ち、初めて理解する。それでは動物と同じ。人も愚かな生き物だと思ってしまう。戦争法案が可決されても騒がない人たちが多いのも当然かもしれない。戦争が始まって初めて「嘘だろ?」というのだろう。
「朝日のあたる家」双極性障害について=>https://cinemacinema.blog.so-net.ne.jp/archive/c2305969587-1
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