ナレーションの大切さ。間違えなく読むだけではダメ。では何が大切か? [映画業界物語]
ナレーションの大切さ。間違えなく読むだけではダメ。では何が大切か?
某テレビ局のドキュメンタリー。見ていると本当に時間もお金も労力もかかっている。羨ましい。よく取材もしているし、よく探し出したな!という人にインタビューしている。ただ、ナレーションだけは毎度感心しない。読み間違いなく、上手に読んでいるのだが、悲しみも、喜びも、感動も、恐怖も伝わって来ない。
「こうして多くの住民の命が失われたのです」
とナレーションがあっても、全く悲しくない。人がいっぱい死んだんだな?ということしか感じない。
社員アナウンサーがナレーションを担当しているのが原因だ。というのはアナウンサーは基本。感情を入れず、正確に、分かりやすく、原稿を読むのが仕事。報道ではそれが大事。だが、ドキュメンタリーの場合はそれが災いする。
その局ではドキュメンタリーも報道の延長であり、偏りなく、客観的に説明するという解釈なのかもしれないが、学校の授業ではない。沖縄戦を紹介するというのは、歴史上の事実を説明ではなく、あの悲劇を繰り返してはいけない。という教訓的なものも大事。
それとは別に報道番組でも特集は俳優がナレーションをすることもある。以前にも少し書いたが、やはり感情表現力が凄い。それこそ俳優は朗読劇といって、舞台の椅子に座り、本を読むだけで2時間。観客を釘付けにしてしまう。映像が映される訳でも、音楽が流れる訳でもないのに語りだけで聞かせる。その意味で今回の「沖縄戦」ドキュメンタリーはやはり俳優さんだと思え、ある方にお願いしている。
ナレーションはある意味ドキュメンタリーの主役。そこを誤ると全てが崩壊してしまう。今夜も作業を続ける。
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