先代の市川猿之助の言葉。台詞もナレーションも同じ。その秘訣とは何か? [映画業界物語]
先代の市川猿之助の言葉。台詞もナレーションも同じ。その秘訣とは何か?
あの某局のドキュメンタリー。ナレーションは局アナが担当する。読み方が報道と同じで客観的。そのために戦争ものでも悲しみが伝わらない。理由はそれだけではなく、原稿に書かれた戦争の経緯や内容を勉強せずに読んでいるような気がする。それでは絶対に伝わらない。
かつて、先代の市川猿之助が演出した「西遊記」舞台での練習中。三蔵法師役の主演俳優からこう言われたという。
「今回の舞台には中学生の団体も来ます。なのに私の台詞は仏教経典からの引用が多く非常に難解です。台詞が覚えるのが辛いからということではなく、もっと分かりやすい言葉にした方が中学生にも理解してもらえるのではないでしょうか?」
それに対して猿之助の答えが凄かった。
「それはあなたがその仏教経典を理解していないからです!あなたが理解して話せば例え中学生でも分かるはず。理解せずに台詞をいうから伝わらないのです!」
無茶のように思えるかもしれないが、その通りなのだ! 意味は分からなくても思いは伝わる。良く言う「大根役者」とか「棒読み」というのは、まさにその論理なのだ。本人が理解せずに台詞を丸暗記するだけ。だから、観客に届かない。例え経典の難しい言葉でも理解すれば届くというのが猿之助の指摘なのだ。
その意味でいうと、今回は沖縄戦を知り、その悲しみを感じている人がナレーションをせねばならない。今から勉強してもらうには時間がない。例えば沖縄出身で祖父祖母から当時の話を聞かされて育った俳優さんとか。あるいは......****というのも可能。あれこれ考えて、そんな俳優さんにお願い。快諾頂いた。いずれ発表させてもらう。
2019-03-03 10:13
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