ジェームズ・キャメロンに学ぶ。映画導入部のなるほどテクニック? [映画業界物語]
ジェームズ・キャメロンに学ぶ。映画導入部のなるほどテクニック?
「短くせねば!」という思いが強すぎてオープニングの各カットが短すぎる。もちろん、目には見えるが、冒頭はもっとゆったりと見せねばならない。この段階、観客はまだ退屈しておらず「どんな作品かな〜」と興味津々で見てくれる。
あまり急ぐと、作品世界に入ってもらえない。乗り遅れたまま、ラストまでとなると「退屈」ということになる。このパートはいつもの劇映画「明日にかける橋」等でいうと、地元紹介部分だ。「この街である物語が始まります〜」という導入部をいつも見せるが、それに相当する。
「今回は沖縄ですよ〜。こんな場所もあるよ〜。こんな施設もあるぜ〜。沖縄と言ったらここでしょう〜」
と観客を沖縄に連れてくる部分だ。ここで急いで進める意味はない。むしろじっくりと、扉を開いてエスカレーターで二階に連れていくくらいのゆったりさが必要だ。
ハリウッド映画でも、最近はオープニングからドンパチして退屈させないサービスをしがちだが、それをしてしまうと、ドラマ部分に乗ってもらえない。そのテクニックを熟知しているのがJキャメロンだ。実は彼の映画。冒頭30分はほとんど何もおきない。「エイリアン2」以降は船もすぐに沈まないし、エイリアンも出てこない。「アバター」も同様。
そうやってじっくりと、物語設定。キャラクター紹介をする。少しばかり退屈だが、そこを過ぎるとあとは、怒涛の展開。つまり、物語世界に観客を連れ込めばあとは!。だから、クライマックスも興奮、感動となる。
が、冒頭にアクションを見せると、道で喧嘩を見かけたようなもので、足は止めるが、最後まで客観的に見てしまい、感動や興奮が伴わない。キャメロンはそれを熟知している。だから、彼の映画はおもしろい。「007」で感動できないのも同じ背景。物語世界に観客を連れ込み、キャラクターを丁寧に紹介。客が共感すれば、あとは!それがキャメロン流。
ドキュメンタリーも同じだ。まずは現代の沖縄に観客を連れて行く。そこからタイムマシンで太平洋戦争にタイムスリップ!というのが今回の趣向。最初の沖縄を焦って描き過ぎていた。そこでいくつも新しいカットを探し出して追加・3分ほど長めにした。これで1ランクよくなるはずだ。
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