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どうすれば他人事ではなく、沖縄戦の悲しみを伝えることができるのか? =修学旅行生の発言から感じること [2019]

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どうすれば他人事ではなく、沖縄戦の悲しみを伝えることができるのか? =自分のこととして感じることの難しさ?

下見で沖縄に行ったのはもう2年前になってしまう。沖縄は全くの初めて。その上、沖縄戦のことはまるで知らな買った。映画「ひめゆりの塔」(オリジナルの白黒版)を見たことがあるだけ。それどころか沖縄について何も知らないという感じだった。

若い女性ならリゾート地として憧れるので、いろいろ詳しいかもしれないが、僕は「旅行」とか「リゾート」とか全く興味なし! 「行きたいところは?」と訊かれると

「チェルノブイリ!」

というようなタイプ(結局、行けましたが)だから、沖縄と聞いて思い出すのは「安室奈美恵」と「SPEED」それから金城哲夫と上原正三(ウルトラシリーズの素晴らしい脚本家達)くらいだった。

そんな何も知らない状態で現地をあえて訪問、そんな真っ白なところから取材したかったからだ。まず沖縄通の方があちこち案内してくれた。まずは戦跡を訪ねる。そして資料館。祈念館。ほどんどが綺麗な建物で、当時の写真や当時の物が展示されている。大きなパネルに文章で説明。博物館や美術館と同じパターンだ。僕の想像力が足りないのか? 正直にいうとピンと来なかった。

ふーーん。そんなことがあったんだあ〜という感じ。理屈としては大変な戦争であったこと分かる。が、その「悲しみ」や「痛み」が感じられない。病院豪になった場所を案内してもらったときー大きな洞穴でかなり深く、延々と続いているー解説の人が

「修学旅行で来た生徒には、ここで当時を思い、涙する子も時々いますよ」

と教えてくれた。が、ただただ広がる巨大な洞穴。話を聞いても、ここに多くの患者が収容され、死んでいったことを想像するのは難しかった。その修学旅行の生徒達とも、いろんな場所ですれ違った。彼らを見ていると冗談を言いながら、ふさげたり。スマホで記念写真を撮ることに夢中。とても戦争の悲しさを感じているようには思えない。

帰京後、別の仕事をしたとき。若い女性スタッフと話していると「私も修学旅行は沖縄でした!」というので聞いてみた。

「そうですね〜。お墓がいっぱいあった広い場所(平和祈念公園)で隠れんぼをやったのが楽しかった! あと、洞穴で泣いた子もいました!」

先に聞いた話と合致する。さらに聞いた。なぜ、その子は泣いたの?

「暗くて怖いから! 男子に後ろから脅かされたりしたし」

解説を聞いて泣いたのではないという。でも、それが現実だろう。まだ、僕らの世代(昭和30年代生まれ)は戦争の傷跡を知っている。子供の頃、商店街には焼夷軍人が白い服を来てアコーデオンを演奏していた。親から戦時中の話を聞いたし、戦争に行ったおじいさんも近所にはいた。でも、平成生まれの子達にとって戦争を感じる機会はあまりないだろう。

「沖縄は隠れんぼをして、暗い洞穴に連れて行かれたのが思い出!」

という記憶しか残っていないのだろう。と言いながら、僕自身も似たようなも。その上、若い子達より捻くれたオヤジなので始末に悪い。

「こんな整地された広い場所にオブジェのような墓を建てて、どうやって戦争の悲惨さを感じればいいのか? 何か間違っている。観光名所としての意味しか持たないだろう?」

そんなことさえ思っていた。その後、沖縄戦を勉強し、それらの施設を訪れた時。

「あーなるほど、これはあの事件のことを伝えているのか!」

この場所はあの戦いの....と痛感。しかし、多くの人は事前に勉強して沖縄を訪れる訳ではない。学校教育では沖縄戦どころか、太平洋戦争自体を教えることなく三学期を終える。

そうすると、先の修学旅行生や僕のように、ふーーんと思うだけで旅を終えることが多いはず。いくら年表を張り出し、当時の写真を飾り、解説を書き出しても、それは文化祭の展示ようなもので、多くの人は知識として理解するが、「悲しみ」や「苦しみ」がどれだけ伝わるのだろう? そんな手法しかないのか? 他に伝え方はないのか?

批判は簡単である。だったら僕は、今回の作品でどのようにして、沖縄戦の「悲しみ」や「苦しみ」を伝えればいいのか? これは福島の原発事故と同じ構図だろう。テレビや新聞は原発事故の被害を伝える。表面的ではあったが伝えた。それを見て「酷いなあ」「大変だな」と多くの人は思った。が、それは他人事。

「福島の人、可愛そう」

というレベルなのだ。だからこそ、まだ8年しか経っていないのに(セシュムの半減期は30年!)こういう人もいる。

「もう、原発事故は収束したんだよね? 総理大臣も言っていたし。汚染水もコントロールされているし。避難していた人はみんな家に帰ったんだよね?」

そんな人たちが増えている。8年でそれだ。沖縄戦から70年。その当時の悲しみをどうすれば伝えられるのか? 他人事ではなく、自分のこととして感じてもらえるのか?言えることは形だけ戦争を描いてたり、授業のように上部だけ事実を並べるやり方では「悲しみ」は伝わらないということ。

今回のテーマはまさにそこ。それができなければ、単なる教材ビデオにしかならない。作業を続ける。



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