映画作りで大切なのは「考える時間」=日米のシナリオ事情 [映画業界物語]
依頼のとき、1ヶ月後にシナリオをあげて欲しいとか言われることがある。もちろん、大河ドラマとかは1年前から準備するが、数ヶ月前ということが多い。
ハリウッドで映画を作るときは、3年前から準備する。1年目は取材、2年目は構想、3年目が執筆。だから、いい作品ができる。また、脚本家にはその後、3年間は遊んで暮らせるだけでのギャラが払われる。だから、作家も真剣にやる。それが日本の場合。「経費は出さない」「早く書け」「取材せずに書け」それでいて企画が通らなければギャラなし!ということが多い。
そんな事情もあって、日本映画で面白い作品を作るのは難しい。もちろん、ベテランのライターさんたちは素晴らしい物語を書くが、やはりその辺は大手のサポートが大きい。映画会社が酷い!ということではない。素晴らしい脚本を書くには時間が必要ということなのだ。ハリウッドは3年。日本は1ヶ月?!だから原作ものが多い。すでに取材され物語になっているものを映像にしやすいように直すだけ。それを1からスタートするオリジナルは大変なのだ。
ちなみに僕は毎回、そのオリジナル脚本を書く。原作はない。1から取材をせねばならない。だから、時間が必要。取材の時間だけでなく、考える時間が大切。もちろん、時間がなければパターンにはめて書けば書くことは出来る。が、それではクオリティが低くなる。様々な面から考えて、考え抜いて物語を書いてこそ、いいものが出来る。その意味で昨年はあれこれ考える時間があった。コロナで大変だったが、そこはありがたい部分であった。
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