SSブログ

題材の取材をせずにシナリオを書く人たち=その背景と事情? [映画業界物語]

59975702_2667199810020973_2362675987864354816_n.jpg

シナリオの話をもう一つ。依頼には2通りある。会社で企画が通ってからシナリオ依頼が来る場合と、企画を通すためのシナリオ書きを依頼して来る場合だ。前者はすでに予算が通っているので脚本料が支払われる。映画化され映画館で公開される。

後者はスポンサーサイドや会社上層部が企画にまだ賛成をしておらず、「シナリオを見た上で製作を決めよう」という状態。pが脚本家(あまり売れていない人)に執筆依頼。それを企画会議に提出して承認されれば映画化。却下だと予算はつかないので脚本料は支払われない。

後者の場合。pは「承認されない場合はノーギャラ」とは言わずに頼んでくる場合が多い。シナリオを書くのは最低でも1ヶ月かかる。却下されればギャラは出ない。1ヶ月タダ働き。なのに、ギャラの説明はほとんどされない。あとで事情を知る若手も多い。詳しい中堅なら、なるべく時間をかけず、お手軽なものを書いて提出する。万が一、企画が通ればラッキーというレベルで考える。

こんなことをしているから、上質なシナリオが出来ない。これが製作決定済みの作品でも近いことがある。脚本料が安い。経費が出ない。取材するほどにギャラが減る計算だ。それも自腹で立て替え。ギャラはシナリオ完成後。だから、ライターはなるべく取材をせずに書く。ネット検索のみで資料を探す。また、ギャラはそこそこでも時間がない。来月までに上げて欲しいと言われたら、執筆だけでタイムアウト。遠方に取材に行く余裕がない。だからネットでしか調べられない。いいものを作るのは難しい。

そんな環境に毒されたのか? 元々が怠け者なのか? 最近は取材をしない若手が多い。同じ題材の漫画本を読んでおしまい。作品の題材に関わる話になるべく触れないようにして物語を作る。そうすれば取材をせずに済む。しかし、原発事故、戦争、政治等を題材にすれば調べなければ書けない。なのに、それをせずにシナリオを書いてしまうライターがいる。想像と聞きかじった情報でお手軽に作る。取材が重要と考える僕から見ると許せない。食材の知識がないのに料理を作る調理師のように思える。


スクリーンショット 2020-08-11 16.55.35.png
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。