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スーツにネクタイで騙される人たち。ある後輩の経験から。 [ムラ社会ルール]

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スーツにネクタイで騙される人たち。ある後輩の経験から。

もう、かなり昔の話だが、後輩が地方で映画を撮るとき。支援者のAさんに挨拶に行った。そのあとに実行委員の方から連絡がありこう言われた。Aさんが言うには

「監督の服装が酷い。あれでは普通の兄ちゃんだ。せめてスーツにネクタイを締めてないと、信用されないぞ!」

んーー笑ってしまう。映画監督でスーツにネクタイの人なんていない。そんな服装で「映画監督です」と挨拶に来られたら「怪しい」と思った方がいい。でも、Aさんは監督と言う人に会ったことなんてない。なので勝手に想像してネクタイにスーツでちゃんとした格好をしているはずだ!と思い込んだ。

数時間後。後輩が実行委員のお宅で打ち合わせをしていると、Aさんから再び電話があった。「テレビで今、映画監督が出ている。監督さんもあのくらいの服装した方がいいと言ってやってくれ」と言う。急いでテレビをつけると、出ていたのは監督ではなく、俳優だった。映画監督はカンヌ映画祭とか、その手のタキシード着用が決められている場以外でスーツにネクタイなんて服装はまずしない。

それを知らないAさんは親切のつもりで「スーツにネクタイで訪ねるべき!」と言ってきたのだ。ただ、それは彼の思い込みであり、監督はビジネスマンでも、商社マンでもない。むしろ芸術家の分野。その手の人は既成概念に縛られない。そのことを知らずに思い込みをAさんは主張するのだ。が、その町の人たちの多くはAさんに近い発想だったようだ。後輩が映画を撮ったことで町の知名度が上がり、それを聞いた中堅企業が「映画撮りませんか?」とやって来た。

誰もが知る中堅企業。社員はスーツにネクタイ。「1億円で映画を撮ります。大手テレビ局**も参加します。町から4000万円出してください。宣伝になりますよ」その言葉に町の人たちは大喜び。市の予算。さらに県も巻き込み出資(正確には寄付に近い)した。が、その会社は1億円と言いながら地元が出したその費用だけで映画を作り、儲けは全て自社のものとした。完全に利用され、騙されたのだ。

その後、町のイベントで使うので映画のスチール写真を貸して欲しいと頼んだが「肖像権があるので...」と断られた。一部の人たちは「何のために金出したんだ?町の名前も映画では出てないし。利用されたんじゃないのか?」と話したと言う。後輩は語る。

「あの町は、いい人ばかりです。ただ、映画界のことは何も知らない。当然なんだけど、知らないことを勝手に想像して思い込むことが多い。大手企業やテレビに弱い。Aさんの言葉を思い出します。彼の言葉を裏返せばスーツにネクタイで訪ねれば、田舎の人はコロッと騙される。と言うことです。そこを利用した企業。許せないです...」

その町だけの話だけではないだろう。大手企業、テレビ局、スーツにネクタイ。それで騙される日本人は多いはずだ。



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