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親切な人が抵抗勢力になってしまう。線を引くことの大切さ? [映画業界物語]

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親切な人が抵抗勢力になってしまう。線を引くことの大切さ?

新作がスタートしても、ここぞというときにしか発表しないという話を前回した。学生映画をしていた時の経験を生かしている。

あの頃「太田さん次回作は?」と顔見知りの友人によく聞かれた。が、いつの頃からか「うん。そうだね〜」とか答えていた。でないと、映画好きの彼らはすぐに頭を突っ込んでくる。「どんなストーリーですか?」「シナリオ見せてくださいよ」言い出す。「楽しみだなあ。太田さんの映画いつも面白いから」とか煽てられてストーリーを話したり、シナリオを見せたら大変。

「ここは***の方がいいですよ」「このキャラはよくあるから、***なのはどうですか?」とか意見を言い出す。基本映画好きはそんなものだ。脚本家、P気分になれる。が、それらの意見が正しいかどうかより、全て彼らの趣味なのだ。でも、それが「正論であり、その方が面白くなる」と思い込んで発言するので始末に悪い。

何度も会っていると、スタッフの一員になったと勘違いを始める。出資するわけでもない。撮影に参加することもない。にも関わらず、あれこれ口を出して来る。「いい場所がありますよ。そこでロケしたら」次に会うと「あの場所。どうでした?いいでしょう」って、何でも行かなきゃいけないんだよ!という感じ。最初は意見だったが、次第に指示に変わる。が、本人は善意のアドバイスと思っている。

それらを拒否すると「何だ親切に教えてあげたのに!」と怒り出す奴もいる。「だったらもう応援しない」というのもいた。もちろん全員ではない。この種の人たちは決して悪い連中ではない。むしろ、いい人たち。善良な人々なのだ。本当に親切で言っている。が、彼らは学生映画を作ったことはない。経験がない。聞きかじった話をしているだけ。単なる映画ファンの学生。でも、何か役に立てれば!と応援してくれる。

が、提案を却下すると傷つく。怒り出す。つまり「お前は役立たずだ」と言われたと感じるのだ。そもそも、映画作りの経験も知識もないのだから当然。なのに中には抵抗勢力になる者もいる。不満を仲間に言い触れ回るタイプもいる。「あいつはダメだ」「応援したのに踏みつけられた」それを聞き「それは酷い」「あいつには協力しないでおこう」と同調する連中もいた。

これは悲しい構図。善良な知人たちが憎しみの抵抗勢力に変わる。最初から悪意がある方がまだ対処できる。だが、それが人なのだ。そこで学んだこと。新作の話は身内以外にしないこと。シナリオは見せないこと。内容も話さなこと。彼らが悪いのではない。こちらがしっかり線を引くことが大事なのだ。

ここは「仲良くする」とかいうことではない。スタッフでないものは部外者だと考えねばならない。冷たいと批判されても、そこで扉を開くことで彼らが傷つくことになる。学生映画をやっていた頃の話だが、それは今でも変わらないものがある。


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