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子供食堂の件。改めて考えた⑧完結編=線を引き、壁を作るのもプロの仕事。 [コロナウイルス]

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子供食堂の件。改めて考えた⑧完結編=線を引き、壁を作るのもプロの仕事。

答えのヒントは芸能界にも転がっていた。矢沢永吉の武道館コンサート。ニューアルバムのある曲。作詞をした作詞家さん。入場のパスを渡された。「レベル3」と印刷されている。そのパスでは通用口から中には入れるが、矢沢の楽屋までは行けない。そこまで行くには「レベル5」のパスが必要。作詞家さんでもレベル3なのだ。

これ多分、作詞家とはいえ、何度も仕事をした訳でもない関係者には「レベル5」のパスは出ないのだろう。例えば一般人の友達を連れて来るかもしれない。

「俺、矢沢の楽屋に入れるんだ」

女の子に自慢したくて..。そんな人が本番前に来られては叶わない。常識ない子で「永ちゃん。あの曲、やってよ〜」とか言い出すかもしれない。曲はすでに決まっている。何で初対面の子にそんなこと言われないといけないのか?イライラ。と言うこともある。

ま、僕の想像ではあるが。映画撮影でも似たようなことがある。俳優たちは撮影前、ギリギリしている。物凄い集中力がいる。そこに関係者が友達を連れてきて

「ファンなんですー写真いいですか?」

なんて言い出したら大変。繊細な役者はそこで集中力が途絶えて芝居がうまく行かない。また、役者は人気商売。写真を断りづらい。だから、スタッフが止める。僕も止める。が、そんな俳優の気持ちを一般の人は分からない。

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僕も撮影中はイライラしている。時間との戦い。連日、問題山済み。そこに「監督の友達です」と言って撮影現場に入り込んだカタギの友人がいた。僕を見つけるなり

「おーー、なんか疲れた人がたくさんいるぞ。気分悪い人いないか聞いてやれよ」

と言うので「うるさい! あっち行け!」と怒鳴ったことがある。すでに事態を想定して医者や看護師さんにも来てもらっている。製作部や演出部も気を配っている。監督は次の場面の演出に集中することが大事。だが、友人には分からない。

「わざわざ陣中見舞いに来てやったのに、偉そうに何だ!」

と言う感じ。これも元々は親切。だが、撮影現場を知らない友人が連絡もせずに来て、イライラ状態の監督に何かを指図する必要はない。友人は悪い奴ではないが、映画製作は全く分からない。居酒屋で知り合いにあった感覚なのだ。悲しいが、その手の人を撮影場所に入れてはいけない。

現場を知らない彼は無神経に俳優に話しかけたりするかもしれない。友人には「レベル3」のパスを渡せばよかったのだ。同じく先の友人監督も企画会議やシナリオ打ち合わせに、スポンサーの友人とはいえ、関係者でない人を参加させてはいけなかったのだ。子供食堂はどうすべきか? 明確には言えないが、お客にあれこれ意見させない線引きが必要だったはずだ。

通常、食堂に行き、出された料理がイマイチでもいちいち意見する客はいない。「味付け変えたほうがいい」とか普通は言わない。二度と来ないだけ。なのに先の子供食堂の客は「手作りがいい」「自然食品を使うべき」とか意見している。本来、するべきことではない。が、彼らは

「子どもたちのため」

と言う大義名分を感じ、アドバイスしていると思い込んだ。映画撮影も同じ、友人も僕にアドバイスしたつもりだった。が、どちらもプロでない人間が現場を理解せず、余計なことをしている。アドバイスではなく邪魔をしているだけ。それに気づいていない。

プロでない人があれこれ言い出せば、どの世界でも問題が起こる。その辺を踏まえていない人が多い。だからプロの方が勘違いさせないようにせねばならない。止めることが大切。線を引くこと。壁を作ることで、彼らが一線を超えず、暴走しないようにすること。それがプロの責任ではないか?子供食堂の話を聞き、そんなことを考えた。

(了)


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