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日本の戦争映画を見ていると「日本人は被害者だ」的な描き方をしている作品が多い理由? [戦争について]

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日本の戦争映画を見ていると「日本人は被害者だ」的な描き方をしている作品が多い理由?

戦争というと太平洋戦争をイメージしがちだが、その前に日中戦争がある。それはまさに侵略戦争。理由は昭和不況を打破するために中国大陸に進出。さらに「大東亜共栄園」=アジアが共栄するという名目での日本の支配を目論んだ。

それを阻止するためにABC包囲網がなされ、太平洋戦争に突入する。その部分だけを見て「あれは自衛の戦争だった」と正当化する人たちがいる。が、その前の日中戦争を海外から見れば日本のアジア侵略を止めるためということになる。ただ、アメリカやイギリスもそう言いながらも、同じように植民地を増やすための名目。その意味で、どの国が正しかったか?とは言えない時代だと思える。

いずれの国も「正義」の戦争を謳い。日本は「アジアの解放」のと叫ぶ。後になれば「自衛のため」とまで言いだす。それから75年。にも関わらず戦後、日本で作られた戦争映画は「日本人は被害者だ」というものが多い。沖縄戦を題材にした数少ない映画の一つ「ひめゆりの塔」もアメリカ軍に酷い目にあった女子学徒の物語のように描かれている。もちろん、自主解散を言い渡されたり、軍の無責任さも伝えるが、一番は女子学徒の悲劇だ。

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原爆を扱った映画も同様。もちろん、女子学徒も原爆で犠牲になった人たちも罪はない。だが、日本映画はその種のものがほとんどで、日本側の罪を描く作品が少ない。そもそも、多くの日本人が犠牲になっなったのは、軍が無謀な戦いを始めたからだ。そこを描く作品は非常に少ない。軍人が主人公のものだと、山本五十六がメインとなり、「本当は戦争したくなかったんだけど...」という苦悩する英雄物語になる。本当に悪い奴。責任ある奴を描くことが少ない。

理由は2つ考えられる。1つは悲劇の方が客が喜ぶということ。泣ける。感動する。儲かる。戦争責任を問う重い映画を作ってもヒットしづらい。日本人として見ていて辛い。加害者と言われるより、哀れな被害者でいる方がいいという感覚もあるだろう。それと戦争責任を問うといろいろ困る人たちがいるという事情。それら関係者は最近まで生きていたし、その子供、孫が今も権力を持つ立場にいる。過去のことは掘り起こして欲しくないということもあるだろう。

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さらに言えば、もう一度戦争をしたい!という人たちからすると、「先の戦争は日本は悪くない。被害者だった」としておいた方が都合がいい。戦争に対する罪悪感を持たずに済む。でも、それは同じ過ちを繰り返す土壌も生まれる。そんな背景もあるのか?日本が加害者であるという映画は非常に少なく、責任を追及する作品も僅かだ。

それと似た構図なのが現在公開中の「Fukushima50」である。加害者であり、責任者である東電の職員たちを被害者として描き、英雄的活躍を賞賛するもの。一番の被害者である住民のことは僅かしか描かない。まさに戦争映画と同じすり替えや脚色で作られた映画だった。「日本を救ったのは東電の職員!」「日本を守ったのは兵隊さんたち」という拡大解釈をアピールすることで何を求めているのか? どちらも危険なものを感じる。


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早田 快人

日活に「戦争と人間」というオールスターキャストの大作が
ありましたが、日本の中国侵略と財閥のあり様を描いており、
今ではとても作れそうにない内容に驚きました。

主人公(山本圭)が戦地にて、中国人の老人と孫を撃ち殺せ!と
上官に命令されるシーンや、八路軍が反撃してくるシーン、
財閥の御曹司(先代・勘九郎まだ十代)が世間の貧しさと自分の
境遇のギャップに悩むエピソードなどなど・・・

これを日活のみならず、東宝、松竹、文学座、俳優座、民藝から、
当時の一流どころの俳優、スターが総出演でやってます。

中国、北朝鮮、韓国に対しての被害者意識や脅威感ばかりが
煽られがちな昨今、こちらが先方にしてきたことを振返り、
冷静に歴史を見つめれば、どれだけ日本の方が彼らにとっての
脅威であるかに気づかざるを得ません。

そこを描いた映画は確かに少ないですね。というより、
作らせない ”空気” が充満する嫌な世相を感じます。

余談ですが「Fukushima50」はかつての「爆弾三勇士」と
日本人の大好きな ”四十七士” がミックスされているかのよう
に思えます。

by 早田 快人 (2020-03-22 21:40) 

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