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過労でダウンと言っても10年前は理解されなかったが、なぜ、今は分かる人が増えたのか?=その怖い背景? [健康]

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過労でダウンと言っても10年前は理解されなかったが、なぜ、今は分かる人が増えたのか?=その怖い背景?


過労でダウン。と、記事に書くと多くの人が「ゆっくり休んでください」とコメントをくれる。ありがたい。が、10年以上前。「過労死」と言ってもピンと来る人が少なく、僕の周りではこんな意見が返って来た。

「疲れて動けなくなることなんて、ありないよな。そんな奴見たことないし!」

そう。動けなくなるまで働く人は少ない。が、こちとら毎回、7人分の仕事をしている。限界を超えない方がおかしい。そうなれば人はダウンする。体が悲鳴を上げ「もう無理!」というのが「過労」なのだ。ま、そういう僕もそんな症状があるとは知らず、あまりに体調不良で寝込んだので医者に行くと「過労」と診断された。

「過労を舐めたらダメだよ。休みなさい。出ないと本当に過労死するよ!」

そう強く言われた。が、友人たちは

「働きすぎで死ぬなんて、あり得ねえよ」

と笑っていた。こうも言われた。

「本当はサボりたいだけじゃねえの? 仕事したくないから理由つけて。だろ?」

彼らの共通点。経験がない。その友人も倒れるまで働いたことがない。だから「過労」を実感できない。彼自身が時々使う「言い訳をしてサボる」という経験に当てはめるしか理解できなかった。会社員の友人はいう。

「会社で100%の力を使うことなんて絶対ないよ。いつも60%。たまに忙しい時でも70%だな。それだけの給料しかもらってないしね?」

それが多くの会社員の発想なのだ。そんな人たちに倒れるまで働くと言っても想像できないだろう。映画の世界は違うのだ。特に監督は全身全霊でかかる。黒澤明監督だって、映画が完成したら毎回、入院していた。それが監督業だ。もちろん、手抜きして適当に仕事をする監督もいる。が、監督でなくても、多くのスタッフ、キャストが命がけで仕事する。それが映画作り。

そんな世界を知らない。自身で倒れるまで仕事したことがない。だから、「過労でダウン」と言われても実感できない。経験値に当てはまるのは「嘘をついてサボる」ということだけ。本当に人というのは、自分が経験してないことを実感するのが苦手なようだ。ある映画の時は関係者からこんなメールが来た。

「最近連絡がないと思っていたら、やっぱりね? そんなことだと思っていました。体が悪いなら悪いで、さっさと病院に行って治して、やるべき仕事をしなさい!」

この方も過労というものを理解していない。過労は病院に行っても無意味。医者にこう言われるだけ。

「とにかく仕事をせずに休みなさい!」

それしか手立てがないのだ。薬を飲んでも入院してすぐに良くはならない。働き過ぎで体の機能が低下。免疫力が落ち、内臓が弱る。機械だって連続して使えば壊れてしまう。機能が回復するまで休むしか方法がない。医者は言う。

「とにかく休めるだけ休みなさい」

また、その人が「やるべきことをしなさい」というのも不可解。僕は全ての仕事を終えるまで絶対に倒れない。毎回、全てやり終えてから。映画が完成、宣伝作業も終えたから、あるいは映画館公開を終えてから倒れる。そこまで精神力で支えるのだ。だから「やるべきこと」はもうなく、安心してダウンした。

このメールから分かることは、映画の関係者でありながら、僕の仕事内容や行動を把握していないということ。また、映画制作とはどんなものか?も理解していない。この人も過労で倒れるほど働いたことがないこと。過労も病気も一緒に考えて

「病院へ行け。さっさと仕事しろ!」

という定番の解釈できないということ。そして、その種の人がとても多いということだ。当時から過労死は新聞等でも騒がれており、猛烈サラリーマンが朝元気で自宅を出たのに、夜には会社から妻に電話。

「夫が過労死」

という記事は時々見かけた。が、多くの人はピンと来なかったのだろう。近い経験がないのだから。それがここ数年、ブラック企業で働かされて過労死や自殺が相次いでおり、働き過ぎで死ぬことを実感する人が増えたのだ。

実際、派遣労働者や契約社員は長時間働かされて、給与は低い。生活できるだけ働くと、とんでもない長時間働かなければならなくなり、疲労困憊。

「このままでは死んでしまう...」

という危機感を持った人が増えたということかもしれない。「過労」に倒する理解は増えたが、それはあまり喜ばしい世情ではない。ただ、僕は好きで映画作りをしており、毎回、遺作だと思ってかかる。だから、過労死しても構わない。

しかし、派遣業者にピンハネされるために給与が安く、そのために長時間働き、過労死したり、追い詰められて自殺するのは違う。間違っている。多忙だと目先のことしか見えなくなるが、大事なのはその背景を見ること。そこで笑っている奴らが必ずいるのだから。



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