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アーティストって頭おかしい人が多い?=その理由を考え分かったこと [編集作業]

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アーティストって頭おかしい人が多い?=その理由を考え分かったこと

芸能人が非常識なことをして逮捕されたり、どうなの?という発言をしてネットで騒がれたりすることよくある。芸能人だけでなく芸術家、作家、画家、音楽家、映画監督と、アート関係の人はおかしな人が多い。

「だから芸術家なんじゃない?」

とよくいわれるが、それでは分かりづらいので少し考えてみる。有名な俳優、ミュージシャンは気難しく、ちょっとしたことで怒り出したり、爆発したりすることが多く、関係者は物凄い気遣いをする。コンサート前に粗相があって、アーティストが帰ってしまったら大変なことだ。

作家の先生に原稿依頼に行く時も、編集者は最大限の気配りをするという。ベストセラー作家に連載を引き受けてもらえたら、何十億という収入が社にもたらされる。が、些細な粗相で作家先生が気分を害して、断られたら、その収入が不意になる。編集者が定年まで働いても得られない額の損失だ。

「有名なんでタカビーになってんだな? だから有名人は嫌いだよ」

という人もいるだろう。一部にはそんな人もいる。が、第1線で作品を作り続けている人たち。作家でも、俳優でも、音楽家でも、映画監督でも、そららの人と会うとやはり凄い!と感じる。普通考えてないことまで考えている。それを実現しようとしている。そして世間やマスコミに騙されていない。振り回されていない。真実はどこにあるのか?それを見つけようとしている。

でないと、第1線で活躍し続けることはできない。一発屋で終わってしまう。それらの人と仕事をさせてもらい、あるいは交流を持って感じること。彼らが怒り出すとき、多くは相手側に問題がある。仕事を頼みに来るとき、仕事をするとき、話をするときに、無神経な発言、金のことしか考えていない、世俗にまみれたこと、価値観の押し付けがあるからだ。

当人はそれに気づかない。会社でも、同僚とでも、友人とでも、その手の話をするし、特別なものでもない。なのに、怒られるので、

「芸術家ってよく分からないなあ。何で怒り出したのか?」

と思ってしまう。結果、あの作家は気難しい、面倒くさいとレッテルを貼って終わり。それを聞いた人たちも同じ認識となる。巨匠の域でなく、若手でも、その手の仕事をする人はむずかしい。例え、おいしい仕事でも、相手が先のような態度なら、拒絶するし、怒り出す。

ある脚本家。無名の人だが、ベテラン。こだわる技法が評判。それを知ったある若いPが仕事を依頼した。

「死ぬ気でやってくださいよ。命がけで書いてくださいよ」

そう励ました。ら、脚本家は怒り出した。

「毎回、死ぬ気でやっている! その作品を見て、あんたは依頼に来たのだろう? その相手に『死ぬ気でやれ』だと、そんなことを言わないと、俺が死ぬ気でやらないと思っているのか!

もし、死ぬ気でやれというのなら、この脚本料はなんだ? この額で命かけろというのか? どんな額でも死ぬ気でやっている。でも、死ぬ気でやれというのなら、それなりの額を提示しろ? お前、どういう思いで『死ぬ気でやれ』と言葉にしている。金でないなら、態度で示せ。お前は死ぬ気でやるのか? その覚悟を見せろ」

励ましの意味で言っただけなのに大袈裟な!と思う人もいるだろう。しかし、脚本家は言葉で仕事をする人。一行のセリフを書くにも物凄い時間をかけ、魂を削って書く。それが脚本家だ。そんな職業の人に言葉で「死ぬ気でやれ」というのは無神経だ。師匠が弟子に「死ぬ気でやれ」というのならまだ分かる。

無名でもそれなりに仕事をしているプロに、若いPが「死ぬ気でやれ」ということ自体が失礼だし、無神経だ。これには背景がある。その脚本家は無名だが、実力あるとPは感じていた。が、会社で提案すると反対が多かった。無名だからだ。でも、それを押し切り、起用を決めた。これでもし、いいものが上がらなければ、Pの立場がなくなる。

で、真剣にやってもらわないと困る。で、「死ぬ気でやれ」と言ってしまったのだ。そのPの未熟さがまずある。クリエーターは命令されるのを嫌う。だから会社員にならず自由業を選んでいる。それを若い奴に「死ぬ気でやれ」と言われて気分を害すだろう。

次に、自分の作品を読んでいれば「死ぬ気」で毎回、書いていることは分かるだろう。それが分からないなら、P失格であり、共に仕事をする資格はない。さらに、会社での立場。自己保身のために、いいものを書いてもらわなければならない。その思いが「死ぬ気で」という言葉になっていることを感じた。

「この人は自分の自己保身のために、死ぬ気でやれと言っている。なのに自分は命がけでやるという姿勢が見えない。『俺の立場があるので、死ぬ気でやれ』と言っているだけだ」

そう感じたのだろう。言葉を使う仕事をしている者なら、そのくらいのこと見抜いてしまう。Pは自分の言葉で相手がどう感じるか?も考えず、自分の立場がなくなるという危機感があるので、安易に作家にプレッシャーをかけてしまったのだ。

「先生の作品は毎回、命がけで書いていること感じます。今回もきっと素晴らしいものができると信じています」

といえば、作家は大喜びで仕事を引き受けただろう。それを「死ぬ気でやれ」なんて言ってしまった。ただ、Pは作家の力を認めており、社内の反対を押し切って依頼している。そこは評価できるのだが、その先があまりにも無神経。たぶん、自分のことで精一杯だったのだろうが、それでは気難しいアーティストたちを使うことはできない。

作品作りをしている人たち。その多くは毎回、全力で、命がけで仕事する。そんな人にあえて「死ぬ気で」というのは、「日ごろは死ぬ気でやっていないでしょうが、今回は死ぬ気で」というのと同じでもある。Pの多くはサラリーマンでありクリエーターではない。彼らの気持ちを察するのは苦手だ。編集者でも、スポンサーでも同じ。

ちまたでは「Pですか?凄い」「編集者ですか!」と思われるが、クリエーターたちには通用しない。だから、できるPや編集者はその辺を心得ている。だから、きむずかしい作家や音楽家たちが、その人との仕事は快く引き受け、いいものを作ってくれる。要はサラリーマンの価値観や都合を押し付けると、トラブルということ。

アーティストたちは気難しいのではない。別の価値観で生きている人たち。そこに自分たちの都合や価値観を押し付けることが問題なのだ。それが分からないので「きむずかしい」というレッテルを貼ってしまうのである。


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