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戦争映画から見る日本の戦後=戦争反対、戦争賛成!その流れが見える。 [戦争について]

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ある方のコメント。「太平洋戦争後。戦争はタブー。70年代に入ってから戦争を見つめ直す動きが出てきた」というものを頂いた。が、それは事実ではない。この記事で説明する。終戦後、戦争はタブーではない。1955年。終戦からわずか5年後で反戦映画が作られている。

「きけ、わだつみの声」「人間魚雷 回天」等の戦争の悲劇を伝えるもの。小説「人間の条件」も1955年発売。1400万部のベストセラー。その後、映画化。この流れは1980年代前半まで続く。戦後のGHQによるウォーギルドプログラムも実施。日本人は間違った戦争をした。軍に洗脳されていた。という教育も行われた。罪悪感を植え付け、2度と戦争をしないようにするためだ。同時に多くの犠牲を出した戦争に対する日本人自身の反省もあった。

が、50年代後半。反戦映画だけではなく、近年よく見る「日本素晴らしい」的な映画「明治天皇と日露戦争」のような愛国主義の映画も登場する。背景は近年と同じ。日本を美化することで、敗戦の失ったアイデンティティを確認するもの。そして戦争映画の流れは反戦だけでなく、娯楽映画としても作られるようになる。

80年代前半には「連合艦隊」「大日本帝国」等が作られ、戦争の悲劇を伝えた。そのころはまだ戦争経験者が映画界にも政界にもいて、悲しみを伝えていたが、次第にその世代が亡くなり、戦争映画も作られなくなる。80年代後半のバブル経済に向かって、日本は経済大国となり、戦争は完全に過去のものになる。

ところがバブル崩壊後の90年代。不況が20年以上続く時代。小林よしのりの「戦争論」等をきっかけに「日本素晴らしい!」という戦争を美化した作品が注目される。1950年代後半と背景は同じ。様々な分野でアジアの国々に日本が追い抜かれたことで自信喪失。そのアイデンティを取り戻すために「昔の日本人は凄かった!」「日本軍は勇敢だった!」という事実を拡大解釈、あるいは印象操作した作品が作られ、「永遠の0」が大ヒット。「あの戦争は間違ってなかった」という歴史修正の動きが始まる。

そこで熱狂した人たちが現在のネトウヨに育ったといわれる。そして安倍内閣の登場。「日本を取り戻す」というスローガンをそれらの人たちが支持。「あの頃の強い日本、美しい日本」という脚色されたイメージが振りまかれ、一連の戦争法案が強行採決された。安倍政権は「日本を戦争ができる国」にすることがテーマだった。(その背景は以前に何度も記事にしている)2000年代には特攻隊を賛美する小説や映画が登場。ヒットを収めた。ここにもう反戦のテーマはなく、「日本人は素晴らしい」という自画自賛のみであった。

そのために戦争の悲劇を描く作品が作りづらい環境になった。僕が作った「ドキュメンタリー沖縄戦」はこれまであまり伝えられなかった沖縄での戦闘を描いたものだが、蓋をしたい人たちからの批判や圧力を受けた。安倍政権時「集団自決」に関しても教科書から「軍の関与」という記述を削除させた。しかし、安倍退任後。次期総理は「何が何でも戦争するぞ!」という人ではない。そのせいか?教科書記述も昔に戻り。歴史修正主義者が作る教科書は文科省不合格となっている。

まとめると戦後、戦争はタブーではなく、小説、映画でもガンガン反戦を伝えられた。戦争問題も繰り返し議論され、問題を考えてきた。それが80年代に入って経済大国になり日本人は戦争を忘れていった。そして90年代に入り、戦争体験のある映画人、政治家が次々に亡くなる。そこに戦争を美化する戦争体験のない人たちが登場。実権を持ち。おかしな展開をした。そのグループは今も日本を戦争に押し進めようと、歴史の改竄をしようとしている。が、以前ほどの力を無くしている。今のところ、安倍政権終了は意味あるものとなっている。だが、戦争体験者がいなくなった映画界でどのようにして戦争を伝える作品を作るか?が課題となる。


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