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戦争映画は体験者が作ることで力を持つ?しかし、 [戦争について]

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 このところ日本の戦争映画をあれこれ見ている。50年60年代の作品は力が入っていて観る者を打ちのめすものが多い。対して近年の作品は戦争というよりファンタジーというものばかり。作り手が戦争を知らない世代になったこと。50年代60年代の作品は出演者も作り手も戦争体験者ということが大きいと思える。80年代でも「連合艦隊」の松林宗恵監督らは戦争を体験している。対して、近年の作品は、戦争よりも「宇宙戦艦ヤマト」が好きで、そこから戦艦大和、太平洋戦争に興味を持った軍事オタク的な人が映画を作っているように思える。

 また、「ああ、同期の桜」や「きけ、わだつみの歌」の心を揺さぶる思いは脚本家の存在が大きい。どちらも戦争で生き残った人たちが書いている。また、戦争には行っていないが、笠原和夫は予科練にいた。そのことで「203高地」「大日本帝国」では怨念を感じる作品になっていた。特に「大日本帝国」は「アメリカ憎し!」と「天皇の戦争責任」を正面から伝えている。淡々と歴史的な事実を描く戦争ものより、胸に迫るのは作家の憤り、憎しみを作家がぶつけることで起こるのだろう。

 では、戦争体験がない者は作品を作れないのか?と思えてくるが、体験者ということで客観的に見れないという事態も出てくる。日本映画には戦争の背景や理由を描かず、ひたすら「日本人は被害者だ」という作品が多い。アメリカに攻撃されたことで被害が出ているのに、アメリカに気を使いその辺をぼかしてしまう。と、言って「大日本帝国」のように憎しめを込めてばかりでも、背景は見えて来ない。

 その辺の状況を冷静に分析するには、体験者ではなく、戦争を詳しく把握した世代でなければならないだろう。ただ、そのためには「憧れ」で戦争を見ていてはいけないし、小林よしのりの「戦争論」のような傷ついた心を癒すために「日本万歳」を利用するのも違う。都合の良い部分だけを持ってきて、日本を賛美しても状態は見えて来ない。それらを超えて戦争を見つめることで、これまで描かれなかったものが見えてくるのではないか?ただ、そのための勉強はちょっとやそっとでは不十分。大変なものになるはずだ。


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