SSブログ

両サイドから見ることの大切さを痛感=映画「ミッドウェイ」監督が禁じた手法とは? [戦争について]

128770876_4723230964417837_3027575472875011853_o.jpg

「ドキュメンタリー沖縄戦」で取材して多くの米軍兵が死に傷つき、精神病になるほど追い詰められていたことが分かった。もちろん、沖縄県民はそれ以上の犠牲を出しているのだが、米軍の被害を伝える作品は多くない。テレビドキュメンタリーを見ていても、太平洋戦争での日本人の被害は伝えるが、敵側の被害を描くものはあまり見たことはない。

昨年、公開された「ミッドウェイ」(新作です)はそれほど素晴らしい出来の映画ではないが、日米を公平に描こうとしていた。あの戦い、日本軍の没落の始まりであり、米軍の大勝利というアメリカにとっては嬉しい映画になるはずなのだが、それを強調せずに見せていた。

監督はローランド・エメリッヒ。「インディペンデンスデイ」の監督なので日本軍を宇宙人として描くような作品になるか?と思ったが、彼はドイツ人。日本とアメリカの戦いをドイツの監督が演出。先の方針が理解できた。

エメリッヒ監督はいう「米軍の戦闘機が撃墜される場面で、その前に日本軍パイロットのアップを入れる編集はしなかった。そのことで日本人がアメリカ人を殺したという印象を持たれる。それを避けたかった」つまり、日本人が悪とか、アメリカが正義とかではない。これは戦争!という思いなのだ。

映像というのは人を誘導する力がある。エメリッヒ監督が禁じた手法を使えば、勇敢な米軍パイロットを殺したのは日本人である。と観客は感じる。そこに「万歳!」という日本人のアップを入れれば、アメリカの観客は「日本人は我々を殺して喜んでいたんだ」と思ってしまう。

昔の戦争映画はそれだった。「グリンベレー」では北ベトナム軍がどれだけ野蛮で卑劣か? 勇敢な米軍兵を無惨に殺したか?が描かれていた。それは観客の憎しみを掻き立てるため。「ベトナム戦争は続けなければならない」という意図で作られたからだ。

エメリッヒ監督はそれをしていない。とは言え、日本軍の残虐さを描く場面もある。あれは事実なのか?創作なのか?まだ確かめられていないが、彼は日本軍を美化しようとはしていない。ま、アメリカ軍は美化している気もするが、これは娯楽映画。アメリカでヒットする必要がある。オリバーストーンのようには行かない。

でも、あれこれ興味深い映画だった。何事も両方の視点、事情を見つめることが大事だと思える。そう考えると、日本の戦争映画でよくあるパターン。「日本人は被害者だ」という作品。それでいながら「米軍を責めない」スタイル。過去においては意味があったかもしれないが、それでは本当に大事なことが見えて来ないだろう。




スクリーンショット 2020-08-11 16.55.35.png
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。