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映画作りに大切なもの=「題材を熟知」「作品への思い」それがない日本映画も結構あるが... [映画業界物語]

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映画業界。楽して映画を作ろうとする奴がいる。監督依頼を受ける。と、その原作やシナリオを読むだけでなく、題材となるものを調べる。刑事ドラマなら警察、マスコミ、暴力団。犯罪者。それらの実態を知った上で撮影に挑む。学園ものなら、学校、教師、今時の生徒、校則、日本の教育、とそれらを把握した上で、フィクションを描く。物語なので全てが事実である必要はないが、現実を知らずに描くと一般の客でも、それを感じ取り、全てが嘘であるように感じてしまう。

だから、題材となるものを徹底して調べる。勉強することは大切なのだ。にも関わらず、その辺をやらず安易に映画を作る人たちがいる。以前、書道を題材とした映画を監督したので、同じ書道ネタのシナリオを見せられ意見を聞かれたことがある。全く書道について調べず、物語は巧妙に書道に触れない学園ものになっていた。これなら書道でなく、囲碁でも、絵画でも成立する。調べずに楽して書いたシナリオの典型だった。

ただ、作家に聞くと、こういう。「あのプロダクションはギャラも出さずにシナリオを書かせる。スポンサーがゴーサインを出したら製作する。その段でギャラを払うていうんだ。ゴーしなきゃノーギャラだろ?なのに書道を勉強して、時間かけて、経費かけてたら馬鹿見るだろ。だから、調べずに書いたのさ!でも、書道に賭ける青春になってるだろ?」そんな製作会社は多い。シナリオを書くだけでも1ヶ月以上かかる。それでノーギャラだと翌月の家賃も払えない。ビッグネームの作家でない人は自転車操業。タダ働きはできない。

そのために調べずに書く。確かに調べると大変。僕は書道を4年勉強した。それでもまだまだ足りない深く広い分野なのだ。ただ、それを調べて物語にするからこそ観客に伝わる。それをせずにシナリオを書いても観客が感動する作品にはならないだろう。何より「思い」がない。題材を把握すると同じくらいにそれは大切。「書道題材ですね?了解〜」みたいなことではダメ。書道を知り、書道の意味を理解し、これは若い人に伝えるべきものがある!と監督や脚本家自身が強く思わなければダメ。感動作にはならない。

同じことは原作ものにも言える。「デビルマン」「カムイ外伝」を撮った監督は依頼をもらって初めてそれらの原作を読んだという。それまで読んだことがなかったのだ。そんな人たちに依頼する会社も悪い。作品に対する「思い」がない監督では、観客に伝わらない。それら作品は原作とは完全な別物となり、原作ファンからは大ブーイング。興行的にも惨敗した。監督の選び方が間違っていたのだ。

そして人気原作を利用して、別の作品を作る人たちはよくいる。監督には作りたい作品がある。でも、マニアックで企画が通らない。だから、人気原作の映画化の時に、それをやってしまう。やりたいものができない辛さも分かるが、それは観客や原作者、ファンへの裏切りだ。話が逸れた。要は題材を熟知すること。「思い」があること。それらがないと作品は輝かないし、観客に届かない。映画を作る時に一番大切なことだ。


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