戦争を始めたのは誰か？推進したのは何者か？＝それを知ることで戦争を止める？

以前、ある平和学習に参加した。皆、真面目に討論していた。ある40代の男性が言う。見るからに真面目。「戦争はいけないことだから、子供たちのためにも、やってはいけません」その通りだ。正論。その会では戦争がどのようなものであり、どのくらいの犠牲が出たか？が説明された。でも、引っかかることがあった。なぜ、戦争は始まったのか？の詳しい解説がなかった。

学生時代の授業を思い出しても「１９４１年１２月。日本軍は真珠湾を奇襲。太平洋戦争が始まった」と説明される。その理由はABC包囲網だ。なぜ、そんなことを日本がされたか？　はあまり詳しく説明されなかったが、調べると日中戦争から始まった日本のアジア進出だ。以前「侵略」＝＞「進出」と教科書の記載を書き換えたと言うことで問題になったあれだ。

日本映画を見ると「軍部の暴走」という表現がよくある。そのために日本はアメリカと戦争することになった。今までは僕もそう理解していた。あれこれ考える。会の参加者は「戦争はいけないことだから」と言う。講師はいかに多くの日本人が犠牲になったか？を説明する。日本映画でも多くの日本人が死んだことを描く。親、兄弟、友達、家族、多くが犠牲になった。あんな悲劇を繰り返してはいけない。多くの映画はそう伝える。



つまり、「日本人の多くが被害者」＝＞「だから戦争をやってはいけない」と言うのだ。だが、その会では「加害者」としての日本人の説明はなかった。被害者としての日本人だ。戦争なのだから、日本兵も多くのアメリカ人、アジア人を殺したはずだ。が、多くの映画では日本人が被害者として描かれる。「戦争と人間」「人間と条件」は加害者としての日本も追及されていたが、最近の日本映画はもっぱら被害者。さらに英雄として描くものもある。そこを考えて行くと「加害者」の代表が先に出た「軍の暴走」となるのだろう。

彼らはなぜ、暴走したのか？戦争が好きなのか？そうではない。戦争をすることで何かを得ようとした。それは何か？そこを知りたい。が、その会で説明はなく、映画でもさらりと描かれる。得たいもの。調べた。それは資源だった。この辺は授業でしっかりとは教えないが、資源の少ない日本。当時は昭和恐慌（こんなの知らなかった！）。それを打開するために日本はアジア進出を考え、資源を抑えようとした。その名目が「八紘一宇」「大東亜共栄圏」日本を中心としてアジアが団結するーと言う名目で侵略を始める。

当時のアジアはいくつもの国がイギリス等の植民地にもなっていた。強い国が弱い国を統治し支配する構図が多く見られた。日本もそれに習った。そして「侵略」とは言わず「アジアの開放」と叫び、軍を派遣した。こう考えると単に「軍の暴走」ではなく、国策として日本はアジア支配を目指したことが分かる。しかし、アメリカはその日本の政策を「暴走」「侵略」と解釈（正解なのだが）それを止めるためにABC包囲網を実施。ただ、実質的にアジアを日本から横取りしたいと言うのが目的であった。

こうして見ていくと、ヤクザの縄張り争いと何ら変わらない。国と国との抗争。切った張ったを大掛かりな武器を使いやったのが戦争なのだ。その結果、日本は負け、アメリカの手に落ちた。それを日本人が振り返り「戦争で多くが犠牲になった」「戦争はいけないことだから、やってはいけない」「我々、日本は被害者である」と言うのは少し違うのではないか？



さらにアメリカの戦争史を見ていくと、イチャモンをつけてでも戦争を始め、敵国を植民地化することを繰り返している。決して世界の警察ではない。戦争を推進するのは政治家だが、彼らの裏にいるのは大企業。戦争をすることで儲かる人たち。彼らが多くの大統領を応援。後押ししてきた。それに反旗を翻したのがトランプである。話がそれるので戻そう。戦争で儲かる企業。巨大な力を持ち、マスコミを操る。戦中の日本にも同じような存在がいたのではないか？　「軍部の暴走」だけでなく「戦争すれば儲かる！」と考え、軍部や政府を後押しした勢力。国民を誘導した人たち。その辺はまだ勉強できていない。

「戦争はいけないことです」「日本人は被害者だ」で片付けてはいけないと思えている。日本人が始めた戦争。それで負け、多くの犠牲が出たら「戦争はいけない！」「日本人は被害者だ」と叫ぶ。それは違うのではないか？加害者としてスタートしながら「被害者だ」といい。戦争がいけない？　やはり、大切なのは戦争の背景、背後で推進した連中が何者であったか？　軍以外の存在を明らかにすること。そこに戦争止めるために何かが見つかるのではないか？　だが、それは教科書にも書かれていないし、平和学習でも教えない。映画でも描かれない。そこを知りたい。