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映画の宣伝は監督の仕事じゃない?=でも、やるしかない。監督が宣伝することの意味! [映画業界物語]

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映画が公開される時。監督は宣伝に協力するのが慣例だ。マスコミの取材を受ける。舞台位挨拶に登壇する。ま、そのくらいだが、取材は何十社にもなることがある。が、公開がスタートになれば自由。次回作にかかる。しばらく休養。そんな感じだ。が、太田組。僕の場合はそこからが本番。宣伝員の一員として走り回る。

通常、舞台挨拶は東京のみと言うことが多い。多くても都市部だけ。でも、僕はいろんなところに行く。毎回、舞台挨拶ツアーだ。10箇所上回る。「朝日のあたる家」のときは、ある映画館で2週間連続トークイベントをさせてもらった。

Facebook、Twitter、ブログでは当然、毎日宣伝する。昔の角川映画のようにテレビのゴールデンタイムに映画のCMをバンバン流してくれるのならいいが、低予算映画の場合はCMなんて夢のまた夢。だから無料で発信できるSNSを使わない手はない。

友人の店を訪ねポスターを貼らせてもらう。「朝日」のときは原発反対集会でチラシを配らせてもらった。東京では毎日、映画館の客入りを確認に行く(今回はコロナ禍で止めたが)他にもイベントに誘われればゲストで出る(もちろんノーギャラ)とにかく出来る限りの宣伝をする。が、あるとき、先輩に言われた。

「宣伝は監督の仕事じゃないだろ? 何やってんだ。早く次の仕事をしろ!」

昔気質の先輩が見れば「監督なのに宣伝なんかして情けない」と思うだろう。ある田舎のおじさんにはこう言われた。「太田監督は作品に自信がないから宣伝してんだよ。自信があればどんと構えているはず。いい映画なら宣伝なんかしなくても口コミで客が来るんだよ」ーだが、2人とも頭が昭和。時代錯誤甚だしい。

今は映画に関わらず、なかなか人が来ない。大企業が作った大作映画でも、監督や俳優がテレビの番組に朝から晩まで出て宣伝している。そうしないと多くの客が来ない。まして低予算の作品。自信があろうがなかろうが、大人しくしていては映画の存在さえ知ってもらえない。

昔は映画館の前を通ればポスターや看板があり「お、この見てみよう!」と思ったものだが、シネコンに貼られているのは次回上映の映画ポスター。上映中のものは基本ない。つまり、客はそれ以前にマスコミを通じた宣伝を見て映画館にくる。シネコンはそれが前提。宣伝ができていないと、映画館には来てくれない。

昔の映画はヒットしなくても系列館なら1ヶ月ほど上映してくれた。ヒットすればロングラン。でも、今は2週間が基本。客入らないとそこで打ち切り。イオンシネマはさらに過酷、1週間でダメなら終了。さらに口コミというのは広がるのに1ヶ月以上かかる。「その映画見たいなあ」と思った頃には上映は終わっている。つまり公開前にしっかりと宣伝しない映画はアウトということ。

低予算映画は当然、宣伝費も安い。配給会社が宣伝をするのだが、ひどいところも多い。経費をなるべく抑えて宣伝費を残し自社の利益にする。チラシとポスターだけ作り「予算がないのでこれ以上できません!」と何もしない会社もある。「金かけなくても出来ることあるだろ!」と言いたくなる。僕の作品も最初の頃はそんな会社が配給を担当したことがあり「大人しくしていたら映画が大コケする...」と思えて自分でも宣伝を始めた。

今は本当に心ある努力をしてくれる配給会社が担当してくれているが、やはり予算の問題がある。僕が動けば少しでもプラスになると走り回っている。マスコミから取材を受けなくても、僕自身が撮影現場の裏側を紹介する記事を書けば、映画に興味ある人は読んでくれる。facebookやブログでアップできる。日本では1年に400本以上の映画が作られる。が、その中でタイトルを覚えてもらうだけで大変なこと。映画館まで足を運んでもらうのは並大抵ではない。そのための宣伝だ。

トムクルーズのあのスパイ映画。宣伝費は39億円。それを低予算映画は数百万円で宣伝する。「それなら、監督も宣伝すればいい!」というのが僕の発想だ。「宣伝は俺の仕事じゃない」なんて言っていたら消えていくだけ。今は映画黄金期ではない。過去と同じ方法論では前には進めない。そんなことを考えながら週末は舞台挨拶とzoomイベントに頑張る。


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