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「ドキュメンタリー沖縄戦」への批判③=時系列なのに順番がおかしい?という人たち? [映画館公開]

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「ドキュメンタリー沖縄戦」への批判③=時系列なのに順番がおかしい?という人たち?

このシリーズ。評判なので第三弾をアップする。こんな批判もある。

「時系列で描いているのに順番がおかしい。渡嘉敷島の集団自決は上陸作戦の前だろ? そんなことも分からないのか? 勉強不足だ!」

時系列としてはその通りだ。が、この作品は「基本は時系列だが、時間が前後する部分もある」というコンセプトで作っている。理由は後で説明する。そして映画冒頭で「この映画は時系列で描いている」とは表示していない。

その種の批判する人たちは「ドキュメンタリーなんだから、時系列で描かれている」と思い込んでいたのだろう。例えば、NHKのドキュメンタリーでも、現代から始まって過去に戻るもの。途中で現代に戻るものもある。にも関わらず、歴史を描くと学校の授業を思い出し、時系列で紹介されると無意識に思い込んでしまったと想像する。

「歴史は時系列で紹介するのが当然だ!」という人もいるかもしれない。もちろん、その方が分かりやすい。前後の流れが把握できるし、原因と展開。結末も理解しやすい。室町時代、戦国時代、桃山時代、江戸時代と進む方が分かりやすい。歴史の興味ある人たちにとって分かりやすく、把握しやすいだろう。でも、歴史に興味ない人はどうか? 

教科書で問題だと思うのは縄文、弥生からスタートすること。子供達がとっつきにくい。また、そこからスタートすることで時間的に昭和まで辿り着けないということもある。昭和から始めた方が現代との繋がりもあり興味を持てるはず。あるいは大河ドラマでも人気の「戦国時代」「幕末」から始めた方が強い関心を持てるだろう。映画でも「スターウォーズ」はルークの時代を描いた後。遡りアナキンの時代を描いた。そのことでダースベーダーの過去を知りたいという興味を持てた。

タランティーノは「パルプフィクション」で時間を編集、時間軸通りに進むより面白いドラマを作り上げた。僕は劇映画の監督。いかに観客に退屈せずに、興味を持って作品を見てもらうか?を考える。が、専門家が作ると「歴史を学ぶには時系列が一番分かりやすい」と思ってしまう。でも、映画を見るのは歴史を学びたい人ばかりではない。この映画を中学生が見ても退屈せず、興味を持って見てもらいたいと考えた。

さらに沖縄戦を時系列で描いた場合。同じような戦闘が続くことにもなる。観客が退屈する。そこに現代の話を入れる。歴史の中にいた客は「え?現代」と驚き、興味が持続される。同じ繰り返しが一番、観客を退屈させるのだ。また作品では「教育」の問題をクローズアップするとき、いくつかのエピソードを突き詰める。時間を超えて最後にまとめることで「皇民化教育」の恐ろしさが見えてくる。時系列だと、それが明確に伝わらない。

その意味で「基本は時系列」だが、時々、前後するという方法で描いている。そのことで「軍は住民を守らない」「教育の恐ろしさ」というテーマが浮き彫りになった。時系列で描いたら、その背景が見えずらく、表面をなぞるだけで終わってしまっただろう。学校教育の歴史で本質が理解できず、年号と出来事の暗記になるのは、似た背景があると思える。が、そこまで考えないで、謳ってもいないのに「時系列じゃない」「順番が違う」と批判する人がいた訳だが、そういう意図なのじゃ。


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