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シナリオを1本書くには、本来は題材の勉強を何年もするべき=日本映画界ではその時間が取れない! [映画業界物語]

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シナリオを1本書くには、本来は題材の勉強を何年もするべき=日本映画界ではその時間が取れない!


新作映画の製作が決まると、猛烈に題材の勉強を始める。が、本来それでは間に合わない。ハリウッド映画の場合。企画が決まると脚本家は題材の勉強に1年、執筆に1年かけるという。もちろん、その間生活できるだけのギャラが出る。が、日本の場合は依頼があってから1ヶ月ほどでシナリオを書き、そこから数ヶ月で撮影ということが多い。

だから、徹底して取材せず、お手軽にそれっぽい感じの物語を作るライターが重宝される。だが、そんなパターンは一番嫌い。何年か前もある文化クラブを題材にした映画があったが、取材はわずか。その題材でなくてもいい物語。同じ題材を僕も勉強していたので余計に腹立たしかった。その映画はまるでヒットせず、すでに多くの人の記憶にはない。お手軽映画はそうなってしまう。

と言って企画が決まると時間も、費用もない中でシナリオを書く。それでいいものが出来る訳がない。「朝日のあたる家」はもともと映画にするつもりではなく原発のことを勉強していた。2年ほど時間があり、そこから「映画にして多くの人に伝えよう」と決めた。だから、かなり勉強できた。「ドキュメンタリー沖縄戦」はあえてゼロからスタートしたが、3年間の取材期間にかなり勉強した。

でも、どうしても夏までに撮影せねば!ということもある。時間があっても題材の勉強以外にやるべきことが山のようになる。僕の場合。キャスティング、地元との打ち合わせ、ロケハン、撮影打ち合わせ。時にはスポンサーの制作費集めも手伝う。ある映画の時は何十回も地元を訪れ、寄付を呼びかけた。1度行くと何週間も滞在した。この時もすでに題材の勉強をしていたから良かったが、本来ならしっかり学ぶ時間が取れなかっただろう。

以前で言えば書道の勉強は4年ほどした。沖縄戦は3年。それらは一夜漬けで出来るものではない。1ヶ月でも無理。そう考えると経費が出なくても、時間を取り勉強することは大切。このところ切れ目なしに映画製作を続けたので、本当に時間がなく苦しい戦いをして来た。でも、コロナ感染で時間ができた。興味ある題材を時間をかけて勉強ができる。

例えば参考になる映画がある。それは2時間あれば見られる。でも、それで終わってはいけない。そこからあーだ。こーだと考えることが大事。疑問が出れば資料を調べる。聞く。ネットで検索。そしてまたあーだこーだと考える。題材の知識を仕入れるだけではダメ。そこから考えて自分なりの把握と考察を持ってこそ、血となり肉となる。それが作品に生きる。知識を作品にはめ込むだけでは意味がない。

その勉強の時間が今はある。緊急事態宣言が解除されたら、いろんなことが動き出す。それまでが勝負だ。

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