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「結婚してるんですか?」と続けて聞かれた。何と答えるのがいいのかな? [映画業界物語]

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「結婚してるんですか?」と続けて聞かれた。何と答えるのがいいのかな?

最近、続けて聞かれたこと。「監督は結婚してるんですか?」大きなお世話だ!と思うが、そんなことを聞く人はたまにいる。このところ続けて聞かれた。

平均的な日本人は40代までには結婚し家庭を持つ。夫婦になり、親になれば責任感が生まれ、落ち着いた大人になる。分別を持ち、一般常識を理解し、社会の中で生きて行こうと努力する。対して若い頃は無茶をしたり、冒険したり、世の中に逆らったり、まあ、若い頃から世の中に従順な人もいるが、結婚という節目で人は大きく成長する。或いはおとなしくなる。

なのに、あと数年で60歳になろうという私。どう見ても落ち着きない。いまだに10代のような感じ?(本人的にも17歳から成長していない気がしている)世の中には逆らうし、無茶ばかりしている。そんな様子を見た人たちはこう思うのだ。

「監督、結婚してないんじゃないかなあ? 出ないと、こんな無茶できないよなあ。落ち着きないし、子供みたいなところある。奥さんいたら大変だよなあ」

真相が聞きたくなる。その推理は正解。だが、次の質問はだいたいこれ「何で結婚しなかったんですか?」ーこれも大きなお世話だし、語ると長いのでいつもは「モテなかったから!」というのだが、まあ、モテないから結婚できないというのも本来は違う。

自分的にも理由は分からないが、考えると29歳でアメリカ留学から帰国。その後は映画監督になるためにまっしぐら!デビューしてからは映画一色の人生。彼女がいたこともあるが、撮影になると完全に忘れて長期間電話せず、ロケから帰ったらもうアウトということもあった。でも、そのくらい映画というのは全身全霊でかからねばならない。

9時5時でできる仕事ではない。家族のことを心配している余裕もない。日曜祭日もない。盆暮れ、クリスマスもない。何ヶ月も働いて収入ゼロということある。膨大な借金も背負う。スタッフ&キャストの人生をも背負う仕事だ。毎日が戦い。危険を買って生きるような人生。着いて行こうという女性はなかなかいない。そして20年はあっという間。

人にはいろんな幸せがある。愛する人との結婚。子供の成長を見守る。安定した生活を送ること。でも、僕はそれらではなく、長年の夢であった映画監督になることを選んだろう。人はいくつもの幸せは選べない。僕は「夢」を選んだ。その意味で「お前は昔からの夢を実現できて羨ましい」と友人たちから言われるが、他の幸せを全て失ってしまったのだ。

ただ、映画作りは多くの人をハッピーにする仕事。大切なことを伝える。悲しみを繰り返さないための仕事でもある。自分自身が幸せにならなくても、映画を見た人が元気になる。頑張ろうと思う。忘れていたことに気づく。それができる素敵な仕事でもある。ただ、そのためには平均的な幸せを諦めなければならなかったのだろう。そんな訳で気づくと結婚もできず。嫁もおらず、子供もいない。貯金もない。でも、死ぬまで映画を作り、多くの人をハッピーにしたい。



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