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沖縄戦取材を開始して感じたのは戦争を伝える難しさ。=ドキュメンタリーで慟哭を伝えるための葛藤 [沖縄の現実]

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沖縄戦取材を開始して感じたのは戦争を伝える難しさ。=ドキュメンタリーで慟哭を伝えるための葛藤

「ドキュメンタリー沖縄戦」を制作するにあたり、第1回の下見の時はあえて沖縄戦を勉強せずに参加した。まず映画を見てくれる観客と同じくらいの情報量で、同じ視点で沖縄戦を体験するのが大事と考えた。それ以降は取材は一度に長い月日をかけず、1週間から10日。帰京したら復習。そして次の予習。数ヶ月後に行くまでにあれこれ勉強する。というスタイルにした。制作効率からすると、一気にあれこれ取材した方が便利なのだが、取材が便利というよりも、作品のクオリティを上げることが大事。

沖縄戦では聞くのも語るのも辛い事件がいくつもある。集団自決(集団強制死)対馬丸撃沈事件、チビチリガマ。その種の重いものは後半にして、最初は沖縄を知るところからスタート。美しい海、観光地としての沖縄、国際通り、首里城、アメリカン・ビレッジ。観光客の定番だ。そんな楽しい、美しい風景が多くの人がイメージする沖縄。

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平和祈念公園や戦跡を訪れる人もいる。ただ、僕がそれらを見たときに、その場所から沖縄戦を想像することができなかった。「亡くなった方の墓石です」と言われても、どのような形で死んだのか?分からない。「旧日本軍の砲台です」と説明されてもオブジェのように見える。「この壕(巨大な洞穴のような場所)で数百人の負傷兵が収容されました」と聞いても今はただただ広い洞窟にしか思えない。

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どうすれば、戦争があったことを伝えられるのか? 死んで行った人々の悲しみを感じてもらうえるのか? 戦争は悲惨だと言われるが、その戦争を感じてもらうことの難しいことに気づく。勇ましく、美しいものであると伝える方が簡単だ。それではいけない。どうすれば「悲しみ」や「苦しみ」どうすれば「沖縄の慟哭」が伝えるのか?「ドキュメンタリー沖縄戦」はそんな葛藤からスタートした。

3年の歳月をかけて完成させた「ドキュメンタリー沖縄戦」は今年秋に沖縄で完成披露試写会を準備中。まずは協力頂いた方々を含めて沖縄の皆さんに見て頂きたい。




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時代の流れを感じないと、弾き出される。情報収拾を兼ねてランチ? [2019]

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時代の流れを感じないと、弾き出される。情報収拾を兼ねてランチ?

世界を駆け回る映像作家の友人。国際情勢や政治に詳しい。そんな彼とランチを兼ねて情報交換した。僕はジャーナリストでもないし、記者でもない。物語を作る脚本家であり映画監督。でも、現実や時代の流れを把握することは大事と考える。時代を反映せず、過去の価値観に縛られた者は現代を生きる人たちを感動させる物語を作ることはできない。

ネットでの情報集めも大事だが、それで世の中を分かったつもりになるのは危険。やはり生きた情報に接することが必要。また、信頼できる人が事件や政治をどのように判断し、評価するか?を知ることで自分とは違う価値観や視点を感じることができ、自分の意見や考えを精査することもできる。

そんな訳で久々にその友人と会った。先日まで海外で映画撮影をしていたというが、流石に情報通。ネットでは絶対に得られない情報をいろいろ教えてもらった。「朝日のあたる家」以降、いろんな業界の方がことあるごとに、その種の希少価値の情報をくれる。本当にありがたい。

結局、その友人とは8時間も話をしていた。2人朝まで討論? ま、朝までではなく深夜までだったが、おかげでいろんな動きが分かった。感謝感謝。ヘトヘトになりながら帰宅。少し前までの映画監督は撮影がないときは映画を見て、原作になる本を探して、あとは飲んでばかりいる人が多く。社会や政治に関心のない人が僕の周りにも多かったが、それではもうやっていけないことを感じる。

いや、監督業だけでなく、あらゆるものの価値観が急激に変化しているので、昔のつもりでいると時代から弾き出されることになるはずだ。今も日本は経済大国と感じているオヤジがいるが、すでに後進国。電化製品でも韓国に負けている。嫌韓している場合ではないのだが、そんな国にいると見えないことがたくさんある。


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沖縄戦体験者は現在80〜90代。今、話を聞かなければならない=戦争を知る人たちの肉声。胸を突き刺す。 [沖縄の現実]

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沖縄戦体験者は現在80〜90代。今、話を聞かなければならない=戦争を知る人たちの肉声。胸を突き刺す。

沖縄戦は1945年3月に始まり、本土では8月に終了したにも関わらず、その後も沖縄では局地戦が続いた。その悲惨な戦闘を知るには本で読むこと。記録映画を見ること。専門家に話を聞くということもあるが、実際に戦争を体験した人の話に勝るものはない。

そんな戦争を体験した人たち。当時5歳でも今は79歳。しっかりとした記憶を持つ中学生(例えば1年生=13歳)なら87歳とかなりな高齢になる。次々に亡くなって行き、あと数年で戦争体験のある方はいなくなる。そして、これまで戦争のことを一切語らなかった人が、今になって話したいということもある。

というのは、あまりにも悲しく、残酷な体験をしたので辛くて話せないという方も少なくないのだ。思い出すだけで辛い、居たたまれない。家族を失った。自分だけ生き残った罪悪感。それらに縛られ戦後何十年も口を閉ざして来た人もいる。そんな方々も、やはりあの悪夢は伝えなければ、同じことを繰り返してはいけない。という思いから話始めた人たちもいる。

そんな方々の話を聞き、文章で残すのも一つだが、やはりビデオで撮影して表情や言葉のニアンス、手振り身振りがあって、肉声を聞くことの大切さを感じ。今回の「ドキュメンタリー沖縄戦」は体験者の皆さんにロングインタビューさせてもらった。

3年前ががりのプロジェクト。お願いしていても、直前に亡くなるという可能性もある。今年はお話を伺えても来年は分からない。そんな貴重な方々12名ほどに証言をしてもらった。研究家がいくら「あの戦争は」と解説しても、戦争に詳しい人が「米軍はだね」と力説しても、それは文章を読んで得た知識であり体験ではない。体験者の言葉は重い。

そんな方々の証言。お1人1時間。毎回、心が切り裂かれるような思いで聞かせてもらった。なぜ、人はそこまで残酷になれるのか? なぜ、人はそこまで苦しまなくてはいけないのか? 戦争は悲惨と聞くが、そんな言葉では不十分だ。地獄。まさに地獄。いや、地獄でも足りない。それが戦争だと痛感した。

近年、戦争を美化した映画や小説が売れたりする。戦争を体験していない作家が憧れで描き、戦争を知らない読者がそれを読み感動。戦争って凄い。兵隊ってカッコいい。そんな解釈をする人も多い。領土問題で「戦争で取り戻すしかないショ」と発言する若い議員もいる。その背景にあるのは戦争の現実を知らないからだ。「ドキュメンタリー沖縄戦」で本物の戦争を伝える。どれだけ醜く、非情で、残虐なものか?を伝える。秋に沖縄で完成披露試写会を準備中。




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