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もう日本で反戦映画が作れない理由②=政府が怖いだけでない別の問題。(改訂版) [沖縄戦]

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沖縄戦を題材とした劇映画が作れない理由②=政府が怖いだけでない別の問題。(改訂版)

戦争映画が今、日本で作りづらい状況だ。安倍政権以降。戦争できる国にしたい人たちは「戦争の悲惨さを伝える映画」を作ってほしくないからだ。企業もそんな流れに逆らい、戦争の悲劇を伝えよう!とは思わない。

まして「沖縄戦を映画にしよう。企画を通そう!」という映画会社は皆無。「政権に睨まれないようにせねば...」という意識が働く。沖縄戦こそが県民を捨て石にして、本土を守ろうとした非人道的な戦闘の代表。そんな事実は封印せねば、次の戦争が始めづらいという話を前回書いた。が、本当の意味で悲しみを伝える戦争もの。特に沖縄戦を映画化できないのは他にも理由がある。

まず、金がかかる。戦争ものは高額の製作費がかかるものだが、他の戦闘なら東京に住むスタッフが車で行ける御殿場(静岡県)あたりで撮影できるが、沖縄戦は沖縄ロケが必要。車では行けない。飛行機代。宿泊費がかなり必要。また、沖縄には火薬を持ち込めない規則がある。戦争につきものの爆破シーンが撮れない。そうなると、その場面だけ関東周辺で。あとは沖縄。となると、さらに製作費がかかる。

また「沖縄戦を映画で見たい!」という観客も多くない。というのも関心がないというのではなく、知らないからだ。教科書でも数行。授業ではバタバタ通り過ぎ。終戦記念日のスペシャルドラマでもほとんど取り上げられない。

(その意味で明石家さんま主演の「さとうきび畑の歌」は貴重な作品。でも、今あれを作るテレビ局はないだろう)だから、「見たい!」という前に「知らない」だから、需要のない。おまけに撮影するにもかなりの製作費がかかる。だから企画しないのだ。

ただ、他の戦闘や原爆ものの映画やドラマは製作されている。沖縄戦と何が違うのか? 他の戦闘に関してはアメリカ軍に日本軍が殺される。日本人がアメリカ軍の武器で犠牲になる。という分かりやすい「泣ける映画」パターンになるからだ。もちろん、「アメリカ軍がやったんだ!」と強調しない。どこからか弾が飛んできて当たり、死んでいく。「戦争は悲しいですね〜」と謳う。アメリカの罪は追求しない。多くはそのスタイルだ。

だが、沖縄戦では日本軍が県民を犠牲にする。強制的に軍の仕事をさせる。少年たちを鉄血勤皇隊として戦場に送り込む。住民に死を強要。集団自決させる。という日本人が日本人を踏みつけ犠牲にするという酷い事件が数多く存在する。悲しいですね〜では済まない。許されざる行為。それを映画にしても、観客も嫌な気持ちになる。

「太平洋戦争では日本人は被害者なんだな。戦争はいけないな」とストレートに泣けるが、日本軍が本土を守るために沖縄県民を捨て石にした現実を見せられて、どう思うか? 本当はそんな過酷な現実を見つめることこそが大事なのだが、日曜日の午後。映画館で見たい映画にはなりづらいだろう。

映画会社は社会的な使命を感じていない。お上に目をつけられることはしたくない。本当の戦争の悲劇を伝えて官邸から電話をされたくない。また、過酷な現実を伝える映画は観客も観たがらないだろうと考える。だから、沖縄戦の映画は企画されない。

唯一「ひめゆりの塔」は何度もリメイクされているが、あれはストレートに女子学生達が戦争に翻弄され、アメリカ軍の攻撃で死んでいくという悲劇に当てはまるので映画化されたのではないか? あれはあれで意味ある作品だが、沖縄戦の一部でしかない。

他の戦闘も伝えるべき意義があるのに、映画化されないのは、先にあげた、あまりにも酷い、耐えられない非人道的行為が繰り返されているからだ。そんな現実を伝えることこそが大事なのだが、それをやろうとする映画会社もテレビ局も今はない。

なぜ、今、沖縄戦を伝えるべきか?というと、現在の567対応、オリンピック等が沖縄戦と同じ構図になっているからだ。国民を捨て石にして、政府が自分たちを守ることしか考えていない。国民がどれだけ犠牲になろうと平気。76年前と変わってない。

何が原因か?何がいけなかったのか?歴史から学ぶことができる。今こそ振り返るべき歴史。そのためにも映画化すべき。映画は「人々が見たい作品」を作るだけではなく「人々が見なければならない映画」も作ることが大切。それこそが映画作家の仕事のはず。なのに、それができない現実を噛み締めている。


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